『人』の『夢』と書いて『儚い』
さぁ、今日から魔法学園生活の始まりです。
待ってましたよ!待ち望んでいましたよ、この時を!
あっ、ちなみに私は転生者です。前世は日本人で20歳の誕生日前日に死亡してしまいました。死因知りたいですか?あぁ、そうですか…あまりにもバカみたいなんですが……笑わないでくださいね?
『圧死』です。
ん?と思うかもしれませんが、まぁ、自業自得と言えばそれまでなんですが…前世の私はとにかく『活字中毒』と言われたほど、本の虫でした。とにかく文字を読みたくてしかたがなかったんです。
そんな状態でしたから、蔵書は六法全書や宗教関係~漫画まで多岐にわたり自室においておりました。えぇ、寝る場所以外は全て本に埋め尽くされた部屋でしたよ(笑)
もうわかりますよね?寝ていたら足がぶつかったのか、本の山(ケース入)が私に向かって崩れてきたのが最後の記憶です。
まぁそんな前世ですが、後悔はありませんよ。
そんな私が何故、学園を楽しみにしていたかを聞いてくださいよ。実はこの世界ってもしかして『乙女ゲーム』とか言われちゃうやつじゃないかって思ったんですよ(笑)
何故そう思ったかは、ちゃあんと理由がありますよ。
よくラノベで『転生者』がでてくるでしょ?それにこの世界には『魔法』があります。それに噂で聞いたのですが王太子さまの婚約者『幼い時、令嬢の我がままで』決まったらしいのです。
しかもその婚約者さんが『我がまま・高飛車・他をかえりみない・王太子さまには女を近づけない』まさに『悪役令嬢』らしいのです(笑)
まぁ、お会いしたことなんてありませんけどね。
会えるはずもありません。いくら私が貴族でも末端の男爵家ですもの。雲上人とは住む世界が違います。
王宮にすら呼ばれることはありません。まぁ、両親は年1回、最初の舞踏会に行くみたいですが…私には関係ないんです。
貴族社会のどこにでもある『愛人の子』つまり『庶子』ですから。
そんなことはどうでもいいんですが、きっと『ヒロイン』さんがいますよね?舞台は整ってますから。
目の前でラノベの世界が堪能できますよね?させてくれますよね?
神様!信じていますよ!
期待に胸を膨らませて私は入学式と言えば、テンプレであろう『ヒロイン』と『ヒーロー』の出会いの場を探しながらパンフレットとにらめっこです。
えぇしっかりデバカメしますよ!お邪魔はしません。どんな話かは知りませんが、ストーリーを一介のモブの私が邪魔しちゃダメでしょ(笑)
どんなストーリー展開をしてくれるのか、妄想が広がりますよ。
やっぱりパンフレットにもある『桜の大樹』が王道ですかねぇ。
さっそく行って隠れる場所を探さなくては、見逃しちゃいますよね?
行ってみましょう!
………………………あれ?ここじゃないのかな?
待てど、それらしき美人さんが来ませんねぇ……。
王道展開じゃないのかなぁ?せっかく早起きしてばっちり『桜の大樹』が見渡せる場所に隠れられたのに…。
「ねぇ、君は…ここで何をしてるのかな?」
ん?どこから声がするんでしょ?
「そんなにキョロキョロしなくても…後ろだよ。」
「え?」
振り返えるとイケメンというより、良くできた彫像のような美形さん(♂)がいました。
あぁきっとこの方も『攻略対象者』なんだろうなと、思わざるを得ない容姿をしています。
だからといって胸キュンにはなりませんけどね。
遠くのイケメン(揉め事ホイホイ)より、近くのフツメン(平穏無事)が一番ですからね。平々凡々は安心人生で一番大事!
「聞いてる?」
「あっ、はい。何でしょう?」
聞いてないね。と、苦笑されますが、そんな表情をしても目の保養になる辺り、さすが攻略対象者ですね。眼福眼福。
「新入生だよね?講堂まで案内しようか?」
「いえ、大丈夫です。パンフレットありますから。お気持ちだけで…ありがとうございます。」
はい。丁重にお断りさせていただきますよ。揉め事ホイホイに巻き込まれたくないですからね。女の嫉妬は怖いですからねぇ。
まぁヒロインさんも来ないみたいだし…時間も時間ですからね。私もさっさと講堂に行きましょ。
「失礼いたします。」
そう言い残してさっさと退散しましたよ。当たり前ですね。
入学式から一週間経ちましたが……ヒロインさんらしき方が見当たりません……(泣)
眼を皿のようにして探しましたよ。ですが…それらしき『平民』の方も…『訳あり令嬢』も居ませんよ……。
王太子さまと婚約者の令嬢、攻略対象者らしき王太子さまの取り巻き4人は確認しましたよ。
なのに!なのに!何故!ヒロインさんがいない?!
ここまで舞台が整っているのにぃ!!何で?
やっぱり……いくら転生者の私がいても…王道展開の王太子さまと婚約者令嬢がいても…ラノベのようには………いかないんですね…がっかり(泣)
いいですよ、もう。普通にお勉強して、普通に学園生活を送りますよ!
神様のいじわる(泣)
主人公は『イケメン』=『目の保養』くらいにしか思ってないんですね(笑)
いきなり思い立って書きなぐってしまったので、拙いですが最後まで読んでいただきありがとうございました。