ナンパ!?
彼女は月に2回のペースでこの図書館に足を運んでいることがわかった。
その都度、少し会話をするようにはなったが、
「今日はいい天気ですね。」
「暑いですよね。」
「何かジメっとしてますね。」
と、老夫婦のような会話なのである。
この事を山田に話すと、
「そんなことやってるやつ、どこにいるんだよ…!
お前は、原始人か!喋るのが無理だったら、メモでも忍ばせとけ!」
と怒られた。
なるほど、メモね…。次からやってみるか。
そして俺は、いつ彼女が来てもいいように、ペンケースの中に
「今度よかったら食事にでも行きませんか?
僕は、真田和樹と言います
○○○-○○○○-○○○○に連絡ください。」
と書いたメモを入れておいた。
でも、なかなか彼女はやってこない。
今日もダメか、今日もダメか、
と思いながら1週間が過ぎたとき、
突然彼女が姿を表した。
珍しく、彼女は貸し出し期限が過ぎていた。
そしてチャンス!と考えた俺は、本に貸し出し表と一緒にメモを挟んだ。こうして俺は気付かれずに、メモを忍ばすことに成功した!
その後、帰宅後スマートフォンにメールのランプが点灯しているのに気付き、急いで確認すると、
「To.真田和樹
今晩わ❗いつも、あなたに本を借りています。
突然のことで驚いていますが、あなたといると楽しそうなので、来週の月曜日は大丈夫ですか?
from.横峯沙織」
と来ていたので、
「To.横峯沙織
こちらこそ、突然すみません…
はい!大丈夫です!待ち合わせは、いつもの図書館前でいいですか?
from.真田和樹」
と返信をした。
すると、すぐに返信が来た。
「To.真田和樹
いいですよ!じゃあ12時にそこで!
from.横峯沙織」
俺は嬉しかった。
彼女と一緒に、飯を食べられる。
そう考えるだけで、自然にニヤニヤしてくる。
やったぞ!やったぞ!
こうして俺の初めてのナンパが成功したのであった。