マオと靴下とパンツと
私はなぜか借金するために靴下を脱ぐことになった。まあ、パンツを脱がされるよりはマシかな?
それにしても、なんで靴下を脱がなきゃいけないんだろ? というか、どうして今身に着けているものを脱がなきゃいけないの?
「では、脱いだ靴下はこのゴーレムに持たせてくれるかね?」
ゴーレム?
何気に目を向けるとそこには、白い人の形をしたゴーレムが立っていた。ゴーレムはゆっくりと両手を差し出して、靴下を置くように促してくる。
うーん、一体何が起きるんだろ? ひとまず靴下を置いてみるかな。
『フォオォォオオォォォ――』
な、何? 突然すごい声を上げたんだけど!?
「ほう、これはすごいですね」
「想像以上だね。まさかここまでこいつが興奮をするとはね」
興奮って何!?
よくわからないけど、ゴーレムが煙を上げているよ!
「おお、ほどよいピンク色ではありませんか」
「なかなかだね。この子、とんでもないね」
何が!?
よくわからないけど、ゴーレムは煙を頭から噴かせて、身体を淡いピンク色に変化させていた。しばらくすると胸が開いて、そこから細長い紙が出てくる。
モルディさんはその紙を手にすると、すごく目を大きくしていたんだ。
「ほう、これはこれは。どうやらこいつはお前さん達に三万ゴールドを出すと言っているね」
「それはそれは。なかなかにいい話じゃないですか」
よくわからないけど、いい方向に話が進んだみたい。お金は二万ゴールド借りられるし、合わせてちょうど五万ゴールド。
よかったよかった。これでどうにか食い繋げるんだね。
「では、今度はマオ様のパンツをやってみましょう」
「ちょっと待って」
え? どこからそんな話になったの?
もうお金のことは解決したよね? 私がパンツを脱ぐ必要、全くないよね?
「え? 脱がないんですか?」
「どうして脱がなきゃいけないのよ!?」
「え? ここは脱ぐのが通例ではないかね?」
あれ? 何これ?
脱がなきゃいけないの? 全く脱ぐ必要がないのに?
「って、騙されないから! 絶対に脱がないからね!」
「そうですか。とても残念です。チッ」
舌打ちされた!
何? どうしてそこまで私のパンツにこだわっているの?
「残念だねぇ。お前さんの夢を叶えられなくて」
「いいのです。これはどうせ、異性には理解されない夢です」
「恥ずかしがっている小娘の姿を見たかったねぇ」
「見たかったですねー」
へ、変態だ! この人達、変態だ!
よくわからないけど、身に危険を感じるよ。
「まあ、強制する訳にはいきませんからね。マオ様は健全な方。こんな変態な夢など、叶えてくれるはずもありません」
「そうだね。スカートの裾を抑えてモジモジしている姿を見たかったが、そんなことをさせたら完全にアウトだからね」
「ああ、見たかった。マオ様が恥ずかしがってモジモジしている姿を――」
二人はチラチラと私を見つめる。
いや、そんなことされても脱ぎませんから。
「まあ、目標の五万ゴールドには届きましたからね。これでどうにか乗り切ることができそうですよ」
「それはよかったね。また何かあったらここに来なさい。力になってあげるね」
ふぅー、どうやら無事に話が終わったみたい。
よかった。シィちゃんにあんな説明されたからとても怖かったけど、靴下ぐらいならどうにかなるし。
『フォオオオォォオオォォォ!』
あれ? ゴーレムの様子がおかしい。とんでもなく目を赤く光らせて、まっすぐ私に突っ込んでくるんだけど。
「これはいかんね!」
「マオ様、お逃げください!」
「え? 何が起きたの?」
ゴーレムは抑え込もうとする二人を簡単に薙ぎ払った。
ええ!? 何これ、すごい迫力で私に向かってきているけど――
『パンツ、パンツー!』
パ、パンツ!?
え? もしかしてこのゴーレム、私のパンツを狙っているの!?
『パンツー!』
「いぃやぁー!」
なんでいきなりこんな目に! とにかく逃げなきゃ。このままだとパンツを剥ぎ取られちゃう。
『パンツー!』
「きゃあ!」
逃げようとした瞬間、何かが足に絡みついた。それにそのまま引っ張られて、私はすっ転んでしまう。
「ヤ、ヤダァー」
身体がズルズルと引き寄せられていく。
このままじゃあ脱がされる。どうにかしなきゃ。
「天使さん!」
私は天使さんに頼る。でも、天使さんは一向に出てきてくれない。
あれ? なんでこんな時に出てきてくれないの?
「マオ様、そいつは対魔法を持っています! 捕まったら最後、魔法どころか紋章の力も使えません!」
「それを早く言ってよぉー!」
ああ、身体がどんどん引き寄せられていく。懸命に力を込めているのに、確実に捕まっちゃうよぉー!
「た、助けてぇー!」
でも、その叫びは意味なかった。
「ああなると、我々ではどうにもできませんね」
「技工士を呼んだが、まあ間に合わんね」
こ、この変態ぃー!
私はその後、揉みくちゃにされた。そしてパンツを剥ぎ取られ、喜んでいるゴーレムの横で涙を流したのだった。
ちなみに私のパンツの値段は、七〇万ゴールドだった。
守れなかったパンツ。とんでもない恥ずかしい思いをしながら、マオちゃんは涙を拭く。
しかし、どうにか目的の額を借りることができた。
これで生活は安泰だ!




