第12話 始まり6
さてさて、実食編です。
今日はまとめて二話、投稿したいと思います。三日間投稿できなかったので(-_-;)
最初に蓋を開けたときの匂いが印象的だった。
甘い匂いというか、お腹がすく匂いというかとても独特な匂い。
自分が今まで食べていたものに匂いなんてなかったため、もしかしたら初めての経験かもしれない。
「ほな、食べよか。いやぁ、反応楽しみやなぁ。」
「・・・・いただきますー。」
アリクイに言われて食べようとするが、少し戸惑う。
何度見ても色がすごい。周りの人からしたら、これはデミオムライスとすぐに理解できるかもしれないが、自分からしてみれば黒茶色の色をした物体である。しかしよく見たら、若干黄色い部分も見える。一体これは食べてよいものだろうか。
色々なことを頭の中で考えるが、結局こういうのは何事も体験である。
頭で考えてばっかりじゃ、何も変わらない。昔、どこかで聞いたフレーズをふと思い出す。
・・・・とりあえず、食べてみるとするか。
デミオムライスと呼ばれるものにスプーンを近づけ、真ん中部分から二つに分ける。
すると中から米が出てくる。そういえばデミオムライスって名前だったな。だから米が出てくるの当然かとそこまで驚くことはなかった。
ら「それな、上にある黄色いやつ、(卵焼き)っていうんやけど、それとその上にかかってるデミグラスソースと下の米と一緒に食べんねん。」
羅夢からデミオムライスの食べ方を説明される。なんと親切なのだろうと思いながら、スプーンの上に一生懸命、米と上に乗っていたものを集める。みんなは、こんな難しい食べ物を食べているのか。カロリーメイトとエネチャなんて仕事しながら片手間に食べれるというのに。
しかし、そんなメンドクサイ食べ物だというマイナスイメージは口に運んだ瞬間、忘れることになる。
まず感動したのは、米に味があるということだった。
自分がだいぶ前に食べた米は特になんの感想も出ないような印象だったのを覚えている。
しかし、今回はどうだろうか。しっかりとした味があるではないか。
それも、ただ味があるだけでなく、甘い。どれがこの甘さを出しているかと聞かれたら分からないけれど、さっき飲んだ透明なやつとは違った甘さであり、とても美味しい。
「おおー!!すごい!!米に味がある!!」
思わず声に出る。すると、
ら「いや、当たり前やねんwww」
ア「それな、チキンライスっていってなんやっけ?ケチャップとかなんか色々混ぜて作るご飯の種類やねん。ちょっと詳しくは覚えてへんけど。」
アリクイから食べ物の説明を受ける。ほう、これがチキンライスとものなんだなと理解する。
しかし、名前は、デミオムライスなのはなぜなのだろうと考えたが、すぐに羅夢が言っていたことを思い出した。卵焼きという黄色いやつとデミグラスソースが一緒を一緒に食べる。つまり、この味のある米単体なら、チキンライス。卵焼きとデミオムライスソースが一緒ならデミオムライス。そういうことだろうとなんとなく適当ではあるが、予想はついた。
鳥「食べてみてどう?」
鳥から、質問される。
・・・・たった、たった一種類の食べ物しか食べてないけれども、自分の世界が広がったと確信できるほどに驚いた。そして、この世の中にはこんなにも美味しいものが溢れているのかもしれないと、それを知れるかもしれないとドキドキしている自分がいることにも同時に驚いている。
生活していて、自分の楽しみなど大人になってからは一つもなかった。
働いて、家に帰り、飯(カロリーメイトとエネチャとキャベツの千切り)を放り込んで寝る。
起きたら、会社に行って働く。これを一生繰り返す。ただ、それだけ。
正直、すべて生きていくには必要なことだと、割り切ってきたので、辛かったかと言われたら分からないと答えていただろう。
しかし、その生きるために必要な食事を楽しみに変える。なんと革新的なことだろう。
これはもしかしたら、自分が変わるきっかけになるかもしれない。
いや、なるかもしれないじゃない、変わる時なのだ。そのためのきっかけなのだと、そう強く感じた。
・・・・もっと、食のことについて知識を付けよう。そして、気になったら食してみよう。
「・・・・こんなにも美味しいものがあるんだな。」
ア「他にも、もっとあるしやな。また色々、食べようや。」
ら「そうそうwまた食べてみてほしいものとか、出てきたら言うわw」
鳥「ちょっとご飯、作りに行くから住所教えて。」
チ「なんか泣けてきたわw」
羅夢たちにとってはどうだったのか分からないが、ただ一つ言えることがある。
これが、自分の人生の変わり目である始まりであったと。
正直、ちゃんと書けてるかと言われると自信はありませんが、その瞬間を思ったことをただただ、ありのまま書いてみました。
本当にあの時、あの場で食べたデミオムライス。忘れることはないと思います。