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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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208/228

なぜ


 ディルの叫び声を聞きつけて、すぐに男達がやってくる。

 いかにもチンピラといった感じの、暴力の匂いを漂わせた奴らだった。


「おうおうなんだぁじいさん、そんなに介錯してほしかったか!」

「ここがどこだかわかって、喧嘩売ってんだろうなぁ!?」

「日村組舐めてんじゃねぇぞオラッ!」


 どすを取り出すと、こちらに見せびらかすようにきらりと光らせる。

 しかしそれで怯むディルではない。

 腰に差している黄泉還し(トータルリコール)に手をかけ、応戦の構えを見せる。


 そんなおじいちゃんの様子を見て、気炎を上げるのは男達の方だった。


「構わねぇ、やっちまえっ!」

「おおよっ!」


 男達は三方からディルに襲いかかってくる。

 身のこなしから察するに、そこまで強くはない。


 けれどこの世界の強さとは、純粋な白兵戦能力だけではない。

 スキルという超常の力がある以上、なめてかかることはしない。


 ドスと長剣では、リーチの差が大きい。

 叩きつけるように一撃を放ち、距離の優位を保ったまま攻撃を続けようとするディルだったが――攻撃の手応えは、あまりにも軽かった。


「ぐっ、うおおおおっっ!?」


 一撃を食らっただけで、男はのけぞり、追撃を食らうと完全に気絶してしまった。

 それを見ても二人は気にせずディルへと向かってくる。


「隙ありっ!」

「もらったっ!!」


 対処はそこまで難しくない。

 左の男の突きを、身体を前に倒してよける。


「うおっ!?」


 そのまま右足を軸足にしてぐるりと周り、体重を乗せた一撃を右の男に叩き込む。


「あぐっ!」


 そして最後に、そのままの勢いで攻撃後で隙だらけになっている一人を斬り付ける。


「な、なんつぅ強さだ……」


 バタリ、と倒れて気絶してしまう男。

 三人とも、完全に意識を失っていた。


「はて……もう終わりかの?」


 首をかしげるおじいちゃん。

 気合いを入れて殴り込みをかけにきたのだが、戦いは一瞬で終わってしまった。


「とりあえず、目的を果たすことにしようかの」


 倒れた男達をそのままにしておいては、どうなるかわからない。

 なのでとりあえず日村組の建物の中に気絶した三人を収容し、中へ入っていくことにした。



 何事だと飛び出してきた筋者達をばったばったとなぎ倒し、ディルは先へと進む。

 中はそれほど広くはなく、もう何人か追加で倒していくうちに、一番奥にある豪華な扉の上に辿り着いた。


 一応ノックをしてから扉を開くと、中にはボスと思しき男が座っていた。


「爺さん、あんた何者だよ……」


 はぁ、と言って大きなため息を吐くのは、禿頭の大男だ。

 戦う気はないのか、立ち上がって臨戦態勢に移る様子もない。

 彼はひらひらと手を上げて降参の意を示しながら言う。


「戦わんのか?」

「あいにく自分より強い相手に噛みつくような牙は、持ち合わせてないんでね」


 日村組というギャングを取り纏めている男に、血気盛んな様子は見受けられない。

 どうやらかなり冷静な男のようだ。


「殺すわけでもなく、全員を気絶させる……お前の目的は、一体なんだ?」

「なんでも近頃大きな花火が上がると聞いたので、参加でもさせてもらおうかと思っての」

「――ふむ、なるほどな。用心棒希望か」

「……え? いや、そういうわけじゃ……」

「皆まで言うな。たしかにそれだけの腕がありゃあ腕利きともやり合えるだろう。たしかに武力の不足は問題だったからな」

「ちょ、ちょっと待って……」


 事態は想定していたものより随分と違った方向に進んでいき。

 ディルはなぜか流れで、日村組の用心棒として雇われることになってしまったのだった――。

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