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わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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第二十一階層


 ディル達は第二十一階層へと挑む。

 今回は黒騎士を含むフルメンバーでの参加だ。

 目的は長時間の探索でマップを埋めることではなく、とりあえず何回か戦闘を行って具合を試してみることである。

 皆で転移水晶を握り、第二十一階層へと飛んだ。


「これは……第五階層みたいなところですね」

「天井がない階層は久しぶりだな」


 サガン迷宮の中層は、全ての階層が洞穴型だった。

 だが下層は違うらしく、オーガの出てきた第五階層のような広大な空間が広がっている。


 ディル達のチームからすると、狭い空間よりこういった広めの場所の方が色々な面で都合が良い。

 ウェンディは広い場所の方が実力が発揮できるし、イナリも広大な場所であれば進むための進路を複数確保できる。

 罠の種類も絞られるし、黒騎士が暴れた時も細かい配慮をしなくても済む。


 ディルはゆっくりと足を踏み出しながら、イナリの先導に従い歩を進めていく。

 一歩前に出るごとに、靴の裏にねっとりとした感触がくる。

 森と沼地、そして一部の平原が広がっている地域のようだ。

 空には太陽はないがなぜか明るく、日光はなくとも緑色の木々は不思議と茂っている。


 イナリの先導で進んでゆく。

 森の中へ入り、道なき道を進んでゆくことになった。

 木々の枝を伐採して進んだり、間にある草を分け入って進んだりと中々に冒険者のような動きをすることになる。

 ただ元が広く魔物の視界も遮りやすいために、ほとんど戦闘らしい戦闘をせずにマッピングを進めることができた。


 一度戻るか、敵を倒すか。

 考えてから一度敵と戦える場所を探すことにした。

 第二十一階層に出てくる魔物はフィルレインと呼ばれる氷の魔法を使う人型の魔物と、魔法を使うことの出来るゴブリン達だ。

 両者とも遠距離攻撃のできるタイプの敵で、ディル達と相性はそれほど良くない。

 ウェンディの攻撃で数を減らし、そのままディル達が接近できれば勝利は揺るがないといった感じである。


 ディル達は慎重に吟味をしてから、実際の戦闘を行った。

 戦闘自体は、問題なくこなすことができた。

 遠距離攻撃と言えど、処理自体はディルもイナリもできるし、黒騎士の防御力を貫徹するほどではない。

 一度戦闘を終えて、とりあえず一度迷宮を出て探索を終えることにした。


 ディルは彼女らとある程度の時間を共に過ごしたことで、一つ思ったことがあった。

 タンク役として雇い入れた黒騎士の役目が、どんどんと少なくなってきている。

 肉壁として使うにはピーキーに過ぎる彼の御し方を、考えなくてはならないだろう。


 少し悩んだ結果、ディルは何かあれば来いと気軽に言ってくれたガイウスの下へと向かうことにした。

 彼なら呪いについて、自分より沢山の知識を持っている。

 それにもしかすれば彼なら、黒騎士の鎧をなんとか手懐けられる手段だって持っているかもしれない。

 そんな期待をしながら、ディルは彼を探すために一行と別れたのだった―――。

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[良い点] ・テンポが良く、ダレない ・エグさや暗さ、酷さが無く、程よい軽さの文章、王道ぽくて安心感があり、頭に入って来やすいので、読み手、読む時、読む体調を選ばない ・チートやツエーに食傷気味の方が…
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