第16話 始まり 鳥3
もしかしたらここからはシリアスになるかも?シリアスってなんでしたっけ?
「えーーーーと、働いてないんやっけ?あの・・・聞いても?」
「大丈夫だよ、今その・・・精神疾患?でさ、仕事辞めて通院してるんだよね。」
「あぁ、そういうことね。なら休職中なんやね。」
「そう・・・だね。そんな感じかな。」
鳥から、なんとも歯切れの悪い返事が返ってくる。
精神疾患で仕事を辞めるという話は今の時代、珍しい話ではない。むしろ、しっかりと休息をとるという選択を選べたことは、褒められることである。
自身でしっかりと判断し、決められたのだ。胸を張ってもいい。
過去に休息という選択が見えなくなり、そのまま進んでしまった末路を自分は知っている。
見てきたわけではない。だけど知ってはいる。残酷な結末を。
「そんな恥ずかしいというか、申し訳なさそうに言わなくても大丈夫やで。今時そういう人たくさんおるし、むしろちゃんと休むって選択をしたことは誇っていいと思う。」
自分は嘘偽りない、ありのままの気持ちを鳥に伝える。
「いや、なんかこう・・・情けないとはちょっと違うけど、自分の歳ぐらいだとさ。結婚して家庭を持ってさ、子供も大きくなってきたぐらいの歳だから、なんだろ?こう何やってるんだろう?みたいな気持ちになるんだよね。」
鳥から返ってきた言葉はなんとも弱弱しかった。
確かに鳥の歳なら、そういう気持ちになるのは仕方ないのかもしれない。
一緒に遊んでた友人が、次々と家庭を持っていく中で、自分は休んでいてもいいのだろうか?という不安や、孤独感はきっと重くのしかかっているのだろう。
しかし、その不安から来る焦りで無理に行動したとして、冷静な判断がきっとできない。
それならば一度立ち止まって、または休みながらゆっくり考える時間も、自分は大事だと思っている。
だが、これはあくまで自分が過ごしてきた中での一個人の考え方である。
これを鳥に伝えるのは、返って悪影響を及ぼす可能性があるかもしれない。
「あー鳥の歳ならそういう気持ちが出てくるんやなー・・・。」
と当たり障りのない返事を返して、この話を終わらそうと
「なら、その休職中の間にイレアム始めたって感じ?」
話題をイレアムを始めたきっかけの話題に変える。
「そうだねー結構時間があったから、暇つぶしに始めた感じかなー。」
「なるなる、暇つぶしなら配信とせんの?」
「いや、毎日ではないけど、配信はしてるよー。」
「まじ?それなら配信行きたいから、何時ごろにやってるん?」
「朝の4時。」
「朝の4時・・・???」
「うん。朝の4時ごろから6時ごろまでかな。」
いや、時間帯!!
普通の人間が起きてる時間じゃない、それ畑するおじいさんよ。
そう思いながらも、不眠症とかで夜起きてる時間が非常に長いのかもしれない。
そうなると、自分のフォローしている人が配信していない時間で配信しようと考えると、必然的にその時間帯になってしまうのも無理もない。
「なんでその時間なん??」
と一応訪ねてみると
「いや、自分が見てる配信が終わると大体深夜だから、配信時間被りたくないからさ。って考えたら、まあ、この時間になるよねw」
自分にピッタリ賞を与えたい。おめでとう。私。
「それは、確かにそうなるなwww」
とお互い笑いながら、夜が明けていくのであった。
後、1~2話は鳥と主人公しか出てこないかもしれないです。