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本日のディナー

『ふんだ、ふんだ! お前達なんかにもう協力してやらんからのぉ!』


 足を半分にされた邪神さまはとーっても怒っていた。私が平謝りしてどうにか許してもらったけど、それでも邪神さまは若干根を持っているみたいだった。

 それにしても、なんで私がこんなことを……。悪いのはセバスチャンさんとメイちゃん、あとはカアたんなのに。


「うわー、夕日がきれいぃー」

「そうでございますね。そろそろ乾季でもございますし、太陽が嫌というほど輝く時期に突入でございますよ」


 夕日を眺めるセバスチャンさんとメイちゃん。こうして見ていると、ホントの親子みたいでとても微笑ましい。

 だけど、メイちゃんはホントに私の娘なのかな? 髪は白いし、それに性格とかいろんなものが違うし。あと、あのコイン。私がメイちゃんのお父さんからもらったって言っていたけど一体誰からもらったんだろ?


「くえー」

「ん?」


 なんだか不思議な声が聞こえた。振り返るとそこにはとってもかわいらしいカッパさんが立っていたんだ。その手には出来立てのタコ焼きがあって、とても美味しそうだった。


「あれ? 君は?」

「くえー」


 うーん、どうやら言葉が通じないみたい。うーん、エプロンでもしているからカアたんのお手伝いさんかな?


「あ、カッパさんだ」

「おや、こんな所に子供のカッパがいるとは珍しいですね」

「迷子かな? でもエプロンかけているからカアたんの知り合いなのかも」


 セバスチャンさんは「そうかもしれませんね」と笑いながら答えてくれた。それにしても、この子は一体どこからやってきたんだろ?


「くえー」


 ああ、何だかかわいい。目がキラキラしてて、まんまるっぽくて、どこか愛嬌があるよ。

 何だろう、抱き着きたくなっちゃう。


「おや、これはタコ焼きではないですか。少々失礼」


 セバスチャンさんはそういってカッパさんが持っていたタコ焼きを手にした。そのまま口の中へと運び、頬張っていく。


「なかなかのアツアツ。うん、タコもしっかりしていてとても美味しいですね」


 セバスチャンさんはとても幸せそうな顔をしていた。

 そんなに美味しいのかな? なんだか食べたくなってきちゃった。


「ずるーい。私も食べたーい!」

「これは失礼。ではメイ様もどうぞ」


 メイちゃんがあーんと口を大きく広げる。それにセバスチャンさんがタコ焼きを入れようとしていた。


「うぐっ」


 だけど途端に、セバスチャンさんは胸を抑え始めた。そのまま持っていたタコ焼きを落として倒れてしまう。


「セバスチャンさん!」


 何が起きたのかわからない。でも、とーってもヤバい気がする。

まさか、このタコ焼きに毒でも入っていたの!? もしそうなら早く吐き出させなくちゃ。


「セバスチャンさん、しっかりして!」


 セバスチャンさんは歯を食いしばって痛みに耐えている様子だ。でも私は何もできない。一体どうすればいいの? このままじゃあセバスチャンさんが死んじゃうよ!


「お母さん、紋章を発動させて!」

「え?」

「いいから早く!」


 そうだ。私の紋章は回復特化だった。


「わ、わかった。来て、天使さん!」


 呼びかけに応えて真っ白な天使さんが目の前に現れる。その姿はいつも通り綺麗で、どこか味気ないものだった。


「お願い、セバスチャンさんを助けて!」


 天使さんは倒れて苦しんでいるセバスチャンさんに手を添える。そして光を輝かせると共にセバスチャンさんは苦しむのをやめた。

 どうやらどうにかなったみたい。よかった、ホントによかったよ。


「ありがとね、天使さん」


 天使さんはそのまま消えていく。私はそれに笑顔を向けていた。

 それにしても、タコ焼きに毒があっただなんて。というか、このタコ焼きを持っていたカッパさん、とーっても油断も隙もないんですけど。


「くえー」

「…………」


 まあ、なんか逃げる様子がないから別にいいかな。とにかくセバスチャンさんが助かってホントによかった。


「あれ?」


 変だな? セバスチャンさんの顔が若干幼くなってる。というか、こんなに身体が小さかったかな?


「うう」


 そう思っているとセバスチャンさんは気がついた様子だった。ゆっくりと開かれる目。私は顔を覗き込んでいると、セバスチャンさんはこんな言葉を口にしたんだ。


「お姉ちゃん、誰?」


 え? お姉ちゃん?

 ゆっくりと起き上がるセバスチャンさん。でもそのセバスチャンさんは身体がとーっても小さくなっていて、着ていた服がぶかぶかで合っていなかった。


「あれ? ここどこだ? まさか魔王城か!?」

「そ、そうだけど……」


 な、何だろう? さっきまでのセバスチャンさんと違ってとても子供っぽい。まあ見た目が子供だからかもしれないけど。


「ククク、なら魔王を倒そうじゃないか! 待っていろ、魔王!」

「あ、ちょっと!」


 私が呼び止めると同時にだった。セバスチャンさんはぶかぶかのズボンを自分で踏んで転んでしまった。

 しばらく静寂が包み込む。だけどそのうち、セバスチャンさんがむくりと起き上がって私にこんなことを言ったんだ。


「誰にも言うなよ」


 か、かわいい。かわいいよ、セバスチャンさん!

 ああ、意地悪したくなっちゃう。何これ? よくわからないけどかわいいよぉー


「どうしよっかなぁー?」

「言うなよ! 絶対に言うなよ!」


 このセバスチャンさんの反応は新鮮だ。でもどうしてこんなことになっちゃったんだろ?


子供の姿になってしまったセバスチャン。

これは一体どういうことだろうか?


次回は本日午後5時に更新予定です。

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