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【完結済】天国と地獄  作者: 吉田真一
第4章 琴音の始まり
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雨降って地固まる

「琴音......いや、琴音ちゃん。あたし、正直に言う。あたしだって......小さい時からずっと琴音ちゃんのことが大好きだった。


 でもそれを認めちゃうと、死んだお母さんを裏切るような気がしちゃって......だからあたしずっと素直になれなかったの。でももう素直になろうと思う。


 だから琴音ちゃんも早く昔みたいに元気でいつも笑顔の琴音ちゃんに戻って。あたしも出来る限り応援するから......ごめん、ほんとごめんね。ウッ、ウッ、ウッ......」



 今度は琴音の膝に顔を埋め、恥じらいも無く嗚咽を始める智美。きっと今彼女は、琴音の知らない本当の琴音の姿を、頭の中でフラッシュバックさせてるんだろう。


 そして、そんな弱々しい智美の頭を優しく撫で始める琴音。


 あったかい......きっとこの時琴音は、智美の身体から心の温かさを感じ取っていたに違い無い。


 それは正に、人間が生まれながらに持ち合わせてる人としての大事な感情を、琴音が取り戻した瞬間だったのかも知れない。


 雨降って地固まる......


 きっと今日と言う実り大き1日は、2人に取って生涯忘れられない1日となったに違いない。


 向日葵の種が、水と大地の恵みを受けているかのように......


 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


【向日葵の観察記録】


 4月11日(金)3日目

 あたしの大切な人達


 今日もあたしは

 向日葵の種にたっぷりと水を上げた。


 夜にいっぱい雨が降ったから、種が流されていないか心配だ。


 でも向日葵は強い植物だと教えて貰ったから、きっと大丈夫だと思う。


 今日あたしは一つの言葉を覚えた。


『許す』そんな言葉だ。


 辞書で調べると、


 『過失や失敗などを責めないでおく とがめないことにする』


 だそうだ。


 あたしは今日、智美ちゃんを許した。


 そうしたら智美ちゃんがあたしを好きだったと言ってくれた。


 智美ちゃんの頭を撫でたら、ソルトの頭みたいに温かかった。


 人を許すと、心が温かかくなることを今日覚えた。


 これからあたしはいっぱい人を許して、温かい心でい続けようと思う。


 日の光を浴びた向日葵の種が、いつまでも温かいように......


                 琴音


 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★



 そんな雨降って地が固まったばかりの翌日。


 今度は再び『純喫茶スイートピー』でのお話へと進んでいく。



 4月12日(土) 12時


 ギー、バタン。



「いらっしゃい!」


「いらっしゃいませ!」


「......いらっしゃい......ませ」



 天気は昨日と打って変わって快晴。


 そして時刻は正午。



 人気店『純喫茶スイートピー』におけるそんな時間ともなれば、ランチメニュー目当ての常連客達がこぞって店に押し寄せて来るのも自然の流れだった。



・日替りメインディッシュ

・日替りスープ

・日替りサラダ

・ドリンク

(コーヒーOR紅茶ORオレンジジュース)


 店の看板とも言えるそんな極ウマ日替りランチセットを700円(税抜)で提供しているのだから、人気が出る理由も頷ける。


 

 因みに今日の日替りメニューはと言うと、


(メインディッシュ)

 店長特製『濃厚カルボナーラ』

 ※パスタ160g・パンチェッタ120g・

  牛乳ではなく生クリーム1/2カップ


(スープ)

 コンソメ仕立ての『ヘルシー野菜スープ』

 ※パプリカ・ニンジン・玉ねぎ・エリンギ


(サラダ)

 定番『シャキシャキシーザーサラダ』

 ※ロメインレタス・ベーコン・クルトン


 まぁ、そんな布陣。



 コンセプトは常に『ヘルシー』。毎日ランチタイムにやって来てくれるお客さん達の健康を考えれば、自ずと新鮮野菜が多くなる。


 使用する油を全てオリーブオイルで統一しているのも、きっとそんなコンセプトを反映させてるんだろう。



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