復活降臨! 邪神さま
充電してよかった。
というかサイコー!
ということで朝から更新です。
メイちゃんを連れて地下室から出た私達は、そのままいつもの日常へと戻ろうとしていた。でも、そんな私達の前に一つの手紙が送られてきたんだ。
「あ、マオ様」
「どうしたの? シィちゃん」
「実はこんな手紙が送られてきましてね。どうやらマオ様宛らしいんですよ」
「私宛?」
何だろう? 私に手紙なんてものを出す人なんかいるのかな?
そう思いながら何気なく手紙が入った封筒を破ってみる。すると手紙と一緒に一枚のシールが入っていたんだ。
切手ぐらいの大きさのシールは、とても黒かった。一体何だろうって思って見つめていると突然、その切手から黒い煙が噴き出したんだ。
「わっ、わわわ!」
何これぇ! 何だか煙たいよぉー
というか、一体何がどうなっているの? 何も見えないよぉー
パニック状態になっている私。でも、すぐに煙は晴れていく。
どうにかなったみたいで、とても安心したよ。だけどすぐに聞き慣れない声が耳に入ってきたんだ。
『ふむ、これが新しい魔王なのね。噂には聞いていたが、なかなかの上玉だのぉ』
目の前にいたもの。それは頭にターバンを巻いたタコさんだった。
え? タコ? なんでこんなものが私の前にいるの?
「これはこれは、オクトーパン様ではありませんか」
『久しいのぉ。主と会うのは十数年ぶりじゃ』
あれ? セバスチャンさんと知り合いですか?
ならよかった。それならたぶん安全だと思うし。それにしてもセバスチャンさんはたくさん知り合いがいるなぁー
「あの、セバスチャンさん。この方は一体……?」
「ああ、この方は邪神のオクトーパン様ですよ」
……今なんて言いましたか? 邪神、邪神って言いましたよね?
え? この妙で不思議な感じのタコさんが邪神?
え? えぇ!?
「とっても偉い方じゃないですか!」
「わ、私、お部屋を用意してきますー!」
シィちゃんが急いで走っていく。私はというと、とてもあたふたしていた。
まさか、邪神さまがここにやってくるなんて思ってもなかった。というかどうしていきなりやってきたの!?
「しかし急でしたね。もしや封印が解けたのですか?」
『二割ほどのぉ。完全復活には程遠いが、巷は騒いでおるわ』
封印されていたんですか? というかその封印、解けたらどうなるんですか!?
わからない。わからないことばかりだよぉー!
「あ、あの」
あたふたとしている私の手を強く握り締めて、メイちゃんが口を開いた。
振り返るとメイちゃんは、どこか緊張したような顔をしている。
『……ほう、これはまた面白い娘もおるのぉ』
邪神さまはというと、どこか微笑ましい顔をしてメイちゃんを見つめていた。メイちゃんはそんな邪神さまに、こんな質問をする。
「私、お父さんを探しているんですけどわかりませんか?」
その言葉を聞いて、つい目を点にしちゃった。
『主の父親か? ふむ、そうだのぉ……』
なんでそんなことを聞いたんだろ? コインをもらっているんだし、それにそんなこと聞く必要性がない気がするけど。
『主だけしかいないのであれば言っても構わぬが、ここには人がおるからの。二人きりになったのなら話してやろう』
邪神さまにそう告げられると、メイちゃんはとても嬉しそうな顔をしていた。
それはどこか無邪気で、だからとても微笑ましい。
『ほっほっほっ、元気でよろしい』
笑っている邪神さまは『さて』と言って私に振り返った。
どこか真剣な目をして、こんなことを口にする。
『魔王よ。少しうかがいたいことがあるのだが、よろしいかな?』
「は、はい。何でしょうか?」
『主は先日、闇商人からとあるものを奪い取ったらしいが、それは真か?』
えっと、それって昨日のことを言っているのかな? 確かにあれはワーウルフのみんなを助けるためにやったけど、あくまでタダ同然に買い取ったってことになっているはずだし。
「奪い取ったんじゃなくて、ほぼ無償で買い取りましたけど?」
『ふむ、なるほどな。上手いこと丸め込んだのかのぉ』
「あの、それがどうしたんですか?」
邪神さまがちょっと険しい顔をしていた。何だろ? 何かいけないことでもしたのかな?
『まあ、仕方ないことなのかもしれんのぉ』
邪神さまはそんな前置きを言って、ちょっとため息をついていた。
『主はの、とんでもない奴からワーウルフを奪い取ったことになっておるんじゃ?』
「とんでもない奴?」
『ああ。名前はヴァルガン。世界最古の真祖と呼ばれる吸血鬼だ』
聞いただけでも恐ろしいんですけど。というか、私そんな危なそうな吸血鬼さんからワーウルフを奪い取っちゃったの!?
『狙われたら最後、奴は徹底的な拷問を繰り返し、少しずつ血を吸っていくと言う。歴代の魔王には気をつけろと言っておったが、まあ今回はわしの落ち度もある。少々は手を貸そうと思って、ここに来たのだよ』
き、聞いただけで血の気が。え? 私、殺されちゃうの? もしかしてすっごい痛めつけられて血をチューチュー吸われちゃうの?
や、やだ! そんな終わり方はいやだぁー!
「なるほど、面白いことになってきましたね」
「お母さんを守る。うん、私頑張っちゃう!」
あれ? 怖がっているの私だけ? というかなんでメイちゃんも張り切っているの!?
『ハッハッハッ、元気があっていいのぉ。ま、奴が進軍するまで少々時間がある。それまでに万全の準備をしておけばよい』
「で、でもぉー」
『これも運命じゃ。諦めて戦いに備えよ』
うう、こんな運命いやだぁー!
ワーウルフを奪い取った影響が……
でもセバスチャンはいつも通りだ(笑)
次回は本日午後1時に更新予定です。




