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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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第五階層へ

 第二階層に出てくるのは、ジャイアントスパイダー。

 歯に微弱な毒を持ち、尻から出す糸には粘着性がある。


 毒と糸を用いて、敵を捕食する魔物である。

 つまり第二階層では、イナリの毒は使えない。

 だがディルは、それほど心配はしていなかった。



「二匹だ、あと三十歩」



 イナリの言葉に、シアは怪訝そうな顔をする。

 恐らく、イナリの索敵技術が本当に使えるものなのか訝しんでいるのだろう。


 それなら今回はわしが行こうと、ディルは剣を構えた。


 見切りを使い続けてきたことで、今の彼の歩き方は、洗練されてきている。

 それは最早一種の歩法に近かった。

 ディルは前傾姿勢となり、腰に負担が少ない姿勢で先頭を行く。



 ジャイアントスパイダー二体は、周囲に糸を吐きながらゆるゆると動いていた。

 巣を作るつもりだったのか、彼らの周囲には巣が半分ほどできあがっている。


 ディルはスキル見切りを使用する。

 すると糸を最小限食らうルートがわかり、身体をその通りに動かした。

 ディルの黄泉還りが、糸を断ち切る。

 切れ味が良いからか、大した抵抗もなく糸は切れていく。剣に対して糸が付着することもなかった。


 進んでいくと、蜘蛛がこちらに背中を向けた。

 ジャイアントスパイダーが背中を向けるのは、臀部にある穴から糸を出すための予備動作だ。

 ディルはすかさず、見切りを使用する。

 そして糸が飛び出す直前に、ほんの少しだけ身体を右に逸らす。


 ジャイアントスパイダーは姿勢を変えて再びディルへ向き直ろうとしたので、その隙を見逃さずに頭胸部を突き刺した。

 身体はまだピクピクと動いていたが、脳を潰したからにはまともに動くことはできない。


 ディルは加勢しようともう一匹の方へ向き直る。



「もう終わってるぞ」

「すごいですね、それほど動けるとは……」


 だがどうやら、ディルが倒すよりも早く二人の方が魔物を仕留めていたようだ。

 イナリは、ジャイアントスパイダーの魔石を取り出しながら、つまらなそうな顔をしている。

 シアの方は、ディルが普通に戦えていることに驚いているようだった。

 彼女は自分のことを、道楽で迷宮に潜ってイナリに戦闘を任せっきりな成金かなにかだと思っているのだろうか。

 ディルは自分がどう見えているのか、少し気になった。



 魔石を取り終えてから、イナリのシアへの評価を聞いてみることにする。



「なんでもそつなくできるという自己申告に偽りはない。三十点をやってもいいだろう」



 イナリの採点は相変わらず辛口だが、彼女がこう言っている以上ある程度の実力はあるのだろう。

 少なくとも第二第三階層くらいでは、苦戦することもなく進めそうだ。



「シアさん」

「はい、なんでしょうかディルさん」

「すまんけど、わしこれから定期的に戦いに参加しなかったりするけど、許してね」

「事前に説明は受けてますし、大丈夫ですよ」



 ディルは自分で言った通り、以後の戦闘は後ろで様子を見ながら臨機応変にやることにした。


 シアとイナリが前衛となり、数が多いときにはディルが前に進んで三人で魔物を倒す。

 それを繰り返しながら、マップを埋めていく。


 どこで習ったのか、イナリの描くマップは測量士が書いたと言われても信じてしまいそうなほど、精密なものだった。

 余白を多めにとってどこにでも書き足しができるようにしていたり、しっかりと凹凸を描いていたりするのは、見るだけでも面白い。


 こうしてディル達は基本的に二人で、数が増えたら三人で戦うという戦い方で第二階層を突破した。

 ここまでにかかった時間は五時間、時間的にはもう一階層いけるかどうかは微妙なところだ。

 迷宮にいると昼も夜もないために体内時計は若干狂うが、やはり人間基本的に夜は寝ていたい。

 ディル達はとりあえず今日はここまでと、探索を打ち切ることにした。



 そして次の日、彼らは第三と第四階層を踏破した。

 トカゲのような見た目をしたリザードマンも、茶色い見た目の土蜥蜴も、戦闘の難易度的にはなんら問題はなかった。


 そしてディル達は第五層、オーガ達がいる場所へと足を踏み入れた。

読んでくださりありがとうございます!


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