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はんげきのマオ

 すっごいピンチだったけど、どうにかセバスチャンさん達をこの世界に召喚することができた。でも、みんななんだか姿がおかしい。

 リフィルさんに関してはおっきいシャツ一枚しか着てないような感じだし。

 本当は頼れる三人なのに、どこか頼りなく見えちゃうのはどうしてだろ?


『さて、なんやかんやで王城前まで来たのですが』


 いろんな人達にジロジロ見られちゃっているからか、パールはどこか困り顔だ。

 まあ、とんでもなく悪目立ちしているからね。仕方ないとはいえ、これじゃあ静かに侵入なんてことはできないし。


『うう、せめてスカートぐらい履かせてください! こんな姿、嫌です!』

『ダメよ、メイド長さん。あなたがそうやってモジモジしているから、萌えるんでしょ? ちゃんと周りのことを考えてよ』

『そうですよ、リフィル。あなたはセクシー担当なんですから』

『いやー!』


 パールがとても痛々しい視線を送ってくる。

 やめて、こうなるなんて思ってもなかったんだから!


『しかし、こう目立ってしまえば城に侵入どころか、その前で止められてしまいますぞ?』

『しかもこちらは、主様の顔が割れていますからね。どうしますか……』


 パールとハーツが頭を傾けさせて考えている。

 うーん、確かにこの状態じゃあ変に目立っちゃっているし。もし悪いことをしたら『こいつらが犯人です』って言われても仕方ないかも。


『なら余計に目立てばいいんですよ』

『どういうこと? セバスチャンさん』

『我々はどうあっても目立ってしまう。ならば目立ちに目立って、向こうから来てもらうという作戦です』


 えっと、つまりどういうことだろ?


『まあ、もうちょっと簡単に説明するとね。私達はどんなことをしても目立っちゃうの。だからそれを利用して暴れようって話よ』

『ああ、そういうことなんですか。でもそんなに簡単にいくかな?』

『どう転ぶかはやってみないとわからないわ。だけど、やってみる価値はある。それに、お城の中なんてどうせ面倒なものがいっぱいだろうしね』


 ウィンディさんの言う通りかもしれない。ならひとまず暴れて、何かしらをお城からおびき寄せたほうがいいかも。


『しかし、それで出てくるとしたら兵士がせいぜいじゃないですか? それに一番の目的であるグラン・リーアは出てこないかと』

『その辺りは大丈夫ですよ。こちらにはリフィルがおりますから』


 どういう意味で言ったのだろう?

 不思議に思いながら、笑っているセバスチャンさんを見つめる。パールもパールでとても不思議そうな顔をしていた。

 ひとまず、作戦は決まった。ということで、みんなで暴れることになる。

 でも、暴れるってどうすればいいんだろ? 私の魔法は攻撃的じゃないし。


『それでは、少し暴れましょうか』


 そう言ってセバスチャンさんは指を鳴らした。すると、その直後に町中を歩いていた人達の服が弾け飛ぶ。


『え?』


 なんで服が弾け飛んだの!? 想像したのと全く違うんだけど!


『傷をつけるよりはいいかなと。目の至福にもなりますし』

『さすがセバスチャン! なかなかやるじゃない!』


 盛り上がるセバスチャンさんとウィンディさん。

 なんかわかんないけど、私は頭を抱えた。


『きゃー!』

『え? 何、何が起きたの?』

『服が! 俺の服がぁぁ!』


 男女無差別で服が弾け飛んだみたいだ。もー、確かに騒ぎが起きるけど、こんなので兵士なんてくるの?


『これは、確かに至福であります!』


 ハーツはなぜか鼻血を垂れ流していた。よく見るとまた上半身が裸になっていたけど、私はもう気にしないことにする。


『な、なんてえちぃことを!』

『メイド長さん、でもあなたはマシなのよ?』

『え?』

『だってあなた、裸じゃないもの』


 リフィルさんはその言葉に衝撃を受けていた。そして、裸になったみんなと自分を比べ始める。

 でも私は思う。たぶん恥ずかしさに大差はないんじゃないかと。


『そっか、私って服を着てる!』


 だけどそれは、心の持ちよう次第みたい。


『いっぱい悪いことをしちゃうぞー』


 元気になったリフィルさんは騒ぎの中へ飛び込んでいく。一体どんな悪いことをするのかわからないけど、でも元気になったんだからいいかな?


『さて、私も悪いことしよっと。ひとまず――』


 ウィンディさんはそう言って目を光らせる。そして私ににじり寄ってくる。


『え? ウ、ウィンディさん? な、何をする気なの?』

『決まっているじゃなーい。マオちゃんとイケないことをして戯れるのよ』

『ちょ、ちょっと待って! 主旨がずれてるよ!?』

『問答無用!』


 きゃあぁー! なんでこんな目にぃー!

 私は襲いかかってくるウィンディさんから逃げた。なんでこんなひどい目に合わないといけないのか、泣きながら考えて。

 暴れるって、みんなそれぞれだ。だからなのか、たくさんの人が迷惑を受けたのは言うまでもない。


『待ちなさーい!』

『ヤダァー!』


 お願い、兵士さん。早く私を助けに来て!


なぜか裸にされていく夢世界の人々。

リフィルさんは元気になったけど、マオちゃんはとんでもないピンチだ。


このままウィンディさんに襲われてしまうのか!?

次回に続く!

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