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結成! 魔王連合軍

 気持ちいい目覚め。それと一緒に入ってきたのは、心地いい滝の音と懐かしく感じるセバスチャンさんの笑顔。


「よく眠れましたか?」


 いつものセバスチャンさんに戻ってくれたおかげか、張りつめていた私の心には安心が生まれていた。

 あれ? でも元に戻ったってことはセバスチャンさんって、私のことを愛してくれているってことなのかな? それで私もセバスチャンさんのことを愛していて、それは邪神さまの話だと〈真の愛〉ってことに――


「どうしましたか? マオ様?」

「え? う、ううん。何でもない」


 ま、いっか。考えるのはあとにしよっと。


「やはりこの服装が落ち着きますね」


 ピシッとした黒いスーツ。その襟を正しながら、セバスチャンさんは呟いていた。

 私も見慣れた姿になってくれたおかげで、とても安心する。でも、小さくなったセバスチャンさんはセバスチャンさんで、どこかかわいげがあったなぁー

 ちょっと、生意気なところもあったけど。


「あ、セバスチャンさん。シャーネルドラゴンはどうしたんですか?」

「あれなら叩き起こしてやりましたよ」


 セバスチャンさんが視線を滝のほうに向ける。するとそこには、スラート君と遊んでいるシャーネルドラゴンがいた。


「助けてぇぇ!」

「って、スラート君!?」


 ああ、思いっきり襲われている。必死に水の上を滑って逃げているけど、シャーネルドラゴンは諦める素振りを見せないし。


「おやおや、だいぶ調子を取り戻してきたようですね」

「あれのどこが元に戻ったんですか!? 思いっきりスラート君が襲われているんですけどっ!?」

「大丈夫ですよ。彼はスライム。少しだけじゃれられるだけです。運が良ければ生きていますよ」

「ダメですよ! スラート君は仲間なんですから!」


 もー、相変わらずなんだから!

 とにかく助けにいかないと。でも、私はまだ天使さんは出せないし。

 何でもいいからシャーネルドラゴンの気を引かなきゃ。


『コラぁ! 私のスラート君をいじめるなー!』


 まずい、カランさんが騒ぎに気づいちゃったみたい。ああ、まっすぐシャーネルドラゴンのほうに行っちゃったよ。

 どうしよう。このままじゃスラート君もカランさんもシャーネルドラゴンにやられちゃう。

 えっと、えっと、何か小石的なものがあれば――


「お、見っけ見っけ」


 こんな忙しい時に、誰かが手を振って「おーい」って私に駆けてくる。思わず顔を向けるとそこには、〈ブレイカー〉のみなさんがいた。


「ティザーさん?」

「やぁ、探したよ。なんだか城下町がおかしいからどうにかして欲しいって頼みに来たんだけど、ちょっと取り込み中かな?」


 そっか、ティザーさんは外の人だからヴァルガンさんの影響を受けていないんだ。

 じゃあ、もしかするとミーシャもジュリアちゃんも同じように大丈夫なのかもしれない。


『ガァアアアァァアアァァァ!』

「あ、いけない!」


 そうだ、シャーネルドラゴンのことを忘れてた。早くどうにかしないとスラート君達がやられちゃうよ。


「ん? なんだい今の雄叫びは?」

「お願いティザーさん、ちょっとだけ助けて!」

「助ける?」

「今の私だと、どうすることもできないの。だから、だから――」


 スラート君とカランさんを助けられない。どうにかしたいけど、私には戦う力がまだない。

 そんな風に訴えていると、ティザーさんはニッと笑ってこんなことを口にしたんだ。


「じゃあ、手を貸してあげるよ。ただし、俺達にも暮らしがある。だから、取引をしよう」

「取引?」

「そ。俺達は君に手を貸す。だけど一方通行じゃあ割に合わない。だから、君の精一杯の誠意を見せて欲しい」


 精一杯の誠意? それって、一体何をすればいいのかな?


「何を――」

「それは君が決めることさ。だけど、悪い話じゃないだろ?」


 私なりの誠意。それが何なのかわからない。でも、でも、でも、みんなを助けたい。


「わかった。何でもします。だから、助けてください!」


 ティザーさんはその答えを聞いて、優しく微笑んだ。そして私の頭に手を置いて、くしゃくしゃに撫でたんだ。


「その言葉、忘れないでくれよ」


 ティザーさん達はゆっくりとシャーネルドラゴンを見下ろす。その隣にセバスチャンさんが立って、微笑んでいた。


「あなた方が肩入れするとは、珍しいですね」

「あんなかわいい娘に、助けてって言われたら仕方ないだろ? それとも、もっと意地悪するつもりだったのかい?」

「いいえ。どのみちこのままでは厳しかったですからね。主には動いてもらわないと」

「腹黒執事が。最初からこれが狙いだったな」


 セバスチャンさんは惚けたような顔をして「さあ?」って笑っていた。ティザーさんはティザーさんで、気にする素振りを見せない。


「さって、それじゃあ一仕事しますか」

「よろしくお願いします。ささやかならが手伝いますよ」

「お前がメイン。俺達はサポート。それを忘れんな」


 セバスチャンさんは苦笑いしていた。でも、あんな風に笑うセバスチャンさんは何だか珍しい。

 なんというか、どこか楽しそうに思えた。


セバスチャンは元に戻って、ブレイカーのみんなも協力してくれる。

次は魔王連合軍の反撃を開始させたいです!

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