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5. 王子の令嬢探し

王子は今日も貴族令嬢を見つけては声をかけていた。第一王子との政略結婚を切り捨てることができる程の身分であるゼクスに近寄る。身分だけではなく、ゼクスは誇りやプライドも高くそのプライドに恥じない教養も身についていた。


「おや、ゼクス嬢。いつも気品あるドレスで素敵だね。」

「ありがとう。王子もとても素敵なお召し物ね。卑しい身分の方と噂になって、せっかくの美貌も台無しですわよ。」


ゼクス嬢はリュミエールとの噂の事を話しているようだ。


「噂は噂さ。折角会えたのだから一緒にアクセサリーでも見に行かないかい?」

「結構ですわ、あなたといたら浮気を疑われてしまうもの。婚約者に捨てられたら拾って差し上げるわ。」

「ゼクス嬢はガードが固いね。」

「常識的なだけですわ。婚約したならフラフラせずに身を固めた方がよろしくてよ。」

「ご忠告感謝するよ、それじゃ。」


いつもはこんな風に振られまくりのライト王子だが今日は一味違った。


「ライト王子ではありませんか。こんな所で何をしていますの?」

「フラスキー嬢に会いに来たのさ。」

「まぁ嬉しいわ。今から家に飾る花を見に行くのだけど一緒に行きますか?」

「良いね、行こうか。」


変わり身の早いライト王子はフラスキー嬢と一緒に花屋へ向かった。花屋では薔薇、カーネーション、ルピナスなど様々な花が飾ってあった。


「生き生きとした素敵な花々だね」

「そうですわね。どれにしましょう…。」

「奥ゆかしく優しいあなたにはこの白やピンクの薔薇が素敵じゃないですか?」

「あら素敵ね。じゃあそれにしようかしら。」


フラスキー嬢が花を包んで貰っている間にライト王子はビオラに贈る花を選んでいた。その様子を向かいの窓から伺っている影に気づく者はいなかった。


「お花をお持ちしましょう。」

「あら、ありがとう。うちまで来るのかしら?」

「えぇ、少しお話したい事もあるのでフラスキー嬢がよろしければ…」

「一晩泊まるのはナシですよ?」

「ははは、それが目的ではありませんよ。」


一応、リュミエール嬢との仲は誤解だったという記事も出されたが噂話とは良い話より悪い話の方が広まりやすいもので王子の周りの評価は下がり続けているのだった。

フラスキーの家は貴族にしては少し小さめのお屋敷で庭もそこまで広いとは言えなかったがその分、庭の花の手入れは行き届いていた。


「とても綺麗な庭だね。」

「えぇ、よく庭でお庭をするものだから綺麗にしていたいんです。」

「へぇ、それは素敵だね。美しい君と僕にぴったりだ。」

「ありがとうございます。お茶でも用意しましょう。」


こうしてメイド達によってミルクティーとビスケットとジャムが庭に用意された。


「ジャムか…ジャムなら長期保存ができるな。」

「ジャムがどうされましたの?」

「いや、異国の果物を育てるのは難しいと判断したが食べたい時に食べられるようにしたいと考えていたんだ。ジャムなら長期保存できるから気軽に楽しめる。」

「ふふ、お城では新鮮な果物を多く扱うからあまりジャムの発想は思いつかなかったのでしょうね。」

「あぁ、素敵なものを用意してくれてありがとう。メイド達にもよろしく伝えてくれ。」

「そうですね、後でお伝えしておきますわ。」


これでビオラにマンゴーを食べさせてあげることができると思うと王子は少し嬉しくなって顔を綻ばせた。


「初めてフラスキー嬢と会ったのはパーティーの時だったね。」

「えぇ、王子に声を掛けて頂きました。」

「君のダンスがあまりにも美しかったから皆声を掛けたがっていたよ。」

「まぁ…嬉しいですわ。」


頬に手を当てて少し恥ずかしそうにするフラスキーの手をそっと取ると王子はフラスキー嬢を見つめた。

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