邂逅
初投稿です!至らないところもありますが、何卒よろしくお願いします。
見切り発車なので、更新速度は遅くなるかもです…
※はじめは糖度低め&世界観はオリジナルなので、神様の世界ですが名前を借りている程度に思ってください。ご注意を。
未だかつてこんなに心臓に悪い目覚め方があっただろうか。
目を覚ますと、視界いっぱいに広がるのは馬乗りになった美少女とか…
「どーゆー状況だよぉぉぉぉぉぉぉ」
驚きのあまりベットから飛び起きると、目の前に広がるのは見覚えのない部屋だった。俺が寝ているベットと、クローゼット、机、チェストといった必要最低限のものしかない部屋。
生活感のない部屋だななどと、場違いなことを考えながら飛び起きた反動でベットの上に転がっている美少女へと意識をむける。
美少女はむくっと起き上がると、無表情のまま握りしめた拳を腰の回転を利用して繰り出してきた。
「ちょっ、まっ!!」
静止の声も聞かずに、顎を狙って正確に向かって来る拳を避けられるはずもなく…
美少女って、結構武闘派なのね。そんなことを思いながら俺は意識を手放した。
これだから人間は嫌いなんだ。
なぜ、静かにしていることが出来ないんだろう。
口を開けば、泣くか喚くことしかしない。あぁ、口汚く罵られたこともあったっけ?
私だってやりたくてこの仕事をしているわけじゃない。罵られることはあれど、感謝されたことなんてただの一度もなかった。
それでも、何故この仕事をするのかと問われたら、これしかすることがないからとしか言いようがない。
私は死なない。否、死ねないのだ。無限に続くこの命の使い道を考えることすら面倒くさかった私はこの仕事するくらいしか暇を潰す方法がなかった。
楽しいこと?面白み?そんなものは要らない。私が欲しいのは、静かで何の変化もない日々。
私が望むのはたったそれだけなのに、私のたった一つの願いさえ壊す人間なんて…
「大嫌いだ」
真っ白な光に包まれた空間に、大きな瞳に涙をいっぱい溜めた少年がいた。少年は、声を上げて泣いていた。
とりあえず、事情を聞きに行こう。そう思って足を踏み出すが、その場から動くことができない。
何故だ、と思い焦って全身をバタつかせてみるが、ぴくりとも動くことができない。
嫌な汗が背中を伝った。
何故、どうして?とそんな言葉ばかりが頭の中を駆け巡り、問いに対する答えを出すことができない。
泣いている人がいるのなら涙を拭ってあげなくては、悲しみを背負っている人がいるのならその悲しみを半分こして少なくしてあげなければ!!それが、そうするのがおれの筈だった。
おれの筈だった…?
おれってなんだろう。
唐突に浮かんだ疑問は、俺から正常な思考を奪い去った。
おれって何なんだ?そもそもおれは誰なんだ!!どこで生まれて、いつから此処にいる?何が好きで、誰に愛されて、何になりたくて、なんで、なんで、なんで、なんでっ!おれは生きている…?
よく考えてみれば、此処はどこかとか、何故ここにいるのかとかいうこと以前に、俺はおれ自身について何も知らなかった。
「何だよそれ。重症じゃないか…」
気付けば泣いていた少年はいなくなり、何も無い空間だけがあった。
きっとおれも、あの少年のように跡形も無く消えて、何も無い白い光に包まれた空間に戻るんだろう。根拠の無い考えだったが、きっとそうなるという確信があった。
空っぽの俺が存在するには、この部屋は綺麗すぎるそう思ったからだ。
ゆっくりと目を瞑る。ついさっきまでいた少年の顔すら思い出せない。
だけど、その少年は俺に似ていると思った。
泣くことしかできなかった少年と、助けようともせず突っ立っていることしか出来なかった俺。
「突っ立っていることしか出来なかった?否、君は突っ立っていることを選択したんだろう?君は突っ立っていることに対して答えを得た。だから君は少年の涙を拭わなかったんだ。」
何も無い筈の空間から、鈴の音を転がすような美しい声が俺に残酷な答えを突きつけた。
「そんな事は…」
力強く否定することが出来なかった。
なぜなら、確かに答えは得たからだ。ただ、認めたくなかったんだ。
泣いている少年を見て、自業自得だ。なんて思ってしまった俺の答えを。
目をそらしたんだ、おれが出した答えとあまりにも違う俺の答えを。
認めてしまえばあまりに滑稽だった。
空っぽの俺が最後に生み出したものは、醜い答えだなんて。
前言撤回しよう。この空間から俺は消えたとしても、この醜い答えだけは残り続けるだろう。おれの出した答えの対になるように、醜い答えを出した俺の罪が消えてなくならないように…
「嗚呼、なんて滑稽なんだろう…」
そう呟くと、俺の意識は解けて消えた。
二度目の目覚めは一度目のそれと比べると、拍子抜けするくらい普通のものだった。
馬乗りになっていた美少女は、どこからか引っ張り出してきた椅子に身体を預け本を読んでいた。
再び顎に鉄拳を喰らわないよう、細心の注意を払って静かに身体を起こす。
頭が重くだるいのを、思い出すことの出来ない、しかし嫌なものであったことだけは確かな夢のせいか、美少女のせいか…
おそらく後者だろう。
そっとジト目を送っていると、本に向けられていた視線がこちらに向いた。
「静かになったと思ったら、今度は何なの?死人は死人らしく黙って寝ていなさい。それとも、また強制的に寝かされたい?」
聞き覚えのある声だということは、あまりにも衝撃的な美少女の発言によって思考の彼方に消えた。
「しっ、ししし死人ってどういうことだよっ!」
「しって言いすぎだし、うるさい」
「それに関しては謝る。でも、教えてくれ。死人ってらどういうことだよ!?」
「嗚呼、面倒くさい…」
可愛らしい顔を歪めて、やる気のない声を出しているが、俺にしてみれば重要な問題だ。
「ちゃんと説明をしてくれ。」
相手の目を見て真剣に頼む。
すると、美少女は居心地が悪そうに目をそらすと、少し唸ってからこう言った。
「貴方、自分のことについて覚えていること、何でもいいから言ってみなさい。」
何故そんな簡単なことを聞くのかと文句をつけようと思って見つめ返すと、真剣な眼差しで見つめ返す美少女がいた。
ならばと、考える。
考えるが、何もわからなかった。自分自身のことについて。
最近かいた気がする嫌な汗が背中を伝う。
「つまり、そういうことよ。」
そう告げる彼女の声を皮切りに、本日二度目の絶叫と風を切る鉄拳が俺のみぞおちにクリーンヒットした。
どうやら俺を取り巻く状況は思いのほかやばいことになっているらしい…。
どうだったんでしょう?わけわからない所が多すぎて話がわからなかったですかね…
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