謎? 不思議? 一枚のコイン
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またバリバリ進めていきます!
「お母さーん。会いたかったよぉー」
う、うーん。なんだかわからないけど、すごく甘えられてる。というか、私はメイちゃんのお母さんじゃないし。
というか胸に顔を埋められてる! そんなにスリスリされたらなんだかくすぐったいよぉー
「あの、君」
「何ぃー?」
「どこから来たのですか? それにこのいざないのトビラは使えなかったはずなんですが」
セバスチャンさんがちょっと困り気味に笑いながらそんなこと訊ねた。するとメイちゃんは思いもしない言葉を口にしたんだ。
「えっとね、この時代から二〇年後の世界かな?」
その言葉を聞いたセバスチャンさんは頭を抱えていた。
えーっと、二〇年後ってことは未来からやってきたってことなのかな? でもそんな言葉信じられないし。
「あのですね。私はそんな冗談を聞きたいわけじゃあ……」
「嘘じゃない! ホントだよぉー。それに私、正真正銘のマオお母さんの娘だよ!」
そう言われても。というか私、まだ結婚すらしていないし。それどころか結婚する歳にすらなっていないよ?
「マオ様は結婚どころか恋人すらおりませんよ。それなのに子供なんて――」
「だから未来のお母さんの子供なの! 信じてよぉー!」
「信じられません。どうしても信じてもらいたいのなら証拠でも見せてくださいよ」
「むぅー!」
メイちゃんはとてもかわいらしく頬を膨らませていた。でもちょっとした後、何かを思い出したかのように肩にかけていたポーチに手を突っ込んだ。ガサゴソとポーチの中を漁りながら何かを探していて、そしてそれを見つけたようだった。
「じゃあこれを見て! これなら信じてくれるはずだよ!」
取り出したのは、コインみたいな何かだった。私はそれをまじまじと見つめてみる。だけどどんなに見つめてもピンとこなかった。
「ふっふーん、これはお母さんからもらったコインなの。お父さんが大切にしていたコインでお母さんはずっと大切に取っていたものなんだ」
胸を張って自慢げにしているメイちゃん。でも、私はそのコインを一度も見たことがない。
そもそもお父さんって、誰なのかな?
「えっとね、メイちゃん。それ、見覚えがないんだけど……」
「え? ないの?」
「うん、全くない」
「えー!」
メイちゃんはとても衝撃を受けていた。
ああ、何だろう。この子の反応がどこかかわいらしいよ。よくわからないけど、もっと意地悪したくなっちゃう。
「そ、そんなことないよ! だってお母さんはこのあたりの時間帯でお父さんからコインをもらうはずだもん!」
「そう言われても。見たことももらったこともないし」
「え? え? どういうこと? もしかして私、早くここに来すぎちゃったの?」
混乱しているメイちゃん。その困った顔はとてもかわいらしい。
何だろう、これが母性ってやつなのかなぁ?
それにしてもコインか。もしメイちゃんがホントのことを言っているなら、私に恋人がそろそろできるってことなのかな?
いやー、ないない。そんなことあり得ないよ。そもそも私、魔王だし。それにこのコイン、全く見覚えがないしなぁー
「そんなぁー、私、とんでもないことをしちゃったよぉー」
グスグスと泣き出すメイちゃん。ああ、何だかわからないけど猛烈にかわいい。そしてとんでもなく意地悪したくなってきた。
あれ? これって私、魔王として染まってきたのかな?
「ま、まあ、何にしてもだ。なんだかわからないがいざないのトビラは発動して迷ってきちまった子だ。もしかしたら頭に何か影響があったかもしれないな」
ティザーさんが懸命にメイちゃんのフォローをする。だけどメイちゃんはとても落ち込んでいて、すぐに立ち直る気配はなかった。
「そう落ち込むなって。君が何か失敗した訳じゃないだろ?」
「何もかもダメにしちゃったよぉー。もう取り返しがつかないの」
「なぁに、何もかもダメになるなんてことないさ。それに、女の子は笑顔が似合うぜ?」
メイちゃんはその優しい言葉に目を潤ませていた。そして「お兄ちゃーん」と叫びながらティザーさんに抱きついていた。
ティザーさんはまんざらでもないのか、どこか嬉しそうに抱き締めてメイちゃんの頭を撫でた。
「ま、あとでちゃんとうちに帰れるように俺が修理しておいてやるよ」
こうしてティザーさんの仕事はいざないのトビラを直すことが最優先になった。
私はこの微笑ましい光景を見て、ちょっと安心する。なんだかわからないけど、メイちゃんはとても不安そうな顔をしていたし。
「ねぇ、セバスチャンさん。しばらくメイちゃんの面倒を見ないといけないね」
「…………」
「セバスチャンさん?」
あれ? 珍しいなぁー。何か考えごとをしているみたい。一体どうしたんだろ?
「セバスチャンさんってば」
「え? あ、はい! どういたしましたか?」
「メイちゃんの面倒をしばらく見てもいいよね?」
「あ、ああ。そのことですか。ええ、大丈夫ですよ」
セバスチャンさんはいつもと変わらない笑顔を見せる。でも、どこかぎこちなさを感じちゃった。ホントにどうしたんだろ?
「お母さーん!」
「わっ」
メイちゃんに抱きつかれる。どうしたのかなって思いながら顔を覗き込むと、メイちゃんは涙を流していた。
「信じて。私、お母さんの子供なの……」
う、うーん。こう懇願されると困るなぁー
ひとまずこの子の言葉を信じてあげよう。
「わかった。だから涙を拭いて」
この一言をかけるとメイちゃんはパァっと顔を明るくさせた。どうやらとても嬉しかったみたい。
「うん!」
ああ、とっても、とーってもかわいい! ホントに私の子供みたいだよ。
それにしても恋人かぁ。メイちゃんの言う通り、できるのかなぁー?
出された一枚のコイン。だけどマオちゃんは全く見覚えがないようだ。
果たしてメイちゃんはマオちゃんのホントの子供なのだろうか!?
次回は明日午後1時に更新いたします。




