未来 【月夜譚No.66】
契約の鎖がどうしても枷になる。苦しい状況で決まって魔法に制限がかかり、面倒なことが余計に面倒になる。
こうなることは契約時に解っていたが、こうも狙ったように魔法の制限と必要な状況が重なると、最早契約というより呪いに近い気がする。契約を交わす前に占い師にでも視てもらうべきだっただろうか。
だが、占い師にこの未来を視てもらったところで、自分は契約を交わさないという選択はしなかっただろう。自分にとってこの契約は必要なものであり、先の命運を左右する大きなものだ。
魔法に代わるものとして、剣術も習い始めた。慣れない刃に悪戦苦闘しているが、少しずつ身体が動きを覚えてきた。もう暫くしたら、実戦でも使えるようになるだろう。
自分で決めた道だ。後悔はしていない。
今の苦しみはきっと、未来に立ち向かう力になるだろう。