ep2
「ねえ、航大?」
「んー?どうしたんだ?」
五先ちゃんがストーカー被害に合ってる件で幼馴染の相崎航大に相談を持ちかけてみる。
「後輩の子がここ数日帰宅途中に知らない人からつけられてるらしいんだけど、どうしたら良いと思う?」
「あー、っとそうだな。」
航大はそう言うと、いつもの癖で親指で人差し指を撫でて空を見つめた。
「俺がついていけたら良いんだが…生憎、部活がな……」
相崎航大はサッカー部のエースストライカー。
部活は草々に休めないし、そう返答されることは、最初からわかっていた。
「それは分かってる!犯人も分かってないみたいだし、だからと言ってあまり大事にしたくないみたいなんだよねー…」
「取り敢えず、当分はお前が送ってってやれば?俺もなんとか部活休めるように心掛けるから。」
「んーまあ取り敢えずそれでいっかー。」
「ほんっと、都合の良いやつだよな…。気を付けて送っていけよ?」
「うん。わかった」
取り敢えず、明日からでも、ついてきてくれるなら百人力だ。
「じゃあ、部活行くわ」
「うい、頑張って」
「へいへい」
手をヒラヒラと振り、教室から出ていった。
航大は口にすら出さなかったけど、私は小さい頃に空手を習っていたし、そういう意味でも護衛には向いてるって遠回しに励ましてくれたってことなんだろうね。
不器用過ぎでしょ。
取り敢えず、五先ちゃんの教室へ迎えにいって、帰ろうかな。