くのいち! これ恥じ? 罰ゲーム
なんだかよくわからないけど猫獣人のくのいち、ニャニャちゃんを私達は捕まえました。
逃げないように縄で身体をグルグル巻きにしたけど、これは大丈夫なのかな? なんか荷物運搬する時にやる縛り方をしているし。
「はにゃせー!」
「離しません。あなたにはいろいろと吐いてもらいますからね」
「ふ、ふん。にゃーはどんなことがあっても、情報にゃんて漏らさないにゃ!」
ニャニャちゃんはどこか強情に振る舞っている。でもどこかビクビクと身体を震わせていて怯えているような感じが受け取れるよ。
「そうですかそうですか。なら、それ相応のことを受けてもらわないといけませんね」
そういってセバスチャンさんはパールを持ち上げた。
パールで一体何をするつもりなんだろう?
「ふふ、楽しみですね。あなたが喘ぎ苦しみ、私達に助けを請う姿が!」
「くっ、にゃにをするつもりにゃ!」
「何、簡単なことですよ。この子猫、パールと戯れてもらうだけです」
「戯れる? まさか――」
恐怖で引きつるニャニャちゃん。セバスチャンさんは、そんな顔を確認した後、ゆっくりとニャニャちゃんの後ろに回り込んだ。
そしてパールをそこに置き、セバスチャンさんはこんなレクチャーを始める。
「ほら、この尻尾で遊んでごらん?」
ゆらゆらと揺れる尻尾。パールはそれを見て、どこか目を輝かせていた。
じゃれつくように前足を振るパール。それは微かに尻尾に当たって、さらに揺れるからどこか楽しそうに見えた。
「にゃ、にゃん!? や、やめるにゃ。そ、そこは、敏感――」
「ふふふ、忍者のくせに大切なところを鍛えてなかったのですか? これはいけませんね」
「くっ、こ、こんにゃ屈辱、初めて――にゃん!」
あ、パールが尻尾を捕まえた。何だかペロペロと舐め始めたよ。
ニャニャちゃんは何だかとても顔を真っ赤にさせているなぁー。プルプルと震えているし、結構辛そうだよ。
「にゃ、にゃあー。や、やめ、にゃん! そ、そこを、そんにゃ、にゃめるにゃー」
「口を割ったらどうですか? そうすれば解放してあげますよ?」
「だ、だれがそんにゃ――にゃん!」
セバスチャンさんは「なかなか強情ですね」って言って怪しく笑っている。なんだかわからないけど、すごくドキドキするよ。
ニャニャちゃんは嫌がっているのに、ポワーンってしているし、とても色気が出ているし。
「なら、こうしてあげましょう」
セバスチャンさんはニャニャちゃんの尻尾を軽く持ち上げた。それをされた途端に、ニャニャちゃんは驚いたように目を大きくさせる。
「にゃ!? まさか、それはダメにゃ!」
「獣人の尻尾や耳は、とても敏感だと聞きましたからね。パールのじゃれつきでこうなるのですから、軽く握ったらどうなるでしょうね?」
「ダメにゃ! 絶対にダメにゃ! そんなことされたらにゃーは――」
セバスチャンさんは軽く笑う。そして耳打ちするような距離で「では口を割っていただけますか?」と訊ねた。すると先ほどまで拒絶していたニャニャちゃんは、一瞬だけセバスチャンさんを睨みつけた。
でも、なんだか迷っているように見えた。
「いいのですよ? このままあなたが壊れてしまっても。ですが、あなたの態度次第ではそれ相応のものを用意します。いい意味でも、悪い意味でもね」
「くぅ、ならばにゃーを殺せ。お前らに、話す情報はにゃいにゃ」
「おやおや、強情ですね。なら、もう少しいたぶってあげましょうか」
そう言ってセバスチャンさんはニャニャちゃんの尻尾を軽く握った。するとニャニャちゃんは「にゃん」って声を上げたんだ。
「いい声ですね。もしかして、このくらいがいいのですか?」
「そ、そんにゃ訳、にゃい!」
「なら、試してみますか」
なんだかわからないけど、ものすごくドキドキする。身体もうずうずしているよ。何、この感情? ニャニャちゃんに意地悪したい。
あ、そういえば耳も敏感だってセバスチャンさんが言っていたような気がする。
よ、よーし、試しに触ってみようっと。
「にゃ!? にゃにをする気にゃ!?」
「ちょっとだけ。ちょっと触るだけだから」
「ダメにゃ! こんな時に耳をやられたらにゃーは――」
私はセバスチャンさんに許可を求めるように目を向けた。するとセバスチャンさんはニッコリと笑って「いいですよ」って言ってくれたんだ。
ニャニャちゃんはとても青い顔をする。そんな顔を眺めながら、私はゆっくりと耳に手を伸ばした。
「やめ、にゃん! ダメ、にゃん! にゃあぁあああぁぁぁ!」
ニャニャちゃんは背中を大きく沿って絶叫した。そしてそのまま気絶をしちゃったんだ。
「これで懲りたでしょう」
白目を剥いちゃったし、しばらく起き上がる気配がないなぁー
もう少し遊びたかったけど、こうなっちゃったら仕方ないか。
「それにしても、どうして倭の国の忍者さんが私に襲いかかってきたのかな?」
「さあ? よくわかりませんが、何やら事情があるかもしれませんね」
その事情を聞きそびれちゃったし、まあ目が覚めるまで待つしかないかな?
「さて、そろそろご飯の時間です。私が見張っていますから、マオ様はお食事を取ってきてください」
そう促されて私は食堂へと向かった。
だけど、これが騒動の入り口になるなんて、私は思いもしなかった。
とんでもない屈辱を受けたニャニャちゃん。
それに満足したマオちゃんは、なんだか魔王らしくなってきたぞ。
だけど一番危ないのはセバスチャンだけどね!




