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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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マザールビーアント


 マザールビーアントは、後ろ足二本で器用に立ちながらディル達のことを睥睨している。

 その複眼は、もっとも近い位置取りをしていたガイウスの方へ向いた。




「ふむ……報告通り、少し硬いか」


 ガイウスは自ら目掛けてやって来るソルジャールビーアント達の群れを切り伏せながら前進していく。

 難なく一刀両断しながら、わずかに目を細める。

 違和感こそあるものの、大した問題にはならないらしい。


 このままでは徒に戦力を浪費するだけだと察したのか、マザールビーアントが周囲の蟻たちを後方に留め置き、自分で前に出た。


 ディルと黒騎士は更に前に進み、ソルジャールビーアントの処理へ回る。

 その処理が終われば、マザールビーアントを挟み撃ちする心算だった。


「行くぞ」


 ガイウスが剣を上段に構え突貫、マザールビーアントは四つ足になり左右に動く。

 動きが素早く、まるで分身しているかのように残像が見える。


 ガイウスはその高速移動を見て、迷わず剣を水平に構え直した。

 横薙ぎがもっとも効果的だと判断したからだ。


 横薙ぎが振るわれると、マザールビーアントはなんとそれを頭突きで受けた。

 今までソルジャールビーアントを一蹴していたガイウスの攻撃は、しかし頭突きに跳ね返される。


「これは……硬いな、俺の魔剣と打ち合うか」


 横薙ぎを弾かれた反動を使い一回転、勢いを足して再度逆の横薙ぎ。

 それも頭突きで受けられ、再度剣が跳ねる。

 跳ねた剣を強引に制動し、振り下ろす。

 狙いは頭突きが通らない胴体部分だ。


 ガイウスの振り下ろしよりも、マザールビーアントの動きの方が早い。

 マザールビーアントはそれをかわそうとしたところを……足へ飛んできた魔法攻撃のせいで動きがワンテンポ遅れる。


「ガイウス様っ、今です!」

「おおおおおおおおっ!!」


 後ろからあったアビゲイルの援護により生まれた僅かな隙。

 ガイウスは雄叫びを上げながら、力を込めて剣を振り下ろす。


 ガインッ!


 胴体と剣の打ち合う音。

 頭突きと比べると、反動は弱い。

 見れば小さいが、傷が入っていた。


「shiiiiiii!?」


 マザールビーアントの甲殻が傷つくのだから、内側にはしっかりと衝撃が入る。

 たしかなダメージを与えられたことを確認しながら、ガイウスが二撃目に入る。

 しかしそれを、周囲の蟻達によって止められる。


 蟻達による襲撃に対処しているうちに、マザールビーアントがその隙を突こうと動いてくる。

 剣ではその全てに対応することはできず、ガイウスは攻め手を緩めることを選択した。


 マザールビーアントはそれを好機と捉え、果敢に攻める。

 ガイウスがルビーアントに剣を突き込んだタイミングを狙い、ガチガチと顎を鳴らして噛みつき攻撃をしてきた。


 完全に無防備な状態のガイウスは……しかしまったく動じてはいない。


「助かる」

「ふうんっ!!」


 マザールビーアントの甲殻の隙間を縫うように放たれる、一本の黒剣。

 黄泉還し(トータルリコール)は的確にマザールビーアントの胴体と首の間の継ぎ目に沿うように、スッと刃を通す。


「決まったの」

「ああ」


 悲鳴を上げるマザールビーアントに対し、ガイウスはルビーアントが刺さっている剣をそのまま叩きつけた。

 鈍器の要領で放たれたその攻撃が、マザールビーアントの頭部に直撃する。


「syaaaaaaaa!!」


 苦痛の呻き声を上げながら、マザールビーアントは大きく後退した。

 ディル達の攻撃は、たしかに通じている。

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[気になる点] ガイウス、一度マザールビーアントと戦ってるよね?何でそんな初めましてみたいな反応?
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