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第5話 辛うじて

地面に落ちた刀を見ると、伊織は女の子に逃げろと叫んだ。伊織に逃げろと言われた女の子は、どうして私が逃げいないといけないのと武者の攻撃をギリギリで避けながら伊織に返答をする。


「だけど武器もなしにどうするの!」


女なの子は刀だけが武器じゃないわと伊織に言うと、武者の攻撃をかわしながら当身技を使用して攻撃を始めた。


「武器を持ってなくても戦えるのよ!」


女の子は身体中に力を込めて武者の攻撃を避けると、一気に当身技で攻撃をする。武者はその攻撃を受けて時折呻き声をあげるも、それほどダメージは受けている様子はなかった。


「やっぱり武器での攻撃でないと倒せないか……」


女の子がそう呟くと、伊織の方を横目で見た。すると、武者はその隙を見逃さずに女の子の首を左手で掴む。


「しまった!? 離して!」


武者の左手を女の子は両手で掴んで抵抗をするも、武者は微動だにしない。武者は右手で持つ刀を女の子の腹部に突き刺して貫くと、勢いよく引き抜いて女の子を首から手を放して地面に落とした。


「あぐぅ……やられたわ……まさか私がこうも簡単に負けるなんて……」


女の子は血を大量に吐き出しながら気絶をしてしまった。伊織は倒れた女の子を見ると気絶しそうなほどの痛みを我慢して、側にある女の子の刀を右手で掴んだ。


「俺がやらなきゃ……今救えるのは俺だけなんだ!」


刀を両手で握り締めて武者に立ち向かうと、伊織の攻撃を身体を捻って武者はかわした。武者はそのまま右膝で伊織の腹部を蹴ると、伊織は地面に倒れてしまう。


「ゲホッ……俺が倒せるわけないか……」


伊織は地面に仰向けで倒れて血を吐いていると、あの鈴が鳴るような綺麗な女の子の声が頭の中に響いてきた。


「死ぬ間際に聞く声があの女の子の声か……」


その女の子の声は伊織の頭の中で、目覚めてと何度も繰り返し言葉を発していた。


「目覚めてって言っても……俺には何の力もないよ……」


伊織は息が荒くなりつつあり、今にも気絶しそうであった。その中で頭の中で不思議な女の子の声が響いているので、頭の回転が追い付かなくなっていた。


「俺はどうすればいいんだ……教えてくれ……」


伊織が小さな声で呟くと、女の子が違う言葉を発し始めた。


「え? 胸に手を付けて、剣をこの手にって呟くだけ?」


そう伊織は頭の中の女の子の声の通りに言葉を発すると、伊織の身体が輝いて右手に白銀と淡い青色の二色が映えている綺麗な長剣が出現した。伊織は自身の身体の輝きが消えると、痛みが引いていることに気がついた。


「痛みが消えた? 斬られた傷も消えてる!?」


伊織は自身の身体に起きたことに不安を覚えるも、今は目の前の武者を倒すことを考えることにした。


「傷が治って武器が突然出たけど、倒せるかは分からない……でも、倒れている女の子や愛奈を助けるために、今は戦うしかないんだ!」


伊織は両手で長剣を握り締めて、武者に向けて剣を振るっていく。武者はその伊織の攻撃を刀で防いだり身を捻って避ける。伊織は当たれと何度も叫びながらさらに攻撃を続けていると、武者が左足で伊織の腹部を蹴った。


「ぐぁッ!? 強すぎる! 俺じゃ勝てないのか!」


そう伊織が長剣を地面に刺して立ち上がると、武者に抱き着いて誰かが動きを止めた。


「今の私には動きを止めるだけで精一杯よ! 今のうちに倒して!」


武者の動きを止めたのは倒れていた女の子であった。女の子は武者の背後に抱き着いて武者の動きを止めていた。


「早く! 今のうちに倒して!」


女の子の必死の叫び声を聞いた伊織は、すぐに長剣を握る手に力を込めて武者の怪物に斬りかかる。


「これで倒れてくれ!」


伊織は長剣で武者の怪物の心臓辺りを鎧ごと貫いた。すると武者の怪物は赤い血を大量に吹き出しながら両膝を地面について倒れた。

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