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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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再会


 その後、ディルは美空家へと向かうことになった。

 当然ながら彼だけではアポが取れないので、向かうのはタツミと一緒だ。


「おいディル、お前とんでもねぇやつだったんだな……いや、わかっちゃいたんだけどよ」


 隣を歩くタツミは、どこかあきれ顔だ。

 ディルが義亜組を潰すために色々と動き回っていたことは、裏社会の人間には伝わるのも早いらしい。


「何かマズかったですかの?」

「ふーむ……いや、別に構わんだろう。ギャングなんざどこでやろうが、絶対に領主に目を付けられる。ゴロウダはそこでやり方を間違えたのさ。非合法な商いは上手かったが、そのあたりの塩梅ってやつがわかってなかったんだろう。基本的には何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし……やりすぎないことが肝心なわけさ」


 道中、タツミは今までにないくらいに上機嫌で、そして饒舌だった。

 どうやら彼にとっても、義亜組のことは相当悩みの種だったらしい。

 自分だけならば義亜組に歯向かいたいが、日村組の構成員のことを考えればむやみに抗争に発展するのは避けたい。

 そんな二つの気持ちに、板挟みになっていたのではなかろうか。

 上に立つのも大変じゃのう……とどこか他人事のようにタツミを観察していたディルは、美空家の屋敷にやってきたことで背筋をぴしゃりと伸ばした。


 屋敷の中へ入り、美空家の使用人の案内に従って進んでいく。

 入ることになったのは、前回とは異なる部屋だった。

 室内の調度も前に入った部屋より整えられているように思える。

 考えるに、前回の来客用の部屋で、今回のは貴賓用の部屋といったように使い分けをしているのかもしれない。


(ということは少なくともオルカ様的には、今回の一件に感謝をしているということ……)


 ディルはヨシロウと共に、美空家の所領の周辺に滞在していたことのなる構成員などの捕縛に尽力した。

 おかげで恐らく現在、義亜組とコウガの関わりは絶たれている。

 今後も絶たれるのかは未だ未知数だが、少なくともこと美空家においては、事態は好転しているだろう。


(あとはコウガ様のお気持ち次第といったところじゃろうか……)


 家族仲が悪かったり、上手く折り合いがつけられなかったりするのはよくあることだ。

 けれど姉と弟の仲なんて、悪いより良いほうが幸せに決まっている。


 ディルはキリリと引き締めていた顔に触れる。

 ここ最近戦ってばかりいたせいか、顔の筋肉が凝り固まっている。

 最近では戦うのも嫌いだが、これではやっていることが本当にただのカタギではない用心棒と変わらない。


 それになんだかジガにやってきてからというもの、自分が戦うための機械になったような気がしてくるようになってい。

 戦っている最中にも、戦うことそれ自体が目的となっているような感覚が抜けなかった。


 なのでディルは――無理矢理笑った。

 多少強引に表情筋を動かしているうちに、いつもの調子が戻ってきた。


「何百面相してるんだ?」

「いや、ちょっと練習を……」

「……隠し芸でもするつもりなのか?」


 いぶかしげな視線を向けられながらも笑顔を作っていると、気付けば好々爺然としたいつものディルに戻ってきた。

 ふぅと一息ついてから再び少し真面目モードになる。

 するとすぐにポンポンッと鼓の音が鳴る。


 以前言われたので頭は下げず、待つ。

 横引きのふすまが開かれるとそこには――。


「久しぶりだな、ディル。お前とはまた会うと思っていたよ」


 そう言ってワイルドな笑みを浮かべる美空オルカの姿があった――。

お知らせです!

『宮廷魔導師、追放される』の第一巻が8/25日に発売されました!


挿絵(By みてみん)


作品の今後にも関わってきますので、ぜひともご購入の方よろしくお願いします!


また各書店用や通販用のssもありますので、自分が気になったものを手に取っていただけたらと思います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポがラノベらしくポンポンと進む所。 [一言] 一昨日より読み始め、一息に拝読しました。これからの展開が楽しみです。
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