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【完結済】天国と地獄  作者: 吉田真一
第6章 琴音と御影村
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酒宴

 何と無くだけど......


 あたしの脳の奥深くに封印された5年前の記憶の結界が、今正に崩れ落ちようとしてる。そんな気がしてならなかった。


 ただあたしにはまだ大きな壁が残ってる。それは正に『御影村の大火災』と言う名の大惨事。


 この事実を知り、そしてこの事実をあたしが受け入れることが出来たその時、きっとあたしは本当のあたしを取り戻すことが出来るんだろう。


 それとあともう一つ......


 あたしに取って、大きな存在だった人が居たような気がしてならない。ただそれを考えようとすると、なぜだか胸が締め付けられ、息が苦しくなって、耐えられなくなる。


 もしかしたらその人は、あたしの人生を左右するようなとてつも無く大事な人だったのかも知れないな......なんて。


 でも今の時点でそれを考えたところで、答えが出る気もしなかった。


 なので、取り敢えず今日は全てを忘れよう......お父さんの為にも、あたしを心配してやって来てくれた2人の為にも。あたしが悩んでたらみんなを不安にさせちゃうからね。



 そんな訳で、


「今日はみんなで楽しみましょう!」


「よし飲むぞ!」


「食べるわよ!」


 飲み明かすことになったのでした。



 そう言えば、明日は4月20日(日)は、確か東京であたしを守ってくれてた沢渡誠也さんの結婚式だったっけ。18時半からって言ってたような気がする。


 結婚式か......なんか羨ましい。あたしも彼みたいに幸せになれるのかな?


 なんて、ちょっぴりジェラシーを感じてしまいつつも、その後は久々に会ったお祝いってことで、大いに盛り上がった次第。もっとも今のあたしからすれば、みんな初対面なんだけどね。


 特に『腫れ物には触れない』会話ばっかだったかな......少しでもそこに触れちゃうと、酔いが覚めちゃうから。みんな大人だってことだわ。


 そんなこんなで、そんな酒宴がお開きになったのは深夜2時過ぎ。実菜ちゃんはお酒飲めないから、実菜ちゃんの運転で2人は帰って行った。


 ほんと持つべきものは家族と友。あたしは今日と言う1日を過ごして、つくづくそう思ってしまった。


 その後の夜は、久々に熟睡出来たんじゃないかな。


 昨晩は夜行バスだったから、あまりよく寝れなかった。気持ちもかなり高ぶってたと思うし。それに比べて今日は、お父さんと布団を並べて寝たせいか、ほんとぐっすり寝れた。


 今やたった1人の家族だから、きっと安心したんだろうね。


 お父さんに「お休みなさい!」って言ってから、1秒もしないで爆睡してしまった。



 不思議なことに、その日の夜はどう言う訳か例の夢も見なかった。ここのところ毎日のように見てたんだけど。お地蔵様も今日は休日だったのかも......


 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 そんなこんなで、次の日。


 起きたらなんと! とっくに昼過ぎてた。もう朝寝坊なんてレベルじゃ無い。


 見れば、家の中にはあたし1人だけ。お父さんの姿も無いし。


 代わりにテーブルの上には、おにぎり2個と、インスタント味噌汁のパックとお椀が。しかも電気ポットには『保温』ランプが点灯。もう至れり尽くせりだ。



 あらら......逆じゃん! 


 あたしが先に起きて、朝ごはんの支度しとかなきゃいけないのに。


 こんなんじゃダメだ......



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