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覇龍戦断リュウグウオー  作者: ムネミツ
覇龍戦断リュウグウオー編
14/24

第十四話 乙女の敵を投げ飛ばせ!


 「誠に遺憾な事に、不快極まりない腐海獣ですわっ!」

 ベア子がゴルウドリュウグウオーで、巨人型の腐海獣と

手四つに組み合う。

 「天地を担う金剛力、ごらんあそばせ!」

 激闘が始まる。


 その日、俺と彼女のホワイトデーは朝っぱらからぶち壊された。

 

 三月十四日、午前四時に俺達リュウグウオーチームは突然の警報により

眠りから叩き起こされた。

 『腐海獣出現、リュウグウオーチームは直ちに出動して下さい』

 オペレーターの女性スタッフの怒気を込めたアナウンスが響く。 

 「マジかよ、折角計画したデートの約束だってのに」

 俺は青いパジャマ姿のままで部屋を飛び出す。


 「ああもう! 睡眠妨害なんて、とんだ嫌がらせよ!」

 春姉も赤いジャージ姿で合流する。


 「腐海獣、絶対に許しませんわ!」

 ベア子も黄色のトラックスーツ姿で出てきた。


 全員が機体に乗り込み、出撃し空中で合体。

 ゴルドリュウグウオーで敵が出現した波際市中心へと降り立つ。


 「ちょっと! 今夜ホワイトデーパーティーやるってのに!」

 春姉も私情で怒る、俺も怒ってるけれど一番激怒していたのはベア子だ。


 俺達を意識したのかはわからない、腕が四本ある巨人型の腐海獣に

何か嫌な予感がした。

 敵とこちらで合計八本の腕をがっちりと組み力比べ、パワーは互角。

 だが、敵の腹から文字通り口が開き何かを吐こうとする。

 「それは、アニメのやられ役のお約束よ!」

 春姉が叫び、こっちも胴体のグレンナーガの赤い龍頭が口を開いて

火を吹いた!


 ギャアギャアとうめき声を上げて手を放す腐海獣。

 「ならお次は高波キックだ!」

 俺が叫ぶと同時に、足になっているマーレナーガが足に水流を纏いながら

敵を空へと蹴り上げる。

 

 「どうするベア子ちゃん、変形する?」

 春姉がベア子に聞く、答えはわかり切っているが。

 「いえ、ここは私に行かせて下さいな!」

 「俺からも頼む、俺の分の怒りはベア子に託した」

 「妬けるわね、この仲良し夫婦っ!」

 うん、嬉しい台詞だ。


 「行くぞ、飛べ!」

 まずは俺の操作で足裏からの噴水でジャンプ。

 「ブースト! 追いついた!」

 更に春姉の操作で背中から炎を吹いて上昇!

 「捕まえましたわ! 乙女の怒り、思い知りなさい!」

 ゴルドリュウグウオーが敵の足を掴み空中でぶん回す。

 「アルプス山飛ばしですわ~!」

 空中でのジャイアントスイングからの投げ飛ばしだ!


 「ちょっと、敵が本当に流星みたいにアルプスの方まで飛んで行っちゃったわよ!」

 春姉が叫ぶ、マジかよ?

 「当然ですわ、アルプスの雪山をリングにして決着ですわよ!」

 ベア子が荒ぶり空を飛ぶ、それに連れられて俺達も敵を追ってアルプスへと向かった。


 アルプスの山中に真昼の流星が落ちる、それはゴルドリュウグウオーに投げ飛ばされた

腐海獣だ。

 それを追う様に降り立つゴルドリュウグウオー、リングイン。

 「天山でもやったけど、また雪山の決闘ね」

 春姉がぼやく、邪魔が入らない場所が地球には少ないから仕方ない。

 「安全対策の為ですわ、地球環境には御免遊ばせ♪」

 ベア子が笑う、それはお嬢様の笑みではなく獲物を狙う熊の威嚇!

 

 「んじゃ、ゴング代わりに鳴らすか」

 俺がでんでん太鼓を鳴らすと同時に敵も動いた。


 激しい体当たりがぶつかり合い、雪崩が起きる!

 「勝負の邪魔だ、凍れ!」

 俺の操作で足となったマーレナーガから海水を噴出し雪崩を凍らせる。

 「ベア子ちゃん、熱いのかましちゃって♪」

 春姉の操作でゴルドリュウグウオーの四本の腕の掌が赤熱化する。

 さらに掌からドリルが生えて凶悪さを増す、こっちがヒールみたいだ。

 「行きますわよ♪ 焦熱ドリル地獄張り手っ!」

 ドリルが唸り炎燃え盛る張り手のラッシュが巨人型の腐海獣を襲う。

 

 腐海獣も、必死に四本の腕を動かしガードするが腕が無くなっては

再生すると本当に地獄の罪人の刑罰の責め苦だった。


 本来は凶悪な武器であっただろう、腹に空いた口からギャアギャアと

苦悶の鳴き声が響きわたる。


 だが、ベア子の怒りは収まらない。

 「泣いたって許しませんわ! 腐海獣の涙に価値はありません!」

 ベア子の乙女の怒り爆発モードは止まらない、敵を捕らえて担ぎ上げると

アルゼンチンバックブリーカーで真っ二つに分断した。

 

 真っ二つに分断されては再生能力も効果がないのか、腐海獣は動きを止めた。

 「ベア子ちゃんの勝ち~♪」

 「ウィ~~~~~ン、ですわ~~~っ!」

 春姉が勝利を告げ、ベア子が雄叫びを上げて俺は試合終了のゴング代わりに

でんでん太鼓をトントンと鳴らした。


 こうして、ホワイトデーを邪魔する乙女の敵は倒された。

 俺達は倒した腐海獣の死体を焼いて浄化し、基地のある波際市へと帰還した。

 

 戻った俺達は、風呂に浸かった。

 戦っている最中は、リュウグウオーの力で身体強化と疲労回復を受けて

いたが戦いが終わると一気に無茶した分の疲労が襲って来たのだった。

 

 風呂を出た俺達リュウグウオーチームは、着替えや身支度を終えると

倉庫に集まった。

 「ささやかですが、ホワイトデーのパーティー開始ですわ♪」

 ベア子が音頭を取ってのホワイトデーパーティーが始まる。


 腐海獣が市街に落ちて暴れたせいで、俺とベア子のデートは台無し。

 パーティーも外注した分の料理は無しで基地の食堂スタッフが用意した分

のみとささやかな物になってしまった。


 「こういう学生のパーティーもたまにはありだぜ♪」

 「盛り上げて行こう♪」

 「皆生きてりゃハッピーだ♪」

 と、ノリの良い男性スタッフの声に他の面々も次第に感化されて行き

 「男子達、お返し頂戴♪」

 「ホワイトデーも女子が主役よ♪」

 と女性スタッフも乗って来てと盛り上がって来た。


 「私も厨房に行くわ、料理で腕を振るうわよ!」

 春姉は厨房へと走って行った。

 「……とんだホワイトデーですわ、折角守君と計画を立てたのに」

 ベア子は残念がっていた。

 「でも、俺はベアトリスとずっと一緒にいられたのは良い事だよ♪」

 俺はベア子を本名呼びで慰めた、するとベア子は顔を真っ赤に染める。

 「はぅ~~~~っ♪ わ、私もですわ~~♪」

 赤面したベア子が俺を思いきり抱きしめる。


 それはまさしく、ベアハッグであった。

 俺は叫ぶ間もなく、意識を失った。

 

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