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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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肩入れ

 アキコが井樋家の屋敷に案内されることになった。

 ディル達もそれに付き従う形でついていく。


 道中、ディルはイナリの言葉の意味を反芻していた。


(今回の襲撃事件には長宗我部家……つまり助けなくちゃいけない千姫を今なお軟禁しているモトチカが関わっていると見て間違いないじゃろう)


 長宗我部モトチカはとにかく野心の強い男だ。そして自分が人の上に立つためならば、手段は選ばず道理は捨てる。


 イナリのかつての人物評を思い出す。

 悪し様に罵っていたし、当人の恨みもあるだろうと話半分に聞いていたが、もしかすると本当にかなりヤバい人間なのかもしれない。


 当主の座を奪った彼が次に狙うのは、他の六国。つまりはそういうことだろう。

 六国全てを制覇しようというのがモトチカの目的であった。

 イナリも千姫の下で六国を一つの国にしようとしている。

 そして千姫はそのどちらにも反対していたと記憶している。


 ディルは自分がイナリと千姫、どちらの立場につくべきか悩みながら馬車に揺られるのだった――。


 馬車に揺られながらしばらく。

 井樋家の屋敷に辿り着いた。

 どうやらケイショウも中にいるようで、アキコのお祝いを密かに祝うパーティーが開催されるらしい。


 ディルはそこに護衛としていくには少々目立ちすぎ、イナリは下手に当主と顔を合わせて顔バレしてしまうとまずい。

 どちらの方がヤバいかと言われると、バレたら一発アウトなイナリなので、とりあえずディルがパーティーに参加することになった。



「ふむ、前に見た加賀美家よりかはシンプルじゃな……」


 ディルはグリフォン騒ぎの時に、八州の相羅の国を治める加賀美家の邸宅を見たことがある。

 八州と六国で言うと、国一つ一つの規模としては八州の方が大きい。

 ただその分兵士の質が高いのは六国。


 そんな話を思い出すほどに、周囲にいる手練れ達の気配は剣呑だった。

 シゲハルやケイショウを守るように立っているサムライ達は、パーティー中にもかかわらず護衛用の脇差しを持っており、周囲に目を光らせている。

 どうやらシゲハルの暗殺騒ぎがあったせいで、警戒しているらしい。

 入り口の警備もかなりきつめだったので、ディルも黄泉還しを危うく取られるところだった。

 シゲハルが『私の恩人の手から武器を奪うことなどできぬ!』と主張してくれて助かった。

(じゃけど……)


 アキコを助けられる位置に控えていると、先ほどから不躾な視線を感じることが何度もあった。

 流石にそれに気付かぬディルではない。

 今もまた一人、ジロリとディルのことを横目に睨んでいるサムライがいる。


 どうやらシゲハルを助けたのが彼ら井樋の人間ではなく、外様の長門家の武人ということになっているディルというのが気に入らないらしい。


 面子を大事にするというのは、武力を生業にする人間にはよくあることだ。

 冒険者にも似たような手合いはいくらでもいたので、ディルは彼らの視線をさらりと受け流し続けた。


 流石にこのパーティーの場でディルに喧嘩をふっかけるほどのバカはいないようで、柳に風なディルの様子を見ているとすぐに視線の数は減っていった。


 少し落ち着いたところで、シゲハルがこちらにやってくる。

 動けないディルのことを思い、食べ物を取り分けてきていた。


 ディルの年齢のことも考え、取り皿には野菜が多めだ。

 ありがたくいただきながら、話を聞かせてもらう。 


「安心なされよ、どうやらアキコ殿を無事に双爪へ送り届けるための段取りはもうできているらしい。私も聞かされていなかったんだが……父上の秘密癖にも困ったものだ」


 詳しく聞いてみると、どうやら長門家はアキコがいなくなった段階で、彼女がいる場所に大体のあたりをつけていたらしい。

 井樋家に既に話は通っており、アキコをおうちに帰すための話し合いは、既に大人達の間では済んでいるようだった。


 まあ、そんなものである。

 アキコの頼みを聞いてそのままお尋ね者になるという最悪のパターンだったが、そういう事態には陥らずに済みそうだ。


 ただ、このままだとディル達はアキコと一緒に双爪国に帰るだけで終わってしまう。

 ここを逃せば、直接井樋家の人間と関わることができるのはいつになるかわからない。

 であればここは少々、冒険をすべきだろう。


 ディルは何をするか悩んだ結果――シゲハルにこう提案することにした。


「先ほどから私の実力に疑いを持っている者達がいるようですので……よければ彼らと、余興の模擬戦をさせていただいても?」

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