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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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新たな仲間

 迷宮探索二日目は、昼から探索をすることにした。

 朝に宿を引き払ってから、二人はサガンの迷宮……ではなく、サガンの冒険者ギルドの門を叩いた。



 彼らの今日の目的は、ディルとイナリ二人での第二階層の踏破、ではない。

 二人と一緒に探検をしてくれる冒険者を、見つけることである。



 通常、人数が足りずに臨時パーティーを編成する時は、同じか、もしくは一階層違う程度の、冒険者としての力量が近い者達で組むのが普通である。



 つまりディル達が組める相手もまた、第一階層や第二階層を探索している者達に限られる。



 しかしながら、ディルとイナリは、戦闘能力に関しては恐らく第十階層くらいまでは問題がない。

 彼らがパーティーを組むのはひとえに、ディルの継戦能力があまりにもないからだけなのだ。




 だがそんなことを馬鹿正直に信じてくれる冒険者などいない。

 老人と少女と組もうなどと考えるのは、よほど奇特な者だけだろう。

 だからこそ彼らは、冒険者ギルドへとやってきた。




 迷宮には、ガイドと呼ばれるものが存在している。

 基本的に一人で行動をし、他のパーティーと組み、助けることで生計を立てる者達のことだ。

 ガイドの実力はピンキリであり、値段設定もかなり区々である。



 ガイドの中には迷宮内で闇討ちをすると噂の者もいるし、口ばかり達者で使えない者も多い。



 だからこそ彼らは冒険者ギルドへやってきた、公式ガイドを雇うために。




 公式ガイドとは何か。 

 それは冒険者ギルドが証書を発行し、認可している、一定の実力を持ったガイドのことだ。

 基本的にCランク冒険者程度の実力がなければ認められることはなく、有事の際の責任がギルドに帰属するためになるための門も相当に狭い。



 一定の水準が求められる分、ガイドの料金はべらぼうに高い。

 一日雇う代金が金貨一枚と言えば、その価値もわかるだろう。

 おまけに公式のガイドには、階層を移動する段階で、自分の裁量でガイドを抜けることが許されている。

 もちろん基本的には依頼主に従う形にはなるが、いざというときのための拒否権もまた、与えられているのだ。


 そんな人間を相手に高い賃金は払えないと、基本的に公式ガイドは冒険者達には煙たがられている。



 冒険者として新米でも金がある者達や、貴族が迷宮探索をする場合などに使われる、特殊なものと、一般的には考えられていた。



 ある程度深くまで進み、他の冒険者達に実力を認めさせることができるようになるまでは、高くついても彼らを雇おうと、二人で話し合ったのだ。


 ギルドで話を聞いてみると、幸いなことに、ちょうどキャンセルが入ったので一人が予約なしになっているらしい。

 二人はその人物と話をしてみたいと伝え、契約や確認の際に使われる、会議室へと案内されることになった。





「私が公式ガイドのシアです。Cランクで不才の身ではありますが、よろしくお願いいたします」




 二人が会議室で出会ったのは、冒険者などやっていなさそうな、ぴっちりとした見た目の女性だった。

 着ている物も鎧ではなくピチッとした衣服であり、ダンジョンではなく書面と戦っていそうな見た目をしている。

 つり目気味の金の瞳に、枝毛一つない金髪。



 もしかしたら彼女がキャンセルを食らったのにも理由があったのかもしれない。

 ディルがそんな風に邪推してしまうほどに、シアという女性は近寄りがたいオーラのようなものを放っていた。




「わし達と一緒に迷宮に入れるかの? できれば、1週間程度お願いしたいんじゃが」

「私は問題ありません、ここ2週間ほどまともに予定もないですからね。でも大丈夫ですか? 誇張でもなんでもなく、うちのギルドは取り立てとか厳しいですよ?」

「それは大丈夫、即金で払えるからの」



 だがディルには、自分達がシアを選べたことが、天命であるようにも思えた。

 真面目で、金をもらえばしっかり仕事をこなす専門家。

 そんな人物こそ、ディル達が今必要としている人材だった。




 ディルはイナリに聞いてみようとして、すぐに止めた。

 彼女の横顔を見て、何も尋ねる必要などないとわかったからだ。




「わしは前衛で、イナリは中衛なんじゃが」

「私はどこでも大丈夫です。魔法も使えますし、剣も人並みには使えます」

「それじゃあ1週間の契約をお願いしようかの」

「ありがとうございます。事務方の仕事をするよりガイドの方が稼げますので、正直助かります」




 ディル達は書面で契約を交わし、彼女を正式に雇うことになった。

 契約には守秘義務や、いざというときの拒否権等の条項が盛り込まれていたが、特に文句を付けたりするような穴は見つからなかった。




 自分達が金を払っても、彼女にガイドを頼んでも、シアはにこりともしなかった。

 その能面は、迷宮で疲れても変わらないんじゃろうか。

 ディルはシアが仲間となり、昨日よりも探索が楽しみになった。



 昨日は積載量的に魔物から取れる魔石は取らなかった。

 だが今日からは、そんなことも言っていられない。

 シアを雇っても大丈夫なよう、しっかりとお金を稼ぎながら進む必要がある。



 ディル達は、シアと昼に迷宮前で合流する約束をしてから、昨日使い切ってしまった糸を補給するために、雑貨屋へと向かった。

読んでくださりありがとうございます!



【神虎からのお願い】


もしこの小説を読んで

「面白い」

「続き書いて、早く!」

と少しでも感じてくれたなら、↓の★★★★★を押してくれると、やる気が出ます!

今日はもう一更新したいと思いますので、発奮のためにもよろしくお願いします!

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