第十三話 お返しの約束
「バレンタインのお返しって、どうすりゃ良いんだ!」
俺は自室で叫んだ、本命チョコとか恋人とか幸運に恵まれすぎた
のはありがたいがホワイトデーのお返しってどうしよう?
「相手の財力がべらぼうなので、下手に何か買って渡すのは怖い」
ご令嬢へな恋人へのプレゼント、ハードルが高い。
「よし、こうなりゃ直接ぶつかるしかねえ!」
俺はベア子当人に相談する決意をして立ち上がった。
自室を出て、基地内でベア子を探す事にする。
携帯を取り出して、ベア子の連絡先を表示してかける。
「守君? どうされましたの!」
ベア子がすぐに出てくれたがその声は驚いていた。
「今どこにいるんだ? ホワイトデーのお返しの相談をしたいん」
「基地内です、すぐに参りますわ!」
通話が終了する、そしてピンクのトレーニングウェア姿のベア子
が汗をかきながら走って来た。
「お待たせいたしましたわ!」
運動中だからか顔が赤いベア子。
「お、おう! 取り敢えず部屋に入って話そう」
俺は彼女を自室へ招き入れた。
「単刀直入に言うと、恋人へのお返しって初めてなんだ」
スポーツドリンクをベア子に差し出して語る。
「存じておりますわ、これまでの調査で守君に女の影がない事も」
調査してたんかい! と思いつつ話を続ける。
「ベア子に何をプレゼントしたら報いられるのかわからないんだ」
「素直に言えば、私達のベビーが欲しいですわ♪」
「それは俺も欲しいけれど、時勢がまだ悪いんだよな」
俺としても、愛する女性と子供を為して家庭を持ちたい。
だが、腐海の奴らとの戦いや社会的なあれこれでまだ難しい。
「まあ、私は身籠ったとしてもいざとなれば戦えますわ♪」
「できれば、安静にして安産でその時は俺が頑張るから」
ベア子の言葉に一応ツッコむ。
「まあ前置きはさておき、相手の事を想い正直に打ち明けてくれるのは
良い判断ですわ」
これまでの会話は前置きだったのか? そして、何故だか褒められた。
「賢者の贈り物のように、相思相愛な夫婦でもすれ違う事がありますし
報告・連絡・相談と意思確認は仕事以外でも大事ですわ♪」
経営者でもあるベア子が語る。
「俺としては、ホワイトデーの日はデートして一緒にプレゼントを見て
回った上で贈りたい」
俺は自分の中にあるざっくりとした考えを語る。
「では、そのプランをこれから肉付けして行きましょう♪」
ベア子が俺に提案して来たので俺は頷いた。
「守君の今月のお給料から出せる範囲内で当日の予算を決めましょう♪」
俺はその言葉で、改めて目の前の女の子が自分の雇用主である事を思い出す。
「ベア子には、身も心も財布も握られてるな俺」
「一生離しませんからね、愛の終身雇用ですわ♪」
勤め先の社長と社内恋愛する会社員みたいだな俺。
「ホワイトデーの日は、やはり基地でパーティーはするの?」
「ええ、デートの後は基地でパーティーと言う流れですわね♪」
俺とベア子は、遠足の準備をするようにデートの計画を立てて行った。




