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9. 令嬢の集合

ビオラははっきり言ってこれはどんな状況なのか理解が出来なかったが、他の令嬢は分かっているようでそれぞれの席に座って紅茶やお菓子を嗜んでいた。


「王室のお茶菓子はどれも美味しいですね、ビオラ様。」


と声を掛けてくれているのがおっとりとした令嬢で、この間一緒に花屋でデートをしていたとゼクス嬢に教えて貰ったフラスキー嬢。


「マンゴーにこんな食べ方があったとは…」


とお菓子をしげしげと見つめているのが王子が他国で女性を襲ったと問題となって新聞に載ったリュミエール嬢。


「………。」


黙ってこっちを見ては顔を赤らめているのが何度も手紙を送ったが返送されると王子がぼやいていた小柄なシエル嬢。


「えぇ、私も王室のお茶菓子はとても好きなんですよ。」


とフラスキー嬢に言っていると、令嬢を集合させたライト王子が現れた。

みんなが立ち上がりお辞儀をするのでビオラも焦って皆に合わせた。王子はそんな様子のビオラを見て少し笑うとビオラの隣に座った。


「ビオラにはまだ話していなかったが、この令嬢達にはビオラと一緒に城に住んでもらうことになった。」

「えっ!?」


そう言うと一人の女性が立ち上がった。他の令嬢とは違い動きやすいズボンを履いている。


「まずはこちらがリュミエール嬢。戦闘に参加するほどの実力があり、今回は君の護衛として住んでもらおうと思う。」

「王子とは新聞に載っていたような事実はないから安心して護衛を任せて欲しい。よろしくお願いします。」

「えっ、あ…よろしくお願いします。」


そう言うとリュミエール嬢の隣にいた小柄なシエル嬢が立ち上がった。


「彼女はシエル嬢。彼女は結婚式でとても美しいレースの施されたドレスを着ていて噂になっていてね。尋ねたら自分でレースを編んでいた事が分かって、王室で君のドレスを仕立てて貰う事にしたよ。」

「あっ!あの美しいレースの施された靴もシエル嬢が作ったのですか?」

「靴は違いますが、レースは私が作りました…。美しい方に身に付けて頂ける機会を頂けるなんて光栄です…!!よろしくお願いします。」

「そんな事言われると嬉しいです!よろしくお願いしますね!」


盛り上がる2人に王子はにっこりしながら、立ち上がったフラスキー嬢の紹介をした。


「こちらはフラスキー嬢。ダンスがとても上手で社交会でも有名だ。そろそろダンスを身に付けておいた方が安心だろうと思ってお願いしてきた。」

「私も実は習った訳では無く見様見真似でしたの。だから上手く教える事が出来るか不安ではあるのですけど…よろしくお願いしますね。」

「へぇ、見様見真似で上手に踊れるようになるなんて凄いですわ!よろしくお願いします。」


こうして王子に案内された部屋は1部屋だがとても広く4人とも同じ部屋だったがプライベート空間は確保出来る程の空間はあった。


「4人で一緒の空間なら例え身に危険が及んでも助けを呼べるから安心出来るかと思ってね。そして、ここは僕の寝室と出入りできるようになっている。何かあったら入って来るんだよ。」


そう言いながら隠し扉になっている本棚を指さしながら言った後ビオラにウインクをした。


「ビオラはいつでも入って良いからね。」


その言葉にビオラは真っ赤になり、シエル嬢は慌て、リュミエール嬢は咳払いをしながら視線を逸らし、フラスキー嬢はうふふと笑った。

こうして部屋の配置を王子が伝えて部屋を出た後、令嬢達はそれぞれ自分の荷物を整理し始めた。まだ始めて間もないと言うのにビオラの元にシエル嬢がやってきた。


「あの…良かったらお手伝いしましょうか?」

「あれ?ご自分のお荷物は終わったんですの?」

「私はこちらに住む訳ではなく仕事でこちらに来て遅くなったら泊まる程度ですから、そこまで荷物が無いんですよ。」

「結婚されているならご家庭がありますものね。じゃあ申し訳ないですがドレスをあそこのクローゼットに入れて頂けますか?」

「分かりました。」


こうして、シエル嬢に手伝って貰う事にしたがシエル嬢は困り顔で戻ってきた。


「あれ…どうされましたか?」

「クローゼットに既にドレスが沢山詰まっていて入れられそうにありません。」

「そうなのですか?」


そう言いながら今度は二人でクローゼットを見に行くとドレスが沢山詰まっており、ビオラへという手紙が置いてあった。


『君に似合うと思って色んなドレスを買っていたらこんなに沢山の量になってしまっていたよ。隣の部屋に衣装部屋を用意したから是非使っておくれ。』


「二人共…お熱いですね…。」

「あ、はは…。」


二人で顔を真っ赤にしながらクローゼットを閉じ、王子の寝室とは反対の扉を開くと衣装室が広がっていた。


「こんなに広い衣装室なら皆の衣装も置いておけますね。」


そんな事を話していると王子が呼んだお手伝いのメイドがやって来てテキパキと令嬢達の荷物を整理してくれた。

そして、そのメイドもクローゼットを開けた後いっぱいに入ったドレスを見てそっと閉め、衣装室に運んでいた。





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