過敏になる切っ掛けは浴室のカビです
引っ越し後、キッチンの備え付けの収納スペース内が一切拭かれてすらいない事に気付いても、ブツブツ言いながらもクレームを入れるつもりはありませんでした。
ここで引っ越しの時系列を確認しておくと――
6月24日水曜日、この日は夫婦で休みを取って引っ越し屋に大型の家具家電だけ運んでもらい、近所に住む兄にも手伝ってもらって前の賃貸で使っていた不用品を粗大ごみとして市の回収場所に出しに行ったり。
その後は翌日以降毎日、夫婦で自家用車で新居に持っていく荷物を運んで……
賃貸を引き払ったのは6月28日、日曜でした。
エッセイの最初でメンタルを病んだ経験があると書きましたが――
そのときは仕事が一番の原因だったんですが、一番酷かった時期に実家の母に「もう平日は夕食作ろうとか思わない方がいい」と止められ、ストレスの酷かった職を変えた現在も、平日の夕食はお金を払って実家で食べさせてもらっています。
――なので、入居後もキッチンは水出しの麦茶を作るのが精々で、朝晩使うカップやら子供らの給食の箸を洗うくらいにしか使っていなかったんです。
キッチンの収納を磨いて食器やらなんやらをしまったのは、賃貸を引き払った後の6月末~7月頭の週の平日の夜を使っての事でした。
そして――7月5日の日曜日。
この日は、入居後初めて夕食を作ってみようと思っていました。
それと、ここまでの十日ほどでハウスクリーニングが徹底されていない事が分かって来ていましたから、まだシャワーしかしていないお風呂の風呂釜洗浄を市販の洗浄剤でやっておこうと計画していました。
風呂釜洗浄の準備を始めたのは午前中の事です。
浴槽に水を貯めている間、そういえば……とキッチンでシンクのゴム製の排水溝の蓋を開けました。
入居後初めての事です。
そうしたら……取っ手を持って取り出したステンレス製のゴミ受けは下の方の数センチが真っ黒な得体のしれない汚れに侵されていまして――
いやもう、声も出ませんでしたよね。
こういうのは証拠写真を撮るべきなんでしょうけど、気持ち悪すぎてスマホのフォルダーにそんな写真は記録したくなくて。
即ポリ袋を三重にして、自転車で行ける転居前の賃貸の辺りだと月曜日が鍋とか出していいゴミの日だからと捨てに行きました。
……本当は洗ってから捨てるのがマナーだと思うので良くないとは思いますが、そこはもうごめんなさいです。
触るのはビニール手袋とかしたとしても無理でした。
捨てに行っている間は風呂釜洗浄は中断です。
まあ、まだ水を張っただけでしたし。
排水溝には外出前に、本来の使い方的にはゴミ受けに入れて放置するという排水溝洗浄剤を、ゴミ受けはないけどそのままぶち込みました。
――で、家を出たついでにちょっと買い物もして帰宅。
排水溝の内壁も真っ黒だったんですが、洗浄剤で少しは地のグレーが顔を出していました。
なので落ちない汚れではないのだろうと判断して、キッチンハイターと片栗粉を混ぜてペーストを作り、排水溝の内側の汚れに貼り付けました。
それから、中断していた風呂釜洗浄も……
洗浄剤の説明書のとおり水から追い炊きをして、止めてから水を変えてもう一度追い炊き……と済ませました。
こちらは多少汚れは出てきましたけど、排水溝に比べたら驚くような汚れ方ではなかったです。
その排水溝の方は、一部汚れが残りましたけど半分以上は地の色が出たし、午後は来客予定もあったしで、掃除はシンク内も磨いてキッチンハイターパック一回で終了に。
捨てたゴミ受けと蓋の代わりはとりあえず百均で買ったものを付けましたから、まあこれで料理をするのもそこまで気持ち悪くはないかな、と。
で、午後三時過ぎから来客――
夕方お見送りの後、慣れないキッチンで初めて作るちゃんとした料理。
子供たちと夕食を食べている途中で旦那が仕事から帰宅したので、食後子供たちとシャワーを浴びてもらい私は夕食の後片付けを……
で、私もシャワーを浴びたかったんですが、下の娘に寝かしつけはママじゃないとダメと言われ、先に寝かしつけを――しながらこの日は寝落ちました。
そして、翌、7月6日月曜の朝です。
前日寝落ちたので朝の家事の前にシャワーを浴びようと浴室に入りました。
そこで目にしたのは――前日の昼、風呂釜洗浄をしていたときには真っ白だった、床から三センチ程の高さの壁の目地が、真っ黒に変色しているという光景でした……