表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】天国と地獄  作者: 吉田真一
第1章 向日葵のはじまり
4/178

花咲家

 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 ちょっとここで小休止。


 気分を変えて、あたしの自己紹介をしておこうと思う。


 名前は、花咲向日葵はなさき ひまわり。さっき川に飛び込んだ賢也の活発なお姉さんよ。


 地元の御影みかげ高校に通う高校2年生。


 因みに春の健康診断の時は、身長163センチ、体重47キロ、スリーサイズは上から86、59、88だったかな。意外といけてるでしょう? 


 でも最近ちょっと食べ過ぎちゃってるから、少し崩れてるかも......涙、涙。


 とにかくうちは貧乏で両親が共働きだから、5才年下の弟、賢也の面倒は、出来るだけあたしが見るようにしてるの。もう最初の時からだから慣れっこ。



 次にあたし達が住んでる村を紹介しておこうと思う。


 御影村みかげむらって言うんだけど、山奥の超辺鄙な所に有るの。でも80人位は暮らしてるから、そんなに小さな村って訳でも無いかな。


 レタス、キャベツなんかの畑作業と、日本酒造りが村の主な産業。特に日本酒造りは有名で、品評会なんかじゃいつも好成績を上げてるの。それって結構凄いよね。


 とにかくここは自然に囲まれてて、とっても静かな所。時間の流れがゆっくりで、みんなやたらと呑気なの。


 中にはさっきみたいなガキ大将や不良集団も居るけど、基本はみんな親切で優しい人達ばかり。


 そんな環境で育ったあたしだからこそ、ポジティブに生きれて来れたんだと思うよ。



 そんなこんなで、そろそろ話を元に戻すことにするね。


 ちなみにここからは、あたし目線で物語を進めてくからしっかり付いて来て。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


 そんなガキ大将と不良集団と別れた後のこと......


 あたしと賢也の2人は、赤トンボに囲まれながら、のんびりと帰宅の途に着いてたの。


 あともう少しで家だから、さすがにこれ以上ガキ大将とか不良集団なんかに出会うことも無いでしょう。



 そんな中......


 いつものように、大きな酒蔵が視界に入り込んで来た。立派な門構えには今日も『山菱酒造』の大きな看板が威風を放ってる。


 今ちょうど新品種の開発をしてるらしいから、きっと蔵の中じゃ社員さん達がフル活動で頑張ってるんだと思うよ。


 そんな立派で大きな山菱酒造の建物とは対照的に、直ぐ隣の建物は見るからに小さくてみすぼらしい。


 何を隠そう、それが花咲家!


 つまりあたしと賢也が暮らす家ってこと。今は亡きおじいちゃんとおばあちゃんがまだ若い時に建てた家だから、築50年は軽く越えてるかな。


 そんな古臭い家だけど、あたしの生れ育った家だしもう住み慣れてるから、小さくても不自由を感じたことなんか一度も無い。あたしからすれば、これでも立派なお城よ。



 そんなお城の軒先では何やら黒い煙が、モクモクモク......


 あれれっ?! 


 一瞬火事かと思ったけど、よく見てみると、お母さんが練炭で魚を焼いてる姿が。


 団扇で、パタパタパタ......きっと愛する姉弟が道に迷わないよう、狼煙を上げてくれてたんだろう。


 ただの一本道なんだけどね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ