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魔王軍の入隊試験!

すいませんすいません。

マオちゃんのイラストを描いていたらいつの間にか時間が過ぎてました。


そのうちみてみんにあげてみるので許してください(泣)

「マオ様、本日もバリバリ働いてください」

「はぅぅ。書類溜まりすぎだよー」


 爽やかな朝。私はたくさん溜まった書類の処理をしていた。一日目と違って少しは早く作業ができるようになったかな。でも書類はどんどん溜まっていって処理しきれないなぁー。

 誰かに手伝ってほしいところだけど――


「これは魔王であるマオ様がやらなければなりません。ですので手伝うことも代行もできませんのであしからず」


 うう、考えが読まれているよ。

 はぁー、やっぱり私がやるしかないのかぁー。それにしても一日開けただけでこんなにも溜まるなんて一体どうしてなんだろう? そんなに領地は持っていないはずなのに。

 にしても減らないなぁ。これじゃあ遊ぶこともできないしー。


「うん?」


 あれ? 何だろう? これだけなんか色が違う。

 チラシって言えばいいかな? なんか他の書類とは毛色が違うなぁ。


「セバスチャンさん」

「はい、どうしましたか?」

「この書類なんですけど、なんか他のと違います」


 セバスチャンさんは私が見つけた書類を手に取る。そしてとてもわざとらしく「ああ、これですか」と言葉を口にした。


「これは魔王軍が新規募集をかけたチラシですね。どこかで混ざってしまったんでしょう」

「魔王軍? 軍隊なんてあったんですか?」

「ええ。これでも立派な世界の敵ですからね。弱体化したとはいえ、ちゃんと軍隊はいますよ」


 そういえばそうだった。

 セバスチャンさんが持っていたチラシを返してくれる。私は詳しく内容を知るために眺めてみるとそのチラシには『魔物も人間も大募集! 一緒に世界を支配しよう!!』って書かれていた。

 とてもかわいらしいクマさんのイラストに、ゴブリンさんらしき絵もある。一体誰が描いたのか気になるけど、この感じだとあまり強そうな人や魔物は集まってきそうにないなぁって思った。


「ねぇ、セバスチャンさん。この入団試験って今日やるの?」

「ええ、日付だとそうらしいですね。あと一時間後にやるみたいですよ」

「見てみたいなぁ。どんな人や魔物がいるのか知っておきたいし」

「それではそこの山をなくしたら見に行きましょうか。おそらく一時間ほどで終わりますよ」


 私は書類の山に目を向ける。どっさりとしたそれは、ホントに一時間で終わるのかわからないほど積まれていた。

 でも、明確な目的が見えると自然とやる気が出るもんだ。だから私はとっても張り切って書類処理をしたんだ。

 そしてセバスチャンさんの言う通り、大体一時間ぐらいで終わった。


「ふひー」

「お疲れ様です、マオ様」

「もー始まっちゃったかな?」

「まだ五分ほど時間はありますね。今からいけば見れると思いますよ」


 よーし、それじゃあ早速見に行こう。

 私はセバスチャンさんと一緒に中庭へと移動する。見慣れた光景になりつつある廊下は、今思えばとても広い。さすが魔王城だなって思っちゃうよ。


「あらぁ、マオちゃん」


 何気なくキョロキョロしているとウィンディさんが声をかけてきた。途端にセバスチャンさんの顔が露骨に険しくなる。


「何ですか?」

「あなたには用はないわ、セバスチャン。私はマオちゃんとスキンシップを取りたいのよ」

「言っておきますが、私はあなたを認めていませんからね」

「あらあら、うるさい執事さんね。そんなことじゃあ女の子は逃げちゃうわよ?」


 クスクスと笑いながらセバスチャンさんを茶化すウィンディさん。セバスチャンさんは珍しくどこかイラついているように見えた。


「それよりもマオちゃん、どこに行くのかしら?」

「中庭に行くんです。これから魔王軍の入団試験があるみたいなので、それを見に行こうかなと」

「あらあらぁ、とても面白そうね。ついて行こうかしら?」


 私はセバスチャンさんに顔を向ける。するとセバスチャンさんは怪訝な顔をしながらもこんなことを言った。


「面倒事は起こさないでください」


 こうして私はセバスチャンさんとウィンディさんを連れて中庭へと向かう。

 一体どんな人や魔物がいるのか。考えるだけでも何だかウキウキしてくるよ。そういえばお母さんやミーシャ、学校のみんなはどうしているんだろう?

 私のことを心配しているかな? でもみんなのことだからそんなに心配してなさそう。


「あ、そうそうセバスチャン」

「何ですか、ウィンディ?」

「昨日も言ったけど、シャーネルドラゴンに攻撃なんてしてないからね。あんなバケモノにケンカを売るほどバカじゃないし」

「あなたならやりかねないと思いますが?」

「違うって言っているでしょ? ま、そういっても無駄かもしれないけど、私以上の魔法使いがいるみたいよ。だから気をつけなさい」


 なんだか難しい話をしている。だからなのかセバスチャンさんの顔が険しいままだし。

 そんな風に思って見ていると、ウィンディさんがニコッて笑った。


「楽しみね」


 何だろう。ウィンディさんってそんなに悪い人じゃないように思えてくる。

 いろいろな意味で危ないけど、でもいい人そう。


「おお、セバスチャン久しぶりだなぁ」


 誰かがセバスチャンさんに声をかけてきた。目を向けるととても、とーっても大きいクマさんがそこにいた。


「…………」


 え? なんでこんな所にクマ?


「これはベアッタ。冬眠から覚めたみたいですね」

「おうよ。ただちょっと寝すぎて入団試験に遅れそうだなぁ」

「ハハハ、相変わらずですね」


 普通に話すセバスチャンさん。私はまだ慣れてないせいなのかな? とても不自然な光景に見えるんだけど。


「うん? この娘っこは?」

「ああ、そちらは新しい魔王のマオ様です。そして隣にいるのが魔物のエサですよ」

「あら、セバスチャン。なかなかの紹介をしてくれるじゃない」


 クマさんが私をまじまじと見てくる。うう、何だかとても怖いよぉー


「ふむ、なかなか骨がありそうな娘っこだ。こいつは前の魔王よりすごいことになるぞー」


「あ、ありがとうございます!」

「それじゃあ俺っちは急がなきゃならんから、ここでだな。あばよー」


 ドスンドスンと大きな足音を立てて去っていくクマさん。私は呆けながらその大きな背中を見送った。

 何だろう、魔王軍ってとても個性的なのかもしれない。


魔王軍の入団試験は最初から波乱の予感。


次回は明日の午前7時頃に更新予定です。

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