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平和とか どうでもいいから 金寄越せ(575)

だから全部フィクションなんだってば


 時は流れ十五年後。

 俺は二十歳になっていた。


 ハロイン新作入荷と書かれた看板の前で、俺は仁王立ちしている。今日は門出の日であり、そして決着の日だ。

 今日こそあのドラゴンを倒さねばならない。意気込みはあった。俺ももう二十歳、流石に勇者だなんだとクサイこと言うわけじゃないが、産まれた街を守るために何かしてもいい頃じゃないか? と思うわけだ。


ーーん?ハロイン? ハロインってなんだ、って?

 おいおい。ハロインもしらないのか? 

 当然、秋の終わりに行う収穫祭のことに決まっているだろう。今は春? そんなことどうでもいいんだよ。

 ふわふわした楽しい気分になれる上に大小様々の百鬼夜行が見れるなんて、ハロウィンくらいしかないだろ? ないんだよ。


 ゴオオオという重厚壮大な音が辺りに響いた。

 地から噴き出す黒煙と共に、真昼間の街にドラゴンが現れる。火炎を吐く黒竜だ。この近隣を荒らしまわっている……荒らしまわっている? 荒らしている竜である!


火焔魔法(フレイヤ)!!」


 剣戟と共に火焔魔法を撃った。俺はあんまり魔法は得意じゃないが、剣戟においてはこの国では十本の指に入るとまで言われている腕前だ。

 手応えはばっちりで、ドガァンと建物が崩れる音がした。その直後、竜の咆哮と共に、何故か集まっている野次馬の声が届く。

 ひそひそ。

 ざわざわと。

 何を言っているんだ?


「……だから言っただろーに。外国産の粗悪品なんかに手ェ出すから」

「あーあー。また幻覚相手にフレイア撃ってるよ」

「今度は何を見てるんだろうねえ」

「爆笑しながらフレイア撃つの、ちょっと見てておもしろーい」


 竜が煩くて何言ってるのかよくわからない。だが「粗悪品」という言葉は聞こえてきたので、それについて考える。

 まず、粗悪品に手を出すのは仕方ないのではないか。

 金が無いのだ。圧倒的に。

 かつて前世と呼ばれていた俺の妄想世界では、その手の薬はべらぼうに高かった……らしい。そこではやってなかったから噂でしか知らないが。それに比べたらここでの値段は破格も破格、七割引きだ。

 だがそれでも高かった。俺はいつでも金に餓えていた。

 だからこうやってモンスター倒して金を稼ごうとしているわけだが、たまに金にならない奴らもいたりする。普通モンスターは金になるんだがなあ、と仲間にぼやくと、決まってこう言われるわけだ。


「そりゃあお前、魔法キノコのやりすぎだって」

「……?」


 確かに魔法キノコにはだいぶ世話になってるが何か関係あるのか?


 しかも借金も結構多かった。気付いたら建物が破壊されていることも多くて、何故かその補償が全部俺にかかってきているのだ。

 まったく踏んだり蹴ったりである。普通こういうのって国がどうにかしてくれるもんじゃないのか?

咆哮とともに、ようやく黒竜も姿を消した。

 大業ぶっ放して疲れ果てていた時、声をかけてきた奴がいたのだ。


「よう兄ちゃん。強いじゃねえか。金になる話があるんだがどうだ?」


 フードを被って顔がよく見えない怪しい男だったが、金になる話なら大歓迎だ。

 そいつがやっているという飲み屋に移動して話を聞くことにした。


「ここから西にずっと行くと魔王城があるのは知ってるだろ?」

「あ、ああ」

「その魔王を倒すと国王様から莫大な賞金が貰える。なんと一億ガレアだ!」

「一億ガレア!?」


 前世(?)の金に換算して百億ほどだ。

ハロインや魔法キノコを飽きるほど買える。こういうと、男は呆れたような顔をした。


「兄ちゃんそんな安物ばっかでいいのか?」

「あのな。安くてもなんでも効きさえすりゃーいいんだよ!」

「乱飲家だねえ。ま、それなら旅もきっと楽しめるだろうさ」


その言葉の意味はわからないままだったが、楽しめるというなら、まあわからなくてもいいかもしれないな。

こうして俺は魔王の城に行くことになった。 魔王城までの地図を貰い、見送られて出発する。

「モンスターは雑魚ばっかだが、とりあえず死ぬなよ」と激励の言葉も受けての出発だ!


ところで、貰った地図が勝手に動き出してまともに読めないんだが、どうすればいい。


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