第二十二話 再戦、バハムート
「……汚された、私の王子様が汚された!」
黒で統一された綺麗なお城の中で腐海の女王、デプスが叫んだ。
彼女は見ていた、バハムートを通して守を。
夢で幻視していた、その後の守の様子を。
「消えたと思ったら、彼が汚されて現れた」
デプスには神の世界は見えなかったが真リュウグウオーの誕生により
守の魂の性質が変質した事を知った。
「綺麗にしなきゃ、私の王子様を取り返さなきゃ!」
あれじゃあ取り込めない、私と世界を支配できない。
こちらに連れ込んで、私に染めなきゃ。
デプスの中で焦りが生まれた、あの汚れは恐ろしい。
あの汚れは痛い、あの汚れは私を殺す。
「バハムート! もう一度、彼の所へ行って来て!」
デプスがバハムートの名を叫ぶ、城の外で横たわっていたバハムートは
主の望みのままに再び地球へと飛び立った。
そして波際市に再び暗雲が立ち込めた。
「腐海反応発生、リュウグウオーチーム出撃して下さい!」
「「応っ!」」
リュウグウオーチームが、ナーガズネストから飛び立つ。
「手加減無用で、しょっぱなから真リュウグウオーよ!」
「よし来た、行くぜ!」
「了解ですわ!」
合体を邪魔されないように、ラドンがバハムートへ突撃する。
ラドンがバハムートへ攻撃して、自分へと注意を引き寄せる。
「まずは真ゴルドリュウグウオーからですわ!」
合体変形をした真ゴルドリュウグウオーがラドンをアタッチメント。
巨大な右手は、バハムートをがっしりと握り海へと投げ飛ばした。
「海なら任せろ! 修行の成果を見せてやる!」
「はい、お任せいたしますわ♪」
ベア子が守に抱き着く。
「ちょっと、いちゃついてないで戦いなさい!」
「わかってるよ真マーレリュウグウオー、大龍変化!」
守が叫べば真マーレリュウグウオーが雄叫びを上げ、ロボ形態から
巨大な青緑色の龍形態に変形した。
ラドンは分離して飛び去り、街側を守る位置に着いた。
「海は俺の縄張り、こっちの方がスイスイ動くぜ!」
バハムートの攻撃を掻い潜り、航行し接近してバハムートの胴に絡みつく。
「これが本当のドラゴンチョークだ!」
蛇状の長い胴体でバハムートの胴を締め上げる。
苦し身悶えながらブレスを吐こうとするバハムート。
「ケンカショットだ、喰らいやがれ!」
バハムートが口を開くのと同時に、真マーレリュウグウオーが敵より先に
口を開けて青い神聖なる海のエネルギーをブレスに変えてぶっ放した!
至近距離から放たれたリュウグウオー側のブレスを喰らい、バハムートは
爆散した。
だが、バハムートの肉片達はものすごい速さで天へと昇り出した。
「嘘、浄化できてない? なら真グレンリュウグウオーで行くわ!」
「「了解!」」
宇宙へと向けて上昇し、徐々に復活して行くバハムート。
真リュウグウオーはロボット形態に戻った。
「守が海なら、宇宙は私の庭よ!」
春華が叫び、真グレンリュウグウオーへ変形した。
ラドンの背に乗り宇宙へとバハムートを追いかける。
「行ける、今度はあいつが人型になっても勝てるわ!」
「春華さんが燃えてますわ!」
「俺達も燃えてねえ?」
パイロット三人から炎のようなオーラが噴き出ていた。
案の定、宇宙空間で再生したバハムートは人型に変形した。
「はっ! 修行した私達はもうあんたなんかこわくない!」
「何でしょう、負ける気がしませんわ♪」
「ああ、前とは違うぜ♪」
「唸れ金箍棒っ!」
真紅の長棍を構える真グレンリュウグウオー。
バハムートが叫びを上げて尻尾の槍を構えて突撃して来る。
「アチャ~ッ!」
対して春華も怪鳥音を上げて突き返すと、敵の槍が砕けた。
「金箍棒からグレンヌンチャクにチェンジ! バーニングラッシュ!」
真グレンが長棍をヌンチャクに変形させ分身し全方位からバハムートを襲う。
「最後に、アチャ~!」
ラッシュの最後は、必殺の跳び蹴りでバハムートをぶち抜いた。
だが、真グレンは敵が爆散しても戦いの構えを解かなかった。
「二人とも、お代わりに備えて!」
「腐海の反応、来ましたわ!」
「おいおい、あっちもパワーアップか?」
宇宙空間が歪み、ゲートが開いて中から先ほどより巨大な竜人型の
ロボットが現れた。
竜人型のロボ、バハムート改が胸を光らせるとラドンが割り込み
シールドを展開した。
バハムート改のビームはラドンのシールドで弾かれた。
「真ゴルドで行きますわ♪」
真グレンから真ゴルドへと変形しラドンを手にアタッチメント。
突っこんで来た相手に張り手を突き出し敵が開けたゲートへと投げ返す
「さすがベア子ちゃん、横綱級♪」
「お~っほっほ♪ ごっつぁんですわ♪」
「さて、次は相手がどう出るか?」
「う~ん、取り敢えずゲートは消えて腐海の反応は無いわね」
「では、一度帰還いたしましょう今夜はちゃんこですわ♪」
「まあ、敵にデータ取られてもデータを越えれば良いだけか」
何故か敵が様子見ではと感じられた守は、ひとまずの勝利を喜んだ。




