表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/103

マオとゴブリンシスターさん

 シャーネルドラゴンと別れて一時間後。私達はようやくトトカ村へ着きました。

 魔物が人間みたいな暮らしをしているなんて驚きだなぁ。というか、魔王の支配地域だからこんなことをしているのかも。


「長旅お疲れ様です」


 広がるのどかな光景。牛さんや鶏さん、あと豚さんに羊さんとかががたくさんいておどろいちゃった。スライスさんに聞くと、酪農とかやって生活しているんだって。

 村を見て歩いていると誰かが声をかけてきた。目を向けるとそこには修道服を着たゴブリンさんが立っている。胸には逆さにされた十字架があって、顔とか見るととてもゴブリンとは思えないほど綺麗だった。


「おお、これはゴリンゴさん。お迎えありがとうございます」

「いえいえ。それよりも村長さん、その方達は?」

「ああ、魔王さまとその従者達ですよ。今回の事件のことでちょっと相談に乗ってもらいましてね」


 スライスさんの言葉を聞くとゴブリンさんは驚いたように目を丸くしていた。そしてゆっくりとセバスチャンさんの前に移動して、ペコリと頭を下げ始める。


「初めまして。私はゴリンゴと申します」

「あ、すみません。魔王は私ではありません」

「え? 違うんですか?」


 もう一度目を丸くするゴリンゴさん。何度かセバスチャンさんを見て、頭を傾げていた。

 どこかかわいげがあるなぁって思っていると、私のほうに顔を向ける。


「あ、こちらでしたか」


 そういって今度はシィちゃんの前に立った。そしてまた頭をペコリと下げる。


「申し訳ございません魔王さま。人違いをしました」

「あ、私も違います」


 あれ? わざとかな?

 というか私、魔王だと思われていない?


「え、違うんですか?」

「はい。こちらに立っている方が魔王さまです」


 ゴリンゴさんが私を見る。ただジッと見つめる。

 私は静かに声をかけられるのを待った。するとゴリンゴさんはそのうち顔がとてもほんわかとし始めて、そして私の頭に手を置いた。


「うふ、うふふふ」


 何だろう。とてもむず痒い。というかなんで私、頭を撫でられているんだろう?


「かわいいー。こんなかわいい娘が魔王さまだなんて思ってもいなかったわ」

「あ、あのぉー」

「ああ、村長さん。この娘、魔王さまですけど飼ってもいいですか? かわいくてしょうがないです!」


 あ、あれ? さっきまですっごく丁寧に挨拶していたけど、私の時だけ違う。というか撫でられながら抱き締められているんだけど。


「ダメですよ、ゴリンゴさん。その方は魔王ですから飼ってはいけません」

「むぅー。一秒でもダメですか?」

「ダメです」


 私、魔王としての威厳はないのかな?

 そんなことを思いながらむくれているゴリンゴさんを眺めた。ゴリンゴさんはどこか未練があるのかずっと私を抱き締めたまま離そうとしない。


「ハハハ。気に入られましたね、マオ様」


 ちょっと困っているとセバスチャンさんが声をかけてきた。私はどこか助けてほしいなって思っているとセバスチャンさんがこんなことを口にした。


「ゴリンゴさん、申し訳ありませんが魔王さまはみんなの魔王さまです。ですからそろそろ離してもらえませんか?」


 ゴリンゴさんは渋々という形で私を離してくれた。

 でもどこか諦めきれていないのか「絶対に飼ってやるんです!」と恐ろしいことを口から零していた。


「さて、そろそろ私の家に行きましょうか」


 スライスさんが話題を切り換えて進み出す。私達もその後を追っていく。ゴリンゴさんはそんな私達に満面の笑顔で手を振って別れようとした。


「きゃー!」


 でも進もうとした瞬間にゴリンゴさんの悲鳴が上がった。振り返るとそこにはとてもウネウネしている変な生物に捕まったゴリンゴさんの姿があった。


「な、何あれ!」

「あれは触手ですね。基本的には無害だと聞きますが、ただあれの魔の手にかかった女性は見るも無残な姿になると聞きます。それはもう、とってもエロい姿になると聞きますよ」

「えー!」


 それとってもまずいじゃん!

 ゴリンゴさんはゴブリンだけど、女の子だし!


「た、助けなきゃ!」

「たぶんもう手遅れかもしれませんよ?」


 セバスチャンさんに言われてゴリンゴさんに振り返る。するとゴリンゴさんは何かヌルヌルした液体をかけられていて、とてもトロンとした目になっていた。


「らめぇ、わたしぃ、邪神しゃまにみをしゃしゃげたおんななのぉー」

「あれはもう危ない一線を超える一歩手前ですね。このままでは彼女はとってもエロい姿に」

「助けてあげなよ! というかゴリンゴさんかわいそう!」


 でもセバスチャンさんはやる気を見せない。もー、いつものセバスチャンさんじゃないよ!

 こうなったらシィちゃんと一緒に――


「って、あれ? シィちゃん?」


 シィちゃんの姿がない。

 あれ? どこに行ったんだろ?


「ふぇぇ、マオしゃまぁー」


 捕まってる! とんでもなくヌルヌルにされてて、目がトロンとなっているよ!


「らめぇ、こんなしゅぎゃたはぁ」

「や、やぁ、いやぁ」


 触手が歓喜したかのようにウネウネする。もーなんだか危ないのがビンビンと伝わってくるよ!


「セバスチャンさん、お願いします。助けてくださいよ!」

「すみません、マオ様。私は二人がエロくなる姿を見たいです」


 キリッとするセバスチャンさん。

 なんでこんなにもヤバい状況でそんな勇ましい顔をするの!?

 私は一人でゴリンゴさんとシィちゃんを助けるために奮闘することになる。結果、すっごいヌルヌルになっちゃうのだった。

 せっかくのお気に入りのお洋服が……。はぅぅー。


なんかエロい(笑)

ちょっと遅れてしまいました。


次回は午後5時ごろを更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ