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いざないのトビラ

少々遅れてしまいました。

申し訳ございません。

 それは、突然の発見だった。


「ちーっす、セバスチャンさんはいますかー?」


 修理屋さん(世界中を旅するアーティストグループ〈ブレイカー〉)の一人、ティザーさんが訪れたの。セバスチャンさんがニコニコ笑いながら「どうしましたか?」と対応し始めるとティザーさんがこんなことを口にする。


「いやー、門の修理ついでにいろいろと直していたらさ、変なものを見つけちゃったんだよ。ちょっとわからないから来てくれないか?」


 セバスチャンさんは頭を傾けていた。

 変なものって何なんだろう? とーっても気になるんだけど、見に行ってもいいかな?


「ふむ、そうですか。わかりました、では後でうかがいます」

「おう、頼むぜ」


 そういってこの時の会話は終わった。セバスチャンさんと私はいつも通り午前中は部屋の中で作業をして、それからその変なものを見に行ったの。

 そこはお城の地下だった。とても薄暗くて、ひんやりとしていて、なんだか不気味だった。


「ここだぜ」


 ティザーさんに案内されてくると、そこには不思議な台があった。特に何の変哲もない代物なんだけど、一体何なんだろう?


「ふむ、これは――」

「何かわかりますか?」

「ええ、古い書物で見かけたことがあります。確かこれは、いざないのトビラと呼ばれる代物ですね」

「いざないのトビラ?」

「ええ。これが正常に機能していれば、記録した場所に好きなように移動できるという代物ですよ。もちろん、帰ってくることもできますが」

「へぇー、便利なものなんだね」


 いざないのトビラかー。これが使えればいろんなところに簡単に移動することができるんだぁー。でも見た限り機能していない感じだけど、使えるのかな?


「あー、なるほどな。これいざないのトビラだったのか。じゃあ使えないかもなー」

「え? どうしてですか?」

「いざないのトビラは膨大な魔力を使うんだ。だから魔力鉱石が必要となる。だけどこのいざないのトビラはそれがない。つまり使えないってことさ」


 動かすための魔力鉱石がないから動かない。うーん、じゃあその魔力鉱石が手に入らない限り動かないってことなのかぁー

 残念だなぁー。使えればとても便利なんだけど。


「まあ、例え使えたとしても今の我々には無用の産物ですよ」

「なんだかもったいないなぁー」


 ちょっと残念。


「ここは諦めてください」

「はぁーい」


 私達は諦めて帰ろうとした。そんな時だった。


「あれ? セバスチャンさん」

「はい、なんでしょうか?」

「あんな白い渦、ありましたっけ?」


 何気なく台に目を向けると、そこには白い渦があった。まるでそこに前からあったかのように回っている。


「あれ? あんなものなかったはずですが……」

「俺は何も弄っちゃいないぜ?」


 なんであるんだろう?

 そう思ってしばらく見つめていると、それは突然稲光を放ち始めた。


「きゃあ!」

「マオ様!」


 あっちこっちに弾けるイナズマ。いろんなものを壊しながら弾け飛んでいく。

 それは当然私達にも襲いかかる。だから私は咄嗟に天使さんを呼んだの。

 天使さんは私達をイナズマから守ってくれる。そして飛んでくるイナズマを弾いてくれた。


「な、何ですか?」

「わかりません。ですが、一体……」

「突然すぎてビックリだぜー!」


 しばらく様子を見守る。するとその光は次第に姿を作っていって、そして一つ形へと変化する。

 白い髪に、白いワンピース。かわいらしい猫さんキャップに、緑色のカーディガンを着ているその女の子は、ゆっくりと目を開いて私達を見た。


「誰?」


 かわいらしい女の子だ。見た目からして私より幼い感じがするよ。

 だからつい訊ねちゃった。するとその女の子は、どこか泣きそうになりながらも精一杯の笑顔を浮かべてこんなことを言ったんだ。


「こんにちは、マオお母さん」

「へ?」


 マオお母さん?

 え? どういうこと? 一体何を言っているのこの子は?


「そうか、セバスチャンよ。お前やっちまったか……」

「何をどう勘違いしたのですか? あなたは」


 あれ? よくわからないけどティザーさんに壮大な勘違いをされてるよ!


「まあ、あれだ。あとで赤飯でも炊いてやるからさ、白状しちまえよ。楽になるからさ」

「あのですね。私は何もしていませんから」

「そういう奴こそ裏で何をやっているかわからないもんだよ。ま、赤飯食えよ」

「ティザーさん!」


 珍しくセバスチャンさんが困ってる。ま、まあ仕方ないと思うけど。

 それにしても、この子は何なんだろう? 何だか綺麗な女の子だし。


「お母さーん」


 そう思ってみていると、突然その子は私に飛びついてきた。慌てて受け止める私だけど、思いもしないことに体勢が崩れちゃってそのまま背中を打ちつけちゃった。

 もー、痛いのなんの。何なのこの子は!


「へへ。会いたかったよー」


 でも、なんだか憎めないや。だって、この子の笑顔がとてもかわいくて、だけどどこか寂しいものだったんだもん。


「ねぇ、あなた。名前何ていうの?」

「メイっていうよ。よろしくね、お母さん」


 なんだか調子が狂っちゃうなぁー。私、こんな大きな子なんて知らないしー

 うーん、困ったなぁー


突然現れた女の子。

その子いわく、マオの娘だと名乗る。一体何が起きたのか!?


次回は明日の午後8時に更新予定です。


追記

しばらくマオしつの更新をお休みします。

代わりに新作『ハイカラ通りの怪奇屋さん』を更新いたしますので楽しんでいただけたらありがたいです。

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