第5話 出会い4
「おい、ふさげてるだろぉ・・・これ現実?」
(えむさん、今のリーサルありましたよ。)
(リーサルありましたね。)
(とりあえず、リーサル見逃しでプリクラ貼りませんか?)
「まじ?そういうコメントをこちとら求めてるだよ。なんでプリクラ公開するんだよw」
(プリクラ賭けてプレマしませんか?)
「バカかw嫌だわ普通にw」
(釣り賭けてプレマせん?負けたら配信するわ。)
「えす、言ったな?負けたら配信しろよ。」
(対よろ。)
・・・・・・・・・・・
あの頃はほんとに楽しかったと今でも思っている。
・・・それを壊したのは自分であるとも。
今日は懐かしくも思い出すたびに幼かった自分に腹が立つ、嫌な夢をみた。
イレアムという配信に触れたからだろうか?それとも日々のストレスの蓄積なのか。
・・・考えるのはやめよう。こういったものは考えるだけ無駄である。
前日、羅夢の配信が終わり次第、PCで調べながらriscord(略してリスコと呼ばれてるらしい)のアカウントを作成した。ちゃんと出来てるかはわからないけど。
そして、羅夢から届いたメッセージを確認する。
(らむさんから、羅夢の動物園への招待が届いたよ!)
・・・正直、参加してよいものか迷っていた。
この鯖に入れば、より楽しくなるものであるとは分かっている。
しかし、昔の記憶が近づいてはいけない、距離を保てと知らせてくる。
(参加しなくてもいいじゃないか、どうせお前はすぐにいなくなる。それで傷つけてきたことを忘れたのか?お前は居続けられない。必ず、どこかで思うはずだ。いなくてもいいと。誰かに求められたいくせに求められることに恐怖している。そんな矛盾だらけのお前など、最初からいないほうがいい。)
頭のどこからか声が聞こえてくる気がした。
・・・少し心を落ち着かせてから、参加を考えてみよう。
(Godrillaさんが入室しました。)
「ごりーお疲れ、こんらむー。」
(こんらむー)
午後21時ごろ、羅夢の配信に入るとコメントと声で挨拶される。
自分もこんらむーとコメントをして会話を聞いていると
(てか、ごりはよ鯖入れや)
アリクイからコメントされる。槍で刺された気持ちになった。
「そう!ごり、鯖入れんの?」
うーん、普通に迷ってるって答えるべきか?
いや、適当に濁しておこう。
(いや、なんか招待から入れんくてさ。)
ここで、相変わらず自分の口の下手さに気付く。
いや、これ入る気あるやつのセリフ。完全にミスったわ。
「あーそうなん?なんかたまにあるらしいから、そういうのかな?とりま、もっかい送るわー!」
いやぁ、こちとら考えてる途中なんですよぉ、えぇ。
とか言いながら、この流れで今はちょっととは言えんしな。入っても静かにしておけば大丈夫だろう。
そう思っていると、Zから通知が来る。
文は前回と一緒で招待の文字が表示される。ここは参加しておこう。
参加するボタンを押すとリスコが起動する。
(羅夢の動物園に参加しますか?)
はいのボタンを押すと、リスコの画面が表示される。
初めてでよくわからんが、今回は使うわけではないからいったん閉じておこう。
「こっちでごり参加、確認できたから大丈夫そう、これからよろしくぅ!」
よろしくとだけコメントすると、話は終わり、いつもの他愛のない話に戻る。
この空気が何故だか安心感を覚える。まるで友人同士が話してるのを横目に聞いてるかのような、ほんと何てことない普通の時間。
自分はこういうのをどこか心の中で求めていたんだろうな。
「んじゃ、そろそろいい時間だし終わるねー。おつらむー。」
時間を確認すると、23時を少しこえたあたりだった。
「明日は休みだから、出来たら長く配信するわー。」
おお、それは楽しみだな。期待しておこう。
そういって配信が終わる。
お腹が空いたので、キャベツの千切りとカロリーメイトとビタミン剤を腹に入れる。
今日も実に良い時間だった、明日は長くするって言ってたし楽しみだな。
次の話で、ついに会話するかもしれません。
後、話した内容は覚えてるはずなのに、声がまったく思い出せません。
人って一週間ぐらいすると声を忘れるって話ほんとなんですね・・・・。