第二十一話 そして開く真リュウグウオーへの道
「ヘラクレスに悟空に、二人ともべらぼうだな」
俺が行なった湖でのドラゴン生活よりもドラマチックだった。
何か、手みたいな形をした小さい五本首の蛇がベア子の近くを飛んでる。
春姉は孫悟空みたいに、金色の棒を持っていた。
「いや、自分が龍になるのも凄いんだけど?」
「よくぞご無事で、無事のお戻りが一番ですわ♪」
何か、心配されたり安堵された。
かくしてパワーアップを果たした俺達は成果を試そうと出撃した。
訓練場所は市内の山中の開けた場所。
「リュウグウオーチーム、出撃!」
オペレーターの声と同時に基地から出撃した俺達。
巨大な五本首の蛇のラドンも出撃した。
まずはグレンリュウグウオーに合体すると、金の棒を持ちラドンの背に乗る。
「筋斗雲に乗った孫悟空みたいですわ」
「俺もそう思う」
「悟空師匠直伝の技、炎外身」
グレンリュウグウオーが、自分と同じ形の分身を炎で生み出した。
生まれた炎の分身が拳や蹴りを繰り出したり炎のを振るう。
分身を消し、棒での突きや振り回し帽に炎を灯しての演武。
「まあ、他にも出せるけど敵がいないからこの位で」
春姉は自分の番は終わりと締めた。
「ではお次は、ゴルドリュウグウオーにチェンジですわ♪」
今度はゴルドリュウグウオーへ、するとラドンが分離して両腕と両足に
巨大な茶色の蛇の追加装甲が合体し肩には茶色の蛇のキャノンが付いた。
ラドンの頭は、伸びて鞭やアンカーになったり肩のキャノンは超高熱の
マグマエネルギーを発射すると火力の向上を見せた。
「まだだ、私とゴルドの仲を見せてやる」
女性の声、誰がしゃべったのかと思えば肩でキャノンになっているラドンの蛇頭。
手足と肩の蛇頭が外れると、ゴルドリュウグウオーが飛び上がりラドンも追随。
そして、ゴルドリュウグウオーの右腕にラドンが合体。
ゴルドリュウグウオーは、指が蛇の頭と言う異形の巨大な右腕へ変化した。
「お嬢、これがまさに奥の手のラドンアームじゃ♪」
「私の前で惚気るとは羨ましいですわ、この右手で張り手やら色々できそうですわね」
張り手をすれば、指の蛇頭が伸びたり噛み付いたり火を吹いたり。
「ラドンインパクトは星をも砕けるそうですわ♪」
ベア子が微笑む。
「さて、次はマーレリュウグウオーがどうパワーアップしたのか俺にもわからん?」
俺自身何が何だかわからんがマーレナーガにチェンジする。
「守、乗り換えです♪」
マーレナーガが優しく告げると、コクピット内の海から翡翠色の龍が出て来て
俺を飲み込んだ。
気が付くと俺は外に出ていた。
そして手足を見て、自分が大きくなり翡翠色の龍人型ロボットになっている事に驚いた。
「嘘だろ、俺自身がロボットになってる?」
サイズはマーレリュウグウオーの半分、25m位でなんとなく。
「守、素敵です♪」
「ようこそ、私達の領域へ♪」
「新たな龍神の誕生じゃ♪」
「可愛らしい坊やだね♪」
リュウグウオーが分離し三体の龍神とラドンが俺に絡んで来る。
「ま、守がロボになっちゃった!」
「な、何て事をしてくれたんですの!」
ゴルドナーガやグレンナーガの中で、ベア子や春姉が驚いているのが見えた。
「守、貴方がコアになるのですよ♪」
「新たな合体の時ですね♪」
「真リュウグウオーに合体じゃ♪」
「な、何言ってるんだかさっぱりわかんねえ!」
気が付くと、俺の体の周りに三体の龍神が分裂して集まって来た。
両足がゴルドナーガ、両腕がグレンナーガ。
そしてマーレナーガの頭を兜のように被り、前足付きの胴と後ろ足付きの尻尾が
俺の肩鎧になった。
ラドンは合体に加わらなかった。
そう感じた所で意識を失った俺は、気が付くと人間の体をベア子に受け止められていた。
「ああ、良かった守君が人間に戻って♪」
ベア子が瞳に涙をにじませる。
「守、あんたやったじゃない♪」
春姉は俺のこめかみをぐりぐりする。
「痛え、ここは何処だよ?」
どこかの神社の中みたいな雰囲気の広い場所だった。
「真リュウグウオーのコックピットだそうですわ♪」
ベア子の言葉に、ここがあの合体ロボの中かと驚いた。
「ついさっきまでロボット化してたとは思えねえ」
やらかした自分でも理解が追いついていなかった。
「ほら、さっさと席に着きましょう♪」
春姉が急かす、コックピットには赤青黄の三色のパイロットシートが
あり全員がそれぞれの色のシートに座ると眼前にスクリーンが浮き出た。
「うっし、これで完成かな? とんでも過ぎるが行ける気がするぜ」
「ええ、力が湧いてきますわ♪」
「これなら、この間のバハムートも敵のボスも倒せそう♪」
リュウグウオーチームは、新たな力を手にしてパワーアップを実感した。




