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ニャンのにゃん!

 うう、大切なものを私は失った気がする。

 まさかゴーレムがいきなり暴走するなんて。そして私のパンツを――いやぁー! 思い出しただけで恥ずかしいよぉー!


「しかし、すごい値段でしたね。まさかシマシマパンツが七〇万ゴールドもつくとは思ってもいませんでしたよ」

「言わないで! 絶対にみんなには言わないで!」


 セバスチャンさんは歯を光らせてとても満足げに笑っていた。

 そういえば私がパンツを剥ぎ取られた時、「マオ様のパンツ、ハァハァ」って言って鼻血を噴き出していたけど、大丈夫かな?

 未だに鼻血が出るのか、ティッシュを詰め込んでいるし。


「ふふ、しかし至福でした。まさかあのような形で夢が叶うとは」


 私は若干引く。確かにパンツを取られた時、スカートの裾を下に引っ張ってモジモジしたけど。

 あんな恥ずかしい思いはもうしたくない。今度は徹底的に対策して、あのゴーレムをやっつけてやるぅー!


「さて、帰りましょうか。お金は借りれましたし、いい土産話もできました」

「やめて! 絶対に言わないで!」


 意地悪く笑うセバスチャンさん。私は泣きながら懇願するけど「どうしましょうかね?」って言われるだけだ。

 うう、今日は最悪だ。なんでこんな目に合わなきゃいけないのぉー!


「にゃー」


 私がセバスチャンさんに懇願していると、近くの茂みから何かが聞こえた。

 何だろ? 鳴き声的に猫っぽいけど。


「にゃー」


 なんだかとても弱々しい。ケガでもしちゃったのかな?


「おや、この鳴き声はよろしくありませんね」

「危ないかな?」

「見てみなければわかりません。まあ、おそらくは予想通りだと思いますが」


 私達は茂みの中へ入る。するとそこには、とてもやせ細っていて真珠のように真っ白な子猫がいたんだ。見た限りだとここしばらく食べていない感じがする。


「これは、デビルホワイトですね」

「デビルホワイト?」

「はい。とても珍しい品種でございまして、本来ならば野生では存在しないものです」

「なんでそんな猫が、お腹を空かせて倒れているの?」

「おそらくは捨てられたのでしょう。どういう事情があったかわかりませんが、そう考えるのが妥当かと思います」


 かわいそう。まだ子猫なのに、そんな目に合うなんて。


「子供でありますし、野生でもありませんからね。おそらく狩りの仕方がわからず、食べられない日々が続いていたのでしょう」

「だからこんなにやせ細っているんだね」


 私はゆっくりと手を伸ばそうとする。だけどその途端、子猫は起き上がって逃げた。そして少し離れた場所で、力の限り威嚇をしたんだ。


「どうやら、人が嫌いのようですね。前の飼い主にひどい目に合されたかもしれません」


 かわいそうすぎる。元々は人に飼われていたのに。

 私はまたゆっくりと近づいていく。だけど子猫はずっと威嚇をしていて、私に触らせようとしない。


「マオ様」

「大丈夫、ちょっと様子を見るだけだから」


 私はもう一度手を伸ばす。すると子猫は爪を剥き出しにして前足を振った。

 それは指先に当たって、とても痛い。でも、私は手を伸ばす。

 すると子猫は私の指に噛みついた。甘噛みじゃなくて、本気の噛みつき。とても鋭い痛みが指先に走る。でも私は歯を食いしばって堪えた。


「大丈夫、大丈夫だよ」


 私はあなたの敵じゃない。そう静かに訴えかける。すると子猫はしばらくして、指を噛むのをやめてくれた。ペロペロと、まるでごめんねって言っているみたいに舐めてくれる。


「頑張りましたね」


 セバスチャンさんが、優しく声をかけてくれた。

 褒められて、私は少しだけ嬉しさのあまりに微笑む。


「にゃー」


 子猫はまだ警戒している。でも少しだけ、私のことを信頼してくれたみたいだ。


「セバスチャンさん、何か食べさせられるものはあるかな?」

「クッキーを少々。本来ならあまり食べさせてはいけませんが、まあいいでしょう」


 私はクッキーを受け取って、食べやすい大きさに割って子猫にあげる。子猫はそれを少し味見すると、美味しかったのか勢いよく食べ始める。

 とてもお腹が空いていたんだなぁー。私は少し同情しながら慌てて食べている子猫を眺めていた。


「にゃー」


 子猫は食べ終わると、ありがとうって言ったみたいに鳴いた。私はそれににっこりと笑って返事をする。


「さて、そろそろ帰りましょうか」

「うん」


 私が立ち上がろうとした瞬間だった。子猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら私の足に、身体をスリスリとしてきた。目を向けると子猫は「にゃー」って鳴いて、どこか連れていってほしそうに見つめていた。


「どうやら気に入られたみたいですね」


 私は子猫を抱き上げる。すると子猫は嬉しそうに喉を鳴らして笑っていた。


「連れていっても、いいかな?」

「ちゃんと世話をするならいいですよ?」


 セバスチャンさんは優しく笑いながら、そう言ってくれる。

 私はそれに「ありがとう!」って言って笑った。


「さて、この子の名前はどうしましょうか?」

「うーん、そうだなぁー。真珠のように白いから、パールでいい?」

「いい名前ですね。ではそう呼びましょうか」


 私はこうしてパールと出会った。

 私に抱き締められているパールは、どこか嬉しそうだった。


新しい仲間、パール。

この子猫はどんな活躍をするのだろうか?


こうして魔王せいかつ12日目は幕を閉じる!

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