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「地下墓地の動物園」 沼地に打ち上げられた惨めな珪藻の様に

作者: 黒実 音子
掲載日:2020/01/19

おお!!友よ!!

無実の罪で磔刑に処せられた親友よ!!

お前の人生のなんと惨めな事か!!

まるで沼地に打ち上げられた惨めな珪藻の様に、

お前は死んだのだ。

その死に勲章を捧げる者も、墓石を建てる者もいない。

聖者の様に詠われる事もなく、

英雄の様に語られる事もなく、

お前の骨は路傍の石となった。

泥血を好むマンドラゴラや、十字路の鳥が

お前の友となったのだ。

白い骨を耕す甲虫や、蠕虫(ぜんちゅう)

お前の終油の秘蹟を執り行ったのだ。

おお!!これが楽園に焦がれ、潔癖だったお前の最後だ。


だが、俺は知っている。

俺達は罪人だった。

そうだ。

お前は無実の罪で殺されたが、

それでも罪人ではあったのだ。

人間は生きながら、どれだけの罪を犯すだろう?

多くは後悔しながら、それらは魂のミサで焼かれるだろう。

しかし、時として罪を、

俺達は罪を喜び、味わっていたのではなかったか?

生きて血を流す事。

その痛みを俺達は楽しんでいた。

それが最も重い罪なのでは?

おお!!友人よ!!

ならばお前はその罪を以て、死を宣告されたのだ!!

後悔し、償え!!

償うのだ!!

償いきれない罪を、我々はいつか清算する時が来るだろう。

罪の泥血に聳え立つ巨大で醜いホテイアオイの養分となるだろう。

その時が訪れるまで永劫の時を、煉獄で裸体を横たえて。

しかし、友よ。

お前はきっと哀れみは拒絶するのだ。

路傍の石となっても、お前は哀れみを否定し、

あの日の俺達の罪を笑うだろう。

なぜなら、それが生きるという事だから。

生きるという事は愚鈍に失いながら、鋭利に求める事だ。

醜く這いずりきる事だ。

そこに楽園へ続く道はない。

道などないのだ!!

それは美しい聖歌を否定し、祈りを忘れ、

苦しみの中で歌を見つける行為だ。

愚かに弱者をいたぶり、自らの弱さを隠し、卑怯に微笑むのだ。

自分が敗者と知りながら、勝者の様にふるまうのだ。

なんて様だ!!

羨望を込めて。

楽園に行く者に大それた呪いを込める。

そして・・・

そう。

お前はそれを誇るのだ!!

自分達の犯した罪を誇る。

俺達をそれを知った日から悪霊の手先となった。

老獪な蛆の棟梁に捧げられた腐敗した肉塊の僕となった。

しかし、天使よ!!

おお!!神よ!!

罪人の泥沼を否定する霊達よ!!

それでも俺達は笑うのだ。

自分達の滑稽な人生に突き立てられた

剣の切っ先は未だに刺さったままだ。

その傷口を放ったまま、俺達は楽園を目指す。

勿論、方向は逆だ。

多くの聖者共、善人共がその安っぽい良心から、

俺達を哀れみ、忠告の言葉を繰り返す。

ああ!!俺には聞こえる。その聖歌が!!

だが、お前達のその言葉は未だに空っぽのままだし、

俺達は俺達で、傷口からはどす黒い血が流れ落ち続けている。

おお!!神よ!!

そして、今の所、

ああ!!この気高き血は、乾いて止まる気配はない。

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