第十七話 リュウグウオー対バハムート後編
「ドラゴンだと、こっちのパクリか!」
現れた腐海獣は黒い西洋のドラゴンの姿をしていた。
「ゲームのバハムートみたいね!」
「口を開けましたわ、防御を!」
こちはグレンリュウグウオーで敵と対峙する。
「街に被害は出させないっ! グレンウォールッ!」
敵が口を開けて吐き出して攻撃するならこっちも機体の龍頭から
真っ赤に燃える炎のバリヤーを張る。
敵が吐き出したプラズマみたいな紫色のエネルギーとこっちのバリヤーが
ぶつかり押し合いになる。
「負けるかぁっ! 気合いだ~~~っ!」
相手の攻撃に負けるかと春姉が気合を入れバリヤーの出力を上げる。
結果は相手の攻撃も消えたが、こちらはバリヤーは消えて合体解除。
「街は無事ですわ、再合体を!」
ベア子の声に応じて、空中でゴルドリュウグウオーに再合体しようと
試みた俺達はバハムートの尻尾の一閃で弾き飛ばされた。
激しい音を立てて落下し、俺達は折角守った街を自分達で壊してまった。
「次が来る、今度は俺が! マーレナーガ、頼む!」
大気中の水分を一気に凍らせて街を氷のドームで覆う。
俺が防御に入る間、グレンナーガもゴルドナーガも人型に変形して体勢を立て直した。
「守、再合体よ!」
春姉が語り掛けて来る
「いえ、それよりもバリヤーの強化を!」
ベア子が俺の所に近づいてゴルドナーガからエネルギーを発する。
「そうね、私も加わるわ!」
グレンナーガも加わり三体のエネルギーでバリヤーを張る。
バハムートの紫色のブレスと俺達のバリヤーがぶつかり合う。
「守が張ったバリヤーの方が防げてる?」
「守君、このままいけば押し返せるかもしれませんわ!」
「何だかわからないがやってみる!」
マーレナーガの中で俺は一心不乱にでんでん太鼓を鳴らす。
俺達が張ったバリヤーの出力が増して行くと同時に氷のドームが氷山へと
変化して行く。
「何でしょう? 押し返せそうな気がしますわ!」
「うん、私もできそう!」
「それじゃ皆で行くぜ!」
俺達三人と三体の心が一つになり機体からエネルギーを間欠泉のように打ち出し
敵の攻撃を防いでいた氷山を押し上げる。
押し上げられた氷山が、バハムートのブレスを消滅させただけでなく直撃する。
「よし、このままマーレリュウグウオーで再合体だ!」
「「応っ!!」」
再び三体の龍神は人型から龍へと変形、空へと上昇しながら尻尾に噛み付いて
連結しマーレナーガがメインのマーレリュウグウオーへと再合体を果たす。
「このまま行くぜ、マーレスティンガーッ!」
マーレリュウグウオーが大気中の水分を纏い回転する。
そして、水と冷気のドリルと化してバハムートを追って急上昇っ!
奴のどてっぱらに体当たりをかました。
「ぶち抜けませんでしたわ!」
ベア子が不満げに叫ぶ。
「敵を宇宙へ押し出すのが目的だから良いのよ♪」
春姉が俺の考えを代弁してくれた。
そして俺達はバハムートと一緒に、一気に大気圏を突破する。
勝負の舞台は地球から宇宙空間へと移行した。
「ちょっと、バハムートがうねうねしだしたわよ!」
春姉が叫んだ通り、バハムートの体がスライムが踊るようにうねる。
「これは、変形ですわ!」
ベア子が叫ぶ、うねりながら奴は自分の体をドラゴンの姿から人型へと
変形させた。
「ち、頭が盾で尻尾が槍の騎士型になったか!」
バハムートはドラゴンの頭を盾、尻尾を槍にと武装させた黒い騎士を
思わせる姿に変わった。
「長物ならこっちもあるぜ、荒波大刀っ!」
刀身が波を象った中華風の長柄武器を大上段に構える。
刀身から大波を放出し巨大な氷の刃を作り振り下ろす。
バハムートも槍を突き出し刃と穂先がぶつかり合った!
「なっ! 相打ちですのっ!」
俺達の大刀の氷の刃とバハムートの槍の穂先が同時に砕ける。
「大丈夫、荒波大刀が壊れたわけじゃない!」
「その通り、追撃行くぜ!」
再び大波を刀身から噴き出して今度は真横に薙ぎ払う!
相手は盾で受けたけど吹き飛ばされるっ!
「あの感じ、相手は白兵戦どころか人型で戦うのが初陣ね」
春姉がバハムートの戦力を分析する。
「ならば、ラーニングされる前に撃破しませんと!」
ベア子の言うとおりだが、そうは問屋が卸さないようで打ち合いの中
バハムートも徐々に槍や盾の使い方に慣れて来ているのを感じた。
「こいつ、今までの腐海獣より賢い?」
「敵も成長してるってのかよ、だが負けてたまるかタッチだベア子!」
俺は搦手で攻めるべく、ゴルドリュウグウオーに変形する事を選ぶ。
「お任せあれ♪」
バハムートの攻撃を分離回避で凌ぎ、ゴルドリュウグウオーへと変形する。
「ドリルとったりですわ!」
重厚だが素早く動けるゴルドリュウグウオーが敵の突きを捌いて腕を取る。
バハムートの腕関節を極めつつ密着部分からドリルを生やして奴の腕を抉る!
痛みに呻き抜け出そうともがくバハムートだが近接格闘の双璧であるベア子
の技からは抜けられず腕をもぎ取られて蹴飛ばされる。
もぎ取った腕を放り投げ、マグマの砲撃で消滅させるゴルドリュウグウオー。
バハムートは己の身に何が起きたのかを実感したのか、はたまた損耗度合いを
計算したのか尻尾の無いドラゴンへと変形し逃走した。
「あ、逃げたっ!」
「深追いは止めよう、こっちも結構消耗してる」
「そうですわね、街の被害の処理もしませんと」
バハムートが逃走したのを見届けた俺達は地球へと帰還した。
地球へと帰って来た俺達は後始末に追われる事となった。
球技大会は勿論中止、秋に再度行われる事となった。
ナーガズネストの司令室に集まった俺達。
「敵も強気なって来ましたわね」
「となるとこちらもパワーアップをしないと」
「俺達だけでなくマーレナーガ達も強化しないとな」
俺達リュウグウオーチームには、パワーアップと言う課題が出来た。




