最終話 決戦
「それでは皆さん、次はこちらから攻めますわ」
ナーガズネストの司令室でベア子が提案する。
夏の祭りは終わった、龍神達は力と闘志に満ちていた。
「そうね、決着を付けましょう♪」
春華もベア子に同意する。
「いや、二人共その前に最後の調整しようか?」
守が待ったをかけた。
「最後の調整ですの?」
「何をするってのよ?」
ベア子達が守に聞いてくる。
「二人も俺みたいに龍になる湖で龍になろう」
守が告げる。
「そうですわね、私達も龍のパワーを得れば勝ち目も増えますわ」
「ああ、皆でドラゴンになるってのもありね♪」
ベア子と春華が同意し、二人はそれぞれの龍神の元へ向かった。
そして、ベア子達は守が龍となった異界の湖で龍となり新たな力を手に入れて
帰還した。
「新たな力を得て、元気百万倍ですわ♪」
「体から力が漲る、オーラが止まらない」
ベア子は金色、春華は赤のオーラを体から噴き出している。
確信するのは勝機、龍の力を得たパイロット三人は機体へと向かった。
七匹となった龍神達は列車のように連結し地球を飛び立った。
「敵の本拠への入り口はあそこね!」
「吐き気がするほど忌まわしいですわ!」
「宇宙を綺麗に浄化して帰ろうぜ!」
どれだけ宇宙を進んだのかわからないがリュウグウオーチームの眼前には
異空間へと繋がるゲートが開いていた。
ゲートに突撃してチームが出た先は、星空の中にどす黒い巨大な惑星が佇んでいた。
「あれが腐海の本拠地か、ついに来たぜ!」
「まって、星が変形しだした!」
「爆縮? いえ、人間の女性?」
腐海の本拠地であろう惑星が、リュウグウオーチームの目の前で一人の女性へと変化する。
「嬉しい、守君が自分から来てくれた♪」
漆黒のドレスを纏う黒髪の美女、彼女の名はデプス。
「誰だお前は!」
「守君は私の夫です!」
「腐海の親玉ね、退治してやるわ♪」
宇宙空間で対峙するデプスと真グレンリュウグウオー。
「私の名はデプス、この世界のプリンセス♪ 守君のお姫様♪」
デプスは笑いながら両腕を広げて真グレンリュウグウオーを抱きしめようとする。
「悪いが俺のお姫様はもうベア子がいるんだよ!」
真マーレへと変形し両手に三本ずつ大刀を持ち、デプスの両腕を切断する!
「クマのぬいぐるみは卒業する年よ、王子様♪」
切られた腕を再生させて蛇のような顔になり頭部を惑星サイズに肥大化させて
真マーレを飲み込むデプス。
「私、ぬぐるみ以上に愛らしくてよ♪」
真ゴルドへ変形しハリネズミの如く全身から金色に輝く巨大ドリルを生やして
脱出する真ゴルド。
「忌々しいクマ、あなたはいらない!」
再び美女の姿に戻たデプスが拳を肥大化させて殴りかかる。
「その拳、迎え撃ちますわ!」
こちらもラドンをアタッチメントして巨大な掌で張り手をする真ゴルド。
拳と張り手がぶつかり合い、大爆発が起こる。
「ぎゃああああ! 痛い、忌まわしい、神の光!」
ぶつかり合いの結果、デプスは片手が無くなっていた。
「私にも殴らせてよね、チェンジよ!」
春華が叫び真グレンへと変形する。
「喰らえ必殺、バーニング如意ホームラン!」
スペースコロニーほどの大きさにした燃え盛る如意棒でデプスを殴り飛ばす
真グレン、デプスは遥か彼方まで飛んで行った。
「後ろだ春姉!」
「わかってる!」
不意を突いて来たデプスの攻撃を回避する真グレン。
「あれは、この間のバハムート?」
ベア子が驚く、デプスは黑い西洋竜型のバハムートの体と一体化した
ロボット美少女のような姿に変化していた。
「バハムートも他の腐海獣も私の一部だから取り込んだの♪」
バハムートの尻尾を変化させた槍で突いて来るデプス。
「負けないわよ♪」
如意棒で迎え撃つ真グレン、互いに打ち合い飛ばし飛ばされの激闘となった。
「くっ! けこうやるわね、でも私達なら勝てる!」
「ええ、何故か負ける気がしませんの♪」
「最後は俺が決めるぜ、チェンジだ!」
そして再び、真マーレに変形する。
「何故? どうして私を嫌うの? 私は貴方が好きなのに!」
守を狙い槍で突進して来るデプス。
「知らん、俺が好きな女はベア子だけだ!」
デプスの片思いを拒絶する守と真マーレ。
「こいつで一気に決めるぜ、神海招来!」
守が叫ぶと同時に彼らがいる宇宙空間全体が金色の海に包まれた。
「ぎゃあああ、また、神の力?」
デプスがもがき苦しみ出す。
「そうだ、この銀河全体を洗濯する神の力の海だ!」
真マーレがかき混ぜるかのように神の力で満たされた宇宙を飛び回る。
やがて渦となり、宇宙はかき混ぜられて巨大な黄金の龍の蜷局となった。
その宇宙規模のうねりにはデプスも抗う事はできず、その体の全ては崩れ
分解されて消えて行った。
デプスや腐海が宇宙から完全に消え去ると同時に、真マーレの動きも止まった。
「やった、奴の気配が消えた♪」
「センサーにも反応なし、綺麗さっぱりですわ♪」
「やったのね、私達♪」
リュウグウオーチームは、自分達の勝利を実感した。
「ああ、やったぜ地球に帰ってお祝いだ♪」
「ええ、これで腐海の脅威は無くなりましたわ♪」
「え? それはめでたいけれど私達これからどうするの?」
春華が浮かれつつも現実に戻る。
「何を言ってますの? 私達の敵は腐海だけではありませんわ♪」
「そうだぜ、何故か知らねえが地球を狙う奴らはあちこちにいる」
「そっか、なら私達の戦いはこれからも続くのね♪」
「ええ、今はまずは帰って英気を養いますわ♪」
そうして、リュウグウオーチームは地球へと帰還した。
腐海や腐海獣との戦いは終わった、だがリュウグウオーチームの地球を守る戦いは
まだ終わりそうもない。




