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マオの魔王レベル

『だいぶこの身体に慣れてきたのぉ』


 ニワトリになった邪神さまは、コケコッコーって鳴きながらそんなことを言っていた。

 あのタコみたいな姿と違って、とーっても勇ましく見えるのはなんでだろ?


「それにしても、まさかあなたがやられてしまうとは思ってもいませんでしたよ」

『封印は二割しか解かれてないのぉ。仕方がないことだの』


 そんなことを言いながら邪神さまは静かにセバスチャンを見つめた。それから私のほうに顔を向けて、なぜか大きな声でコケコッコーって鳴いた。


「どうしましたか?」

『いやの、まさかセバスチャンにそういう感情があったとは思ってもなかったの』

「はい?」

『いやはや、わしは感心するの。やっとお前にもそういう想いを持ってくれるとは感動ものだのぉ』


 やめて! それ以上はやめて!

 せっかく忘れてたのに、思い出させるようなことはやめてー!


「じゃ、邪神さま! それよりもどうしてニワトリになっちゃったの?」


 私は慌てて話題を変えた。幸いにもセバスチャンさん邪神さまが言ってたことがわかってないようだし。


『ん? そうだのぉ。簡単に説明するとヴァルガンにやられたからだの』

「え? やられちゃったの!?」

『そうだの。それはもう口でいうにはおぞましいやられ方だったの。まず残った足を引き千切られ、次に身体をギタギタにされ、そのまま鍋に入れられ、先日の晩飯にされたのぉ』

「……それ、普通にご飯を作っていただけじゃあ」


 でも邪神さまを簡単に料理しちゃったってことでもあるんだよね? そう考えるとヴァルガンさんはとーってもとーっても強いってこと?

 うう、さすが真祖って呼ばれる吸血鬼さん。このまま戦いに行っても、二の舞になりそう。


『まあ、何にしてもわしでも勝てぬ相手だからの。このままではどう戦おうが、こちらの勝ち目はないのぉ』

「そんなぁー」

『だが心配するな。こういう時のためにとっておいたとっておきの秘策があるのぉ』


 とっておきの秘策?

 それって何だろう?


『セバスチャン、マオの魔王レベルを教えてくれの』

「かしこまりました。現在マオさまの魔王レベルは現在五レベルでございます。短期間ではなかなかの成長だと思いますよ」

『ふむ、なるほど。それはいい成長具合だの』

「あのぉー」


 魔王レベルって何? それよりもセバスチャンさん、なんでそんなことがわかるんですか?


「ああ、説明していませんでしたね。魔王レベルとは、魔王になった者が持つ強さを数値化したものでございます。このレベルが高いほどゴルディアートの統治具合が変わってきて、それがこの島に住む者達にも影響を与えるのでございます」

「えっと、じゃあ私のレベルが高ければみんなはそれに応じて強くなるってこと?」

「はい、そういうことであります」


 へぇー、じゃあ私がもっと強かったらみんなも強くなるんだ。

 でも五レベルって……。確かに魔王になってから日は浅いけど。


『まあ、未熟ということもあってヴァルガンに支配権を奪われたんだがのぉ』

「え? そうなんですか!?」

『ヴァルガンも同じように魔王レベルがある。数値にすると、あやつは五〇レベルだの』


 たっか!

 って、私の十倍じゃん! 私、そんな相手に勝てないよぉー


「おや、思っていたよりはレベルが低いですね」

『何やかんやでサボる奴だからの。ゆえに勝機は見える』


 え? 絶望的なの私だけ?

 なんで二人はそんなに希望を持っているんですか?


『まあ、数値的に見れば絶望的だの。だが、わしらにはとっておきの秘策がある!』

「その秘策とは何ですか!? チキン・ザ・ハート様!」

『それはの――』


 私達は息を飲む。邪神さまが持っている秘策、それは一体何なのか。

 カッと目を見開く邪神さま。その姿に緊張感が一気に高まった。


『セバスチャンと愛の口づけを一日中交わすことだのぉ!』

「…………」


 何だろう。期待していたのと全然違ったんだけど。

 セバスチャンさんもなんか笑ったまま固まっているし。すっごく困っているのかな?


「あ、あのぉー」

『まあ、待て。わしはある確信があってこんなバカげた方法を提案しているんだの』

「ほう、それはどういう理由でございましょうか? できれば詳しく聞かせていただきたいのですが?」


 セバスチャンさんが殺気を放ってる!

 え? どうしたの? そんなに怒ることなの?


『簡単だの。お主がマオにキスを交わすたびにレベルが上がっているからの。ゆえに! わしはこう考えたの! キスをすればマオは強くなると!』

「だからといっておいそれとしますか! そもそも、あなたはただ私達が交わすキスを見たいだけではないですか?」

『ギックー!』


 邪神さまはとても焦ったようにコケコッコーって鳴き始めた。

 なんだかわからないけど、下心がすっごく見えるけど。


「そうですかそうですか。なら覚悟してください。あなたはきょう付で丸焼きチキンになってもらいます」

『ま、待て! 一度試してみろ! レベルが上がれば――』

「無罪放免だと思いますか? このチキン野郎」


 セバスチャンさんが、ニコニコ笑いながらすっごいことを言っているよ!

 でも、この方法でレベルが上がるなら――


「セバスチャンさん、一回試してみよう」

「はい?」

「私、みんなを助けたい。だから、可能性があるならやりたい」


 セバスチャンさんは頭を抱えていた。何か言われるかもしれない。もしかするとダメかもしれない。でも、私は――


「あのですね、目の前にいるチキン様は私達のキスをただ見たいだけなんですよ?」

「それでも、やりたい。だから、お願い!」


 セバスチャンさんは呆れたように息を吐いた。そしてどこか諦めたよう言葉を口にした。


「わかりました。では、やりましょう」

「う、うん」


 何だろう。いざやるとなるとドキドキする。

 何回もやっているのに、心臓がバクバクするよぉー


『するのか? するのかの!? キスをするのかのぉー!!?』


 邪神さまがとってもうるさくなってる。セバスチャンさんが睨みつけるけど、一向に静かになる気配はない。


「それでは、いきますよ」


 セバスチャンさんの顔が近づいてくる。私はそれを見て、つい目を瞑っちゃった。

 何がどうなっているかわからない。でも気づけば唇と唇が重なった。

 心臓がバクバクする。ゆっくりと目を開くと、セバスチャンさんはどこか照れたような顔をしていた。


「あ、あの……」

「レベルが上がりました。ですが、あまりやりたくないですね」


 私達はなんとも言えない気分になった。セバスチャンさんも私も、互いの顔が見れなくなっていた。

 私に関しては顔が真っ赤っかになってたと思う。だってそれぐらい、恥ずかしかったんだもん。


『うひょひょひょひょ! ありがとう!』


 邪神さまがとても嫌な笑い方をしていた。よくわからないけど、なんだかとってもムカついた。


邪神さまのおかげ?でマオちゃんがレベルアップ!

この調子でどんどんとレベルは上がっていくのか?

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