第7話 始まり
思い出そうと思うと案外、思い出せないものですね。
「おおー、ごりは想像通りやったわww」
羅夢から返ってきたのはそんな言葉だった。
自分の声に良いイメージはないのだが、想像通りなら良かった。
「アリクイ、普通にいい声してんの笑うわ。」
「そんなこと思ってないくせによく言うわwww」
ほんとにいい声してると思って言ったんだけどな。
イケボとは違う、言葉では言い表せないような、謎の安心感のある声。
コメントの時もそうだし、話し方も関西弁なのを聞く感じ、関西寄りに住んでいるのだろうか。
そういえば、羅夢も関西ならもしかしたら案外住んでるとこ近くなのかな?と適当なことを考えていると、
「てかさ、チンチラ歌いたいとか言ってなかったっけ?」
「あー今ちょっと歌えないかも。実家に住んでるから、あんま声だせないからさ。」
「そうなん?ついでに歳とか聞いても?言いたくないなら別にええんやけど。」
「うーん、二十歳前後ってことぐらいだけ。」
「わっかwww」
チンチラに対して若いイメージはなんとなくあったから、歳を聞いて納得した。
そう聞くと鳥も若いイメージではあるが、流石に二十歳ではないよな。自分と同じかそれより少し上かな?
「いやぁ、若いねー。自分は38歳だね。」
・・・・・え?
鯖の空気が一瞬止まる。
え?その声で38歳?ほんとに?どっからその声出してる?
いやー、人ってやっぱり声では判断できんな。今度から、声だけで決めつけるのはやめておこう。
ア「いや、ほんま?」
ら「え?ま?」
チ「ほんと?」
みんな、どうやら自分と同じように驚きを隠せないらしい。
確かにこれは誰でも驚くよなとか思いながら、画面を見ているとヒロの画面にだけミュート状態のマークがついてるのが見えた。ヒロはどうやらすぐにミュートにしたらしい。多人数苦手とかそういうのあるのかな?
「ほんとほんと。」
そう鳥は答えて、また時が止まる。
話題とか何も考えずにマイクのミュートボタンを外したため、口が全く動かない。
リアルよりの話とか聞いてもええんかな?いや、それだと面白くないよなーとか考えていると、
「てかさ、ごり。しゃぶしゃぶ食ったことないってま?」
アリクイに質問される。急にどうしたのだろうか?
さっき、配信でご飯の話してたし、話題のためだろうか?
「あーほんとだねー。」
「まぁ?普段何食べてるん?」
普段かぁ・・・・。
自分の食事をまさか鯖に入って、一番最初にやることになるとは。
といっても思い出すのは別に難しくない。
なにせ、食べているもんはいつも同じなのだから。
「えーと、キャベツの千切りとエネルギーチャージ、ビタミン剤にカロリーメイト。そんぐらい。」
そう発言するとまた鯖の時が止まった。
おかしいこと言ったかな?そんな自覚はないのだが。
「え?それだけ?嘘やろ?」
「えーと、ごり?最近食べたもので一番おいしかったのってなに?」
羅夢から質問される。
最近食べたものって言われてもな。変わらない食事で美味しかったと思うことなど・・・あっ。
「カロリーメイトのチョコレート味かなぁ。」
「「「「・・・・。」」」」
さっき、あんなに食事の話で盛り上がっていたのに、どうしてこんなに静かなのだろう。
自分の話し方が悪かったのだろうか。元々、そんなに話すのは得意ではないため、空気を悪くしたのかなとか思っていると、
ア「ちょ、ア〇ゾンの欲しいものリストに食べさせたいもの入れさせて、食べさせようや!」
ら「逆に食べたいものとかある?ちょっと教えてや。買って送るわ。」
チ「え?これほんとに言ってるの?冗談とかじゃないの?」
鳥「ちょっと・・・ほんと作って送ろうか?」
んー?どういう状況これ?一体なにが起こってるのかわからない。
買うってなにを?食事ならすでに、カロリーメイトとエネルギーチャージ買いだめしてるから、買ってもらわなくても大丈夫なのだが。
「これは一旦さ、会議して決めん?」
アリクイが提案すると
「おお、それええね!ちょっとみんなで考えよ!」
・・・・これ、今から何が始まるんですか?
毎週火曜日に更新、出来たらいいんですけどね。頑張ります。