出かけよう
「それよりもリアナ様。今から少し出かけませんか?」
「え、あ、もしかして……。」
「はい。例のものです。」
俺がそう言うと、それまで少し曇っていたリアナの目が少し明るくなった。
「お姉様!私も行きたいです!」
「リリアネ様。今日は僕とリアナ様の2人分しか用意できていないのです。申し訳ございません。またいつか機会があれば、3人でどこか遊びに行きましょうね。」
「はい……。」
しょげた様子を見て、流石に皮肉りすぎたかと思った。反省。
ちょっと引け目を感じつつ、
「リアナ様、行きましょう。」
と言ってリアナと一緒にうちの家の馬車へと向かった。
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馬車ってなんでこんなに揺れるんだろう。おまけにこの体は酔いやすい。だから今すごく吐きそうだ。行き先を近めの場所にしておいてよかった。
しばらく沈黙が続いたが、僕が酔っていることに気づいたのか、
「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」」
と声をかけてくれた。優しいなぁ。
「僕は大丈夫です。リアナ様は大丈夫ですか?」
「私は大丈夫ですけど……。」
「ならよかったです。あ、そこの木の上にリスがいます!」
「あ、2匹います!どっちも可愛いですね!」
さっきまでの浮かない顔とは違って年頃の少女の様に明るい顔ではしゃいでいる。
「ですね!(リアナが)とても可愛いです!」
そこからは会話が弾み、リアナもたまに笑顔を見せた。普段のクールな顔もいいけど笑顔も可愛いなぁ。
しばらくすると、馬車が止まった。目的地に着いたみたいだ。
「エリアード様、着きましたよ。」