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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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骨が折れる

「フッ!」

「ハアアアッ!」


 ディルとガイウスが、互いの隙を補い合いながらマザールビーアントへダメージを与えていく。


 マザールビーアントがディルの攻撃を硬い甲殻で耐えようとすれば、そこにガイウスの重たい一撃を当て。

 ガイウスの攻撃を避けるため大振りの回避軌道を取れば、その隙を逃さずにディルが剣を差し込む。

 二人の息は、不思議なほどに合っていた。


 彼ら二人の攻撃が通るように、黒騎士とアビゲイルは動く。

 黒騎士はヘイト管理を行いディル達に攻撃が行きすぎないように注力し、アビゲイルは三人に注意が向かったときにその隙を狙う形で魔法を放ち続ける。



 彼ら四人の周囲でも、激しい戦闘は行われている。

 イナリは周囲に毒を散布し、ルビーアントたちの動きを止めている。


 だがソルジャールビーアント達には毒が効かない。

 そのため彼らはこれ以上毒で仲間がやられぬよう、イナリへと殺到していた。

 赤皇帝の残り三人のメンバーは、その猛攻を食い止めている。

 イナリもクナイを投げ、それに対応していた。


 今のところ、脱落したメンバーはいない。

 そしてルビーアントたちの数は、目に見えて減っている。

 恐らく女王を守るように配備されていたソルジャールビーアントの数を削れるのは大きかった。

 ソルジャールビーアントを減らせば減らすだけ、人間側が作戦を立てる余裕も出てくる。



 それに対して焦りを見せだしたのは、マザールビーアントの方である。

 一方的に攻撃をうけるばかりで有効打は与えられず、傷ついているうちにどんどんと味方の数も減っていく。


「kyowaaaaa!!」


 マザールビーアントの判断は速かった。

 自分たちが不利な状況に陥ったことを判断するやいなや、マザールビーアントは叫び声を上げる。


 その声が聞こえるとすぐに、蟻達は臨戦態勢を解いた。

 そして我先にと、自分達で空けた穴へと戻っていく。


 蟻側とすれば、何もここで不利な戦いをする必要はない。

 マザールビーアントはただ繁殖がしやすいこのダンジョンを自分達の縄張りに選んだだけで、ここで個体数を減らす意味もないのだ。


 マザールビーアントは尻尾をディル達に向け、ルビーアント達の中へ飛び込もうと動き出す。

 それならば無防備なその背中に致命の一撃をとディル達は駆けたが、その道に立ち塞がるようにソルジャールビーアント達が立ち塞がる。


 彼らは間違いなく、決死隊だった。

 己の命を懸けてでも女王を守ろうとするその忠誠のせいで、ディル達のマザールビーアントへの攻撃は届かない。


 位置取り的に穴に入ることができなかった個体や、近くにいるディル達を狙うことを優先した個体もまだまだ多い。

 決死隊とそのようなはぐれたルビーアント達の相手をしているうちに、マザールビーアントは逃げおおせてしまっていた。


 あとには大量の蟻の死骸と、ぽっかりと空いた大穴が残った。

 中を覗き込めば、それはどこまで続くかわからない奈落のように深い穴だ。

 さすがに中に入ってまで追跡をするというのは現実的ではない。


 こうしてディル達は、初めてルビーアント達を撃退することに成功した。

 けれどマザールビーアントを討伐するという本来の目的を達成することには、失敗した。


 とりあえずの危機は去ったかと、ディル達は一度地上へ戻る。


 初めての勝利を喜ぶディル達ではあったが、肝心のマザールビーアントを倒すのは、ずいぶんと骨が折れそうだった……。

新作を書き始めました!


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自信作です、面白いですよ!

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