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【完結済】天国と地獄  作者: 吉田真一
第2章 向日葵の決心
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クレープ

 そんなこんなで、麓の街までは車で30分程度。


 標高1000メートルに位置する御影村から麓の街まで、蛇行した山道を一気に下って行くわけだから、ドライバーはそれなりのテクニックが必要になるわけ。



「おっとっと......ほいっ!」


 運転する方は楽しそうだけど、シートベルトにしがみ付いてるあたしと、シートベルトにしがみつけない『鹿音』と『熊五郎』は堪ったもんじゃ無い。


「ちょっと、軽自動車で何こんなにスピード出してんのよ!」


「軽だって下りはスピード出るの。ホイッ、ホイッ!」



 ちなみにもう10年以上乗ってるうちじゃお馴染みの軽自動車。もうあちこち傷んで来てるけど、買い替えるお金無いから騙し騙し乗ってるって感じ。


 お父さんの運転は慎重で大人しいんだけど、お母さんはいつもこんな感じだから生きた心地がしないの。やっぱ運転って、性格出るよね。


 ちなみにカーブの度に、アクセルとブレーキ同時に踏むの止めた方がいいと思うんだけど。ああ、怖い怖い......



 やがて、


「さぁ、着いたわよ。気合い入れなさい!」


「はいはいはい......」


 さすが麓の街のスーパーだけあって、村の小売店とは店の規模も品数も違う。


 ファッションセンターやホームセンターとかも隣接してて、ここへ来るだけでなんかワクワクしてきちゃう。


 きっとこう言う人のことを『おのぼりさん』って言うんだろう。


 そんなおのぼりさん親子がスーパーの門を潜ると、とにかく野菜、魚、肉、玉子......片っ端から目に付いたものをカートへと投げ込んでいった。


 日持ちが悪い物でも、冷凍しちゃえばOK! きっとそんな感覚だったんだと思うよ。



「はい、これも買い!」


「はい、それも買い!」


 そんな調子で夕方の5時を回った頃にでもなると、カート上下に乗せた2つのかごは既に満タン。


 もうこれくらいでいいでしょう......なんて思った時のこと、


「あっ、ひまちゃん!」


「えっ、あっ、実菜ちゃん!」


「あら、花咲さん」


「おや、桜川さん、久しぶりね」


 見れば、あたしと同じセーラー服を着た少女がニコニコ顔で手を振ってる。実菜ちゃん親子だ。


 凄い偶然! こんな所で親友とばったり会うなんて、思ってもみなかった。


 実菜ちゃんのお母さんが若いってのも有るんだけど、最初見た時は友達同士かと思ったわ。なんか凄く仲良さそう。


 そんなこんなで、うちも実菜ちゃん親子も揃って無事会計を済ませると、



「そうそう、裏の『いまむら』で冬物のバーゲンやってるみたいよ。桜川さん、ちょっと見に行きましょうよ」 


「あらそう......じゃあ、行ってみようかしら」


 娘同士が親友だけに、その親同士も気が合うみたい。あたし達を置いて、2人でさっさと『いまむら』に行ってしまった。



「ヒマちゃん、じゃあ......あたし達はクレープ食べに行こう」


「うん、行くべし!」


 実はスーパーの裏側に、ちょっとした軽食コーナーが隣接してるの。レジで食べたいものを買って、オーブンテラスのテーブルで食べるって仕組み。


 クレープ以外にも、ラーメンとかホットドッグとか色々有るんだけど、こんな時間にそんなの食べたら夜ご飯が食べれなくなる。やっぱ別腹のクレープに限るわ.。


 ちなみにあたしは、ピンク色が好きだからって訳でも無いんだけど『イチゴクレープアイス乗せ』。実菜ちゃんは『チョコバナナクレープ』。結局いつもそればっかり頼んでる次第。


 そんな高カロリーなクレープを手に取ったあたし達2人は、丸テーブルの両サイドに向かい合って腰を下した。



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