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精霊さんのあたらしい恋

 初めてのライブ。それは思った以上に楽しいものだった。


『センキュー、みんなー! アンコールまでやってくれてとっても嬉しいぜー!』


 熱狂的なライブはアンコールが起きても収まらない。それだけあの人達は人気なんだと思った。

 みんなが余韻に浸って引き上げていく中、私とミーシャはブレイカーのみなさんに声をかけるために近づいていく。一応、魔王だから仕事をしなくちゃいけないし、それに楽しかったって言いたかったしね。


「あ、すいません」

「ん? なんだい? サインは悪いが後にしてくれ」

「え、えと。ティザーさんですか? 私、ここで魔王をやっているマオと言います」


 そんな風に自己紹介をするとティザーさんは慌てて振り返った。まじまじと見られているとティザーさんはポンと私の頭に手を置く。


「ハッハッハッ、冗談を言っちゃダメだよお譲ちゃん。魔王が君みたいなかわいい娘じゃないだろう?」

「ホントですよ。私、魔王のマオです!」

「お譲ちゃん、ウソツキはダメだぜ? ま、君には特別にサインをあげるよ」


 むぅー、信じてくれないなぁー。セバスチャンさんがいれば話が通るんだろうけど。

 あ、そうだ。いつも助けてくれる天使さんを出せば信じてくれるんじゃないかな? よし、それじゃあ出してみよう。


「お姉ちゃん」


 そう決意していると、ミーシャが私を止めた。どうしたんだろうって思って振り返るとそこにはすごく真剣な目をしているミーシャの姿がある。


「このまま黙ってて。サインがもらえるから!」


 忘れてた。この子はブレイカーのファンだったんだ。


「えっと、マオちゃんへって書けばいいのかな?」

「あ、ついでにミーシャちゃんと付け加えてください」

「ああ、お姉さんも欲しいんだね。わかった、書いておくよー」


 ミーシャが私のお姉ちゃんになってる! 確かに見た目とかそういうのと比べると私が妹のように見えるんだけど、それでもこの扱いはひどいよ!

 私がミーシャのお姉ちゃんなの!


「はい。今度は変なウソはついちゃいけないぜ、マオちゃん」


 むぅー。私はホントに魔王なのにぃー。

 しぶしぶという感じで私はサインを受け取る。色紙にはなんて書かれているのかわからない文字があって、隅っこに「マオちゃんとミーシャちゃんへ」と書かれていた。

 はぁー、私って威厳とかないんだなぁー。


「おい、ティザー。そろそろ仕事を始めるぞ?」

「ああ、今行くぞー」


 落ち込んでいるとティザーさんは仕事に向かっていく。私の隣にいるミーシャはとても嬉しそうに手を振ってその後ろ姿を見送っていた。


「サインがもらえた。きゃあー!」


 とーっても喜んでいるミーシャ。ホント、目的のためなら手段を選ばないんだから。でも昔から成し遂げるとホントに嬉しそうにするんだし。ホント、かわいい妹だよ。

 いつまで一緒にいられるのかな? いつまでも一緒にいたいなぁー。


「あ、魔王さま」


 ミーシャと一緒に歩いていると誰かに声をかけられた。目を向けるとそこにはスライムのスラート君とその隣に精霊のカランさんがいる。


「こんにちは、スラート君」

「こんにちはー。あれ、僕って魔王さまに教えましたっけ?」

「う、ううん。ちょっと名簿を見てね」


 まさか水晶で試験を覗いていたなんて言えない。言っても信じてくれないだろうし。


「そうなんですかー。あ、こちらは精霊の滝で暮らしているカランさんです」

「初めまして。あなたが新しい魔王さまなんですね」

「はい。名前はマオと言います」

「マオちゃんかー。かわいい名前ですね。あ、そちらはお姉さんですか?」


 カランさんはミーシャを見てそう訊ねた。やっぱり成長している分、そう見えちゃうのかなぁー?


「あ、いえ。私は妹のミーシャと言います」

「妹さんですか? でも――」

「ちょっと事情がありましてね。それでですよ」


 カランさんはそれを聞いてポンと手を叩いていた。そしてジッと私を見て、どこか安心したかのように微笑む。


「なるほどー、そういうことですか」


 もしかして知っているのかな? まあ、長く住んでいる精霊さんだしなぁー。


「それにしてもスラート君。どうしてカランさんと一緒なの?」

「ああ、それはですね――」

「きゃあぁぁ!」


 スラート君が私に何かを言いかけた瞬間、カランさんがその口を塞いだ。

 とても慌てたように見えたけど、どうしたんだろう?


「はっはーん」


 私がきょとんとしていると、ミーシャがとても鋭い目になっていた。何かわかったかのようにキラリと目を光らせている。


「もしかしてカランさん、あなた――」

「ダメ! 言っちゃダメ!」


 にやにやとするミーシャ。慌てるカランさん。そしてきょとんとしている私とスラート君。

 あれ、何だろう? よくわからないけど置いていかれてる。


「ふふ、応援しますよ。行こ、お姉ちゃん」


 私はよくわからないままスラート君達と別れる。たぶんスラート君もわかっていないと思うけど、ミーシャは何に気づいたんだろう?

精霊さんがちょっとかわいいです。

スラート君との関係はどうなるのか気になります。


次回は本日の午後8時に更新予定です。


追記

申し訳ございません。少々用事ができてしまいました。

明日の午前8時頃に更新します。

申し訳ございませんでした。

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