最終話
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【向日葵の観察記録】
あの後、加奈子は向日葵畑に種を植えた。
ちょうど50本目。きっと他向日葵達と支え合い元気な花を咲かすことだろう。
今日あたしは加奈子を許した。
許すと言う行為は、他のどの行為よりも勇気がいることなんだってことを、身を持って感じた1日だったと思う。
過去に固執しているうちは未来へ進めない。故に御影村の未来を考えれば、あたしの判断はきっと正しかったんだろう。
賢也だって、天の上で喜んでくれてるんじゃ無いかな。とにかく優しい子だったから。
天国と地獄......
それは遠いようで実に近い存在。むしろ隣合わせと言える。
長い地獄を経験したあたしだからこそ、そんなことが分かるのかも知れない。
あたしの人生はまだまだこれから。
再び地獄に落ちるようなことが有っても、人には優しく接し、笑顔を忘れないようにしたい。
優しさは笑顔を生み、笑顔には自分、そして人を幸せにする魔法が掛けられてるのだから。
さぁ、明日からまた忙しくなる。仲間達と共に、上を向いて歩み続けて行くことにしよう。
野に咲く向日葵のように......
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(天国と地獄 完)
最後まで『天国と地獄』にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
お読み頂いている皆様がモチベーションとなり、何とか完結を迎えることが出来ました。感謝の言葉しか有りません。
向日葵が最後に加奈子を許したもう一つの理由......
それは彼女自身も事件の責任を感じていたところにあります。
火を放ったのは確かに加奈子ですが、加奈子を鬼に仕立て上げたのは、自分と悠真君。加奈子だけに罪を被せるのは、きっと良しとしなかったのでしょう。向日葵の性格を考えれば、頷けるような気がします。
実を言ってしまいますと、プロットの時点では琴音からのスタートだったんです。
謎を含んだまま中盤まで琴音で行き、琴音が御影村へやって来た時に初めて過去が明かされる......そんな流れでした。
でもいざ書き始めてみると、高校時代のストーリーの方がテンポが良くて、こっちから始めた方がいいのでは? などと思って全てをひっくり返した次第なんです。
結局、文才の無い自分ですから、そんなことをやってるうちに、書き上げるのに3年も掛かってしまいました。
でもこうして無事に約半年間の連載を終えることが出来て、本当に書いた甲斐も有ると言うもの。物書き冥利に尽きます。
最後にもう一度お礼を申し上げさせて頂きます。
【天国と地獄】をお読み頂き本当にありがとうございました。 また次作品を書いた際は、何卒宜しくお願い申し上げます。吉田真一




