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お見合い! お似合い? 大乱闘!

少々遅れてしまいました。申し訳ございません。


 どうにかこうにかカアたんを捕まえることができた。お城はボロボロになっちゃったけど、でも崩れ落ちなくてよかったよ。

 だけどカアたんはとても不満いっぱいに見える。まあ、望んでもいないお見合いをさせられちゃうし、それに無理矢理正装させられちゃったしね。私でもこんなことされたら怒っちゃうかも。


「っで、今回はどんな相手なんだ?」


 カアたんはカアたんのお母さんをジロりと睨みつけながら訊ねる。するとカアたんのお母さんはニッコリと笑いながら手を叩いてこんな風に返した。


「ふふ、とーってもかわいい女の子よ」


 足を組んで、机の上に乗せるカアたん。背もたれに身体を預けちゃっているから態度がとても悪い。うーん、もうちょっとまともな感じにならないかなぁ?


「ケッ、答えは決まっているんだ。さっさと呼んでこい」

「もー、つれないわね。わかったわ、呼んできてちょうだい」


 シィちゃんが頷いて奥へと歩いていく。お見合い相手が来るまでの間、カアたんは置かれた水をストローでチューチューと飲み始めた。でも途中で飽きちゃったのか、残った水を頭に被っていた。

 ああ、せっかくの服が。あれ確か、結構高いってセバスチャンさんが言ってたような。


「カアたん、少しはまともにしてくれませんか? 機嫌が悪いのはわかりますが」

「っせーな。俺の自由だろ?」

「ですが、今回ばかりは少しまともになったほうが身のためかと思いますよ?」

「あ?」


 何だろう? セバスチャンさん、まだ気を抜いてないような感じがする。まさかまだ何かある訳じゃないよね?


「お連れいたしました」


 そう思っているとシィちゃんがお見合い相手を連れて帰ってきた。目を向けるとそこにはとても綺麗なカッパさんが立っている。白を基本とした和装に、美しいかんざし。見た感じだととてもおしとやかに見えるカッパさんが今回のお見合い相手みたいだ。


「…………」


 あれ? カアたんが言葉を失ってる。あ、もしかしてあまりにも綺麗すぎて驚いちゃっているのかな?

 仕方ないよね。だって相手のカッパさん、とーっても気合を入れているし、それにたぶん美人さんだし。


「も、もしかして、ヤン姉か?」


 あれ、知り合い?


「ええ。久しぶりね、カアたん」


 ニッコリと笑うヤン姉さん。だけどカアたんは正体を知った途端に大量の汗をかき始めていた。まるで焦っているような、そんな慌てようだ。


「(おい、セバスチャン。なんでヤン姉がいるんだよ!?)」

「(お見合い相手だからでしょ? それに詳しい事情はわかりませんよ?)」

「(嘘つけ! というか助けろ!)」


 コソコソと何を話しているんだろ? ここからじゃあよく聞こえないなぁー


「カアたん」

「は、はいぃぃ!」


 わっ! 急にカアたんが背筋を伸ばしてきっちり座り始めたよ。

 あのカアたんが、なんであんなに真面目にしているの?


「な、なんでしょうか? ヤン姉」

「昔はあなた、とてもヤンチャだったわよね? 毎回私がゲンコツを飛ばすまで、周りの女の子にちょっかいを出して。もう大変だったわ」

「お、男にはそういう時期があるんだよ。ま、まあヤン姉のゲンコツはとびきり痛かったけどな」

「今となっては懐かしい思い出ね。ああ、あなたをジャイアントスイングして投げ飛ばしたのもいい思い出よ」

「そ、そうだね。ハハ、ハハ、ハハ」


 笑い声に生気がない。何だろう、カアたんがすごくやりにくそうにしているよ。

 そもそもあのヤン姉さんって一体どういう人なんだろ?


「マオ様」


 そう思っているとシィちゃんがやってきた。そして今回のお見合い相手であるヤン姉さんに関するプロフィール表を渡してくれる。

 えっと、何々? カアたんの二つ上の幼馴染み。昔からカアたんの面倒を見ていて、悪さをした時には叱りつけていたカッパさんなんだ。

 ヤン姉さんは順調に社会を歩んできたみたいだね。今じゃあカパル商事ってところの社長秘書をやっているみたい。

 なるほど、とてもいい人だ。何となくカアたんが頭が上がらない理由もわかったし、これはお母さんの作戦勝ちかも。


「懐かしい。あ、カアたん。今度は二人でデートでもしない? 積もる話もあるし、いいでしょう?」

「えっと、俺はその――」

「い・い・で・しょ?」

「はい……」


 すごい押しの強さだ。うん、でもこれなら心配なんていらないかも。

 あとは流れに身を任せていれば無事に――


「ちょっと待ったぁぁ!」


 ん? この声は、もしかして。

 振り返るとそこにはボロボロになったジュリアちゃんがいた。ジュリアちゃんは激しく息を切らしながらも剣を手にして立っている。


「さ、さっきはよくも踏みつけてくれたわね……」


 そういえばそんなことになってたんだった。すっかり忘れてたよ。


「何をしに来たのですか? あなたの出番はチリもございませんよ?」

「うるさいわクソ執事! もう許さん! 何もかもぶっ壊してやる!」


 剣に魔力が溜まっていく。それを見た会場の人々は一斉に身構えた。

 だけど空気を読まないジュリアちゃんはお構いなしに剣を振る。その斬撃はあっちこっちに飛んでいく。


「お城が!」


 わー! どうにかして壊れるのを食い止めたのにー!

 これじゃあ意味がないよー


「ったく、あいつは何をやってんだよ」


 カアたんが仕方ない様子で立ち上がる。でもそれよりも早く行動した存在がいた。


「コラ! そこの世間知らず! おとなしくしなさい!」


 暴走しているジュリアちゃんに真正面から向かっていくヤン姉さん。あまりにも勇ましすぎて私は言葉を失っていた。

 でもジュリアちゃんはそれに気づいたのか、ヤン姉さんに剣を振ろうとする。


「チッ」


 カアたんはそれを見て、咄嗟に足元を軽く叩いた。すると床がへこみ、直後に何かが起動し始める。


「このくそー!」


 剣が振り下ろされる直前だった。ジュリアちゃんの頭に金ダライが落ちたのは。

 見事な音と共にバランスを崩すジュリアちゃん。ヤン姉さんはその隙を見て、一気に接近してジュリアちゃんを捕まえた。

 そして――


「悪い子にはお仕置きよ!」


 豪快なジャイアントスイングをし始める。

 それはもうすごいものだった。ジュリアちゃんが泣きながら何かを叫んでいるのはわかったけど、何を叫んでいたのかわからないほどすごかった。

 そしてすごい勢いのままテーブルに投げ飛ばされ、ジュリアちゃんはようやく解放される。


「あら、ごめんあそばせ」


 みんながみんな、あまりの勇猛さと恐ろしさに苦笑いをする中、ヤン姉さんははとても照れたように顔を綻ばせていた。

 みんなたぶん、こう思ったと思う。

 逆らわないほうがいいって。


どこかカアたまと似ているヤン姉さん。

たぶんカアたんは逃げられないぞー(笑)

何はともあれ、魔王せいかつ6日目は終了です。


次回は本日の午後3時頃に更新予定です。

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