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第3話

 それから2週間が過ぎた。身体の傷は、最先端の医療を施していることもあって、日に日に良くなっていき、少しの距離なら歩けるようになるまで回復した。


 傷は、思ったより深く「何ヵ所かは、(あと)が残ってしまうかもしれない」と言われた。この調子だと、婚約者候補からは外される可能性のほうが高い。あの時、陛下と会わなくて良かった‥‥‥何となく、そう思った。


 伏せがちだった2週間の間、ルークから国や陛下の話を聞かされた。陛下の母は、今から1年前に毒殺され、それがきっかけで小さな反乱が起こり、戦争になったのだという。その時、まだ陛下は王子であったが、戦争が長引き、国王が戦死したため、王子が王の跡を継ぎ、戦争に出陣したのだという。


 もともと、この国───アーリャ国は小さな国だが、各国の中継地点のため交易が盛んだった。他の国が戦争を仕掛けて来ることも多かったが、優秀な魔法士を多くかかえていたため、いつも戦争にまでは至らなかった。


 だが、ある時どういう訳か、国に仕える魔法士が殲滅(せんめつ)してしまった。焦った国王が、魔法士を集めようとしたところ、王妃が毒殺され、いつの間にか戦争になってしまったのだという。


 当時、王太子だったイル王子は『氷の王子』と呼ばれていた。氷魔法を得意とする、冷徹で無表情の笑わない王子。それが、婚約者である現国王のあだ名だった。


 けれど、当時16才になったばかりの王が戦争に勝つには、国の戦力が少なすぎた。たとえ、優秀な軍事策略家がいたとしても、戦争に勝つのは難しかっただろう。


 現在、国王は17才。ルークと私は国王より1つ年上の18才だ。


「魔法騎士として戦場にでる様に言ったのも、きっと陛下なんだろう。幼なじみのアメリア様を、こんなに傷つけるなんて正直、許せないよ」


「そんな‥‥‥無理やりだったのかは覚えていませんし、もしかしたら、自分から言い出したのかも‥‥‥しれません」


 自分がこうなってしまった事は、自己責任だと思う。それに覚えていない人の事は、悪く言いたくなかった。


「なーんちゃって。そんなこと言ったら、不敬罪になるかもしれないから、黙っててね」


 ルークは、おどけた様子で私にウインクした。それが可笑しくて、思わず私は笑ってしまう。


「やっと、笑ったね。アメリア様は笑っているのが一番だよ」


 ルークは、私の髪を撫でると嬉しそうに微笑んだ。




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